前回紹介した競馬本に恋愛小説風のものがあったが、タイトルに「恋愛小説」と付いた競馬本がある。

内容は、俗にいう恋愛ものとは違い、そして小説でもないエッセイだ。

 

「競馬は恋愛小説である」

著者:立川末広

発行元:(株)ミデアム出版社

発行日:1991年3月31日

 

著者は、自称”日本で唯一の競馬風俗評論家”立川末広氏。

井崎脩五郎氏のエッセイによく出てくる人だ。

何をやっている人なのかよく分からないが、競馬関連の雑誌によく短文をあげているようだ。

この本も雑誌「優駿」などに掲載されたものをまとめたものである。

 

面白いし笑える。

エッセイとして面白いし、所々で笑わせてくれるのだ。

著者が競馬を心から愛し、楽しんでいるのが感じられる。

 

カラ馬が先頭でゴールすることは稀にあるが、「背中の重量五十数キロが無くなった有利はあるが、騎手がいなくなった不利を相殺して、カラ馬の勝利を認めてもいいのではないか」と書いている。

自分も御する騎手がいないカラ馬が走り切れば「賢い馬だ」と思うが、勝利を認める発想はなかった(笑)

 

「競馬は推理小説であるというフレーズに翻弄され続けてきたのではなかったか」

「馬にも感情があるという最も単純かつ基本的な認識が欠落していた」

「その感情に、より肉薄するには、推理小説的手法では不可能だ」

「恋愛小説的手法で接近をはかるしかないのだ」

「競馬は恋愛小説である」

 

今週末も、競馬場に恋愛小説を楽しみに行こう。