競馬本といえば名馬物などのノンフィクションが多い。

この競馬本シリーズもエッセイや名馬・名勝負のノンフィクションが続いたが、今回は久々の完全フィクション。

競馬小説を2冊紹介する。

2冊とも、主役は競馬関係者ではなく一般の競馬ファンだ。

 

「ギャロップ」

著者:飯干恵子

発行元:(株)角川書店

発行日:1990年10月31日

 

それぞれ独立した7編の短編集。

最後の舞台は実際にあった大レースの競馬場だが、若い男女が主人公になった恋愛小説といった風。

それでも実際のレースが背景としてあるので、競馬ファンとして普通の小説よりは楽しめた。

ただ、気になった箇所がある。

 

わざわさ仮名までふってあるが、「まっきゃく」ではなく「すえあし」だろう。

そういう読み方もあるのか調べたが見当たらない。

競馬小説で競馬用語を間違えてはガッカリである。

(「まっきゃく」と言う場合もあるのならゴメンナサイ)

 

「馬券師」

著者:皆川正三

発行元:(株)文芸社

発行日:2003年4月15日

 

主人公が、とあるきっかけで知り合った紳士。

彼は馬券で生活していると言い、必勝法のヒントを暗号風にして与える。

やがて様々なレースを経て、主人公はついに必勝法にたどり着く。

 

正直なところ、小説として読んであまり面白くない。

解き明かされた必勝法にしても、「勝ち負けになる馬が絞れる少頭数レースで、1頭軸やBOXで買い目を絞って大きく賭ける」という「そりゃそうだろうよ」といったありきたりな物。

競馬小説としても「う~ん…」といったところだ。

 

競馬ファンが主役の競馬小説も悪くないが、結局のところ作家次第だ。