沼津少年少年合唱団 | 蒼空日記

蒼空日記

しあわせダイアリー








走馬灯のように、
色々蘇りました。

松下隆二先生がお亡くなりになり随分と時間が流れました。
小学生の頃お世話になって以来、お会いする事はできませんでしたが、
先生のお姿は、はっきりと脳裏に焼き付いております。

伸びた背筋、
髪型は白髪混じりのベートーベン。
鋭い眼差し、
ふと、見せる柔らかく優しい眼差し、そしてほころぶ様な笑顔。
先生が来ると魔法をかけられたように、その場の空気が変わりました。


あの存在感は、
どんなに歳を重ねたとしても、
誰もが出せるものではないのでしょう。




そんな先生のご指導の下、
様々な場所から、様々な年齢の、歌が好きな子供が集まり、
猛練習です。
楽しかった。

楽譜を渡された時はバッラバラの歌声でも、練習を重ねひとつの歌を心をひとつにつくりあげていきます。
バラバラだった歌声が、素晴らしい変化を遂げます。

あの瞬間が、
たまらない。
あれの為にがんばる。
仕事終わりのビールです。
このプハーの為にがんばる。


色んなこと、
思い出します。

学校では給食を早く食べさせられ、みんなの前で毎日歌わされた時期がありました。
当時の担任が、音楽大好きおばさんだったからです。
きっと、クラスのみんなは、自由に給食の時間を楽しみたかったろうに。
みんな、よく聴いてくれました。
ありがとう、ありがとうよ。

おかげで、大勢の前で何かをする、という部分では変に度胸がつき、
そういった経験に感謝する日々を送る事となるのです。


沼津市民文化センター大ホール。
ここでの発表は、
最高に、
気持ち良いものでした。

本番は、未知で、潜在する力全てが結集されたような演奏でした。
自然と涙が出ました。
小学生にとって、あの涙は不思議極まりなかった。
もちろん泣いてる子などおらず、
恥ずかしくて隠してました。

子供の運動会で子供が入場してきただけでボロッボロ泣けてくるあの現象に似てます。

は?

って涙。
頭より先に体が反応して感情が追いつかないんですね。
とにかく流れてしまう。
小学生にしてそんな経験もしました。


そういえば忘れもしない。
私にとって初めての演奏会で、
あまりの緊張で首が前に出過ぎた事があります。

想像できますか?

ひとりだけ、リズムに合わせて顔を前に大幅に突き出して目と鼻をおっぴろげて歌っているのです。
緊張で半分気を失ったのでしょう。白目かどうかはわかりませんでしたが、先生は、よく笑わなかったなと思いました。
相変わらずのベートーベンでした。

演奏会が近付くと、
チケットを学校に置くという悪どい行動に出ました。
しかしクラスの担任の先生は、快く対応して下さいました。

教室の後ろにポスターを貼り、
【○○さんのコンサート】
と、付け加えて下さいました。

先生、あれ、
クソ恥ずかしかった。

そんな、嬉しクソ恥ずかしなご協力もあり、
たくさんの人の前で歌を歌えた事、今でも宝物です。



合宿にも行きました。
妹がおねしょをしました。


つくば万博に行き、歌いました。
夢見てるみたいに楽しかった。
デカすぎる観覧車に乗りました。記念のコインと怪しい小さな銀の袋を貰いました。
中身は、カロリーメイトみたいなお菓子でした。
真夏、喉からっからの私達に追い討ちをかけました。


全国の合唱団が集まり
ありえない人数で演奏した事もありました。
泊りがけでした。
部屋を共にする人は、シャッフルです。
斬新です。

どこの誰だかわからないお姉さんと一緒だった訳ですが、
優しくて、きれいで、わたしを飽きさせないように色んなお話をしてくれました。
帰りには、手紙もくれました。
18才って言ってたけど、
どう考えても今の自分より年上に思えて仕方ない。
そんな、
私の中の、なりたいお姉さんランキングNo.1確実なお姉さんと触れ合えたこと、
歌が好きな人が集まれば集まるぶんだけ、素晴らしい演奏ができること、
とっても素敵な経験でした。

あの歌声、忘れられません。
歌声に包まれて空飛んでけそうな気分でした。





合唱団での色々は、
とにかく、
貴重な体験でした。



ミニバスを始めるのでやめます。と言いに行った日の事、
まだ覚えてます。

先生は、握手して、
「がんばれ」
と激励下さいました。



松下先生には、
とても近付く事ができなかった。
目を見てこんなに長く話すのは、
これが初めてじゃないかと思うくらい。

やっぱり、あったかかった。
ずっと、雲の上の人に歌を教わる感覚でいたわたしが、
こんなちっぽけな自分に向けられた先生のあたたかさを感じる事のできた、最初で、そして最後の瞬間でした。




皆で心を一つにするあの喜び、
歌の素晴らしさ、
あたたかさを教えて下さいました。

そして、
想像をこえる素敵な世界に、
たくさん、たくさん、
連れて行って下さいました。




沼津少年少女合唱団、
結成50周年を迎えました。


本当に、素晴らしいです。
心よりお祝い申し上げます。


ピアノの宮本先生が続けていらしたのには驚きました。
松下先生亡き後も、
静かに、力強く、あの花の音色で合唱団を支えて下さってるんですね。


先生がつくり、
築き上げ、
これだけながく、
たくさんの人に愛される合唱団に
在籍したひとりとなれました事、
本当に喜ばしく、
誇りに思います。



半世紀に渡る音のきずなに感動し、
あなたを思い出し、
時間の旅に出てみました。






今もあの頃と同じ、
あの場所から響く可愛い歌声が、
あなたのところまで届いているでしょうか。







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