本当に、急な出来事でした。
『おかあさん、ぜったいにおばあちゃんになんないでえ!』
娘が、涙をためて足に抱きついてきました。
『しえ、おかあさんがおばあちゃんになるなら、小学生になんない!大人になんない!おかあさんになんない!』
『しえのおかあさんがいなくなるなんてえ!しえが小学生になったら、おかあさんはおばあちゃんにちかづくってことでしょ?』
とても、興奮して泣きじゃくる四歳児の言い回しには思えませんでした。
娘の泣き顔を見ていたら、なんかもう、、
『おかあさんずっとしえのそばにいるよう・・・いなくならないよう』
当たり前の事しか言えませんでした。
でも、言葉とかもう、どうでもよかった。
目の前で泣きじゃくるしえがいとしすぎて、
力いっぱい抱きしめました。
ふたりで抱き合ってえんえん泣いて泣いて、気が済むまで泣きました。
産まれてたった数年で経験した、大好きな弟の死を、
ちいさなあたまでかんがえ、
ちいさなしんぞうでかんじて、
ちいさなからだいっぱいで、うけとめようとしているんだね。
命の儚さ
愛するひととの別れ、
傍にいて当たり前な存在が、明日には無くなってしまう様な
目に見えない不安と恐怖。
大人にだって理解できない人間の生き死に。
娘はそれを、きれいな涙に変えました。
娘の涙を胸に、手に手をとり歩いていきます。
一歩ずつ。
生きるよろこびを、
歳をとり老いるよろこびを、
どんな時も娘と共に。
しえ。
おかあさんになんないなんて、いわないで。
おかあさんて、こんなにせつなくて、くるしくて、しあわせなんだよ。
おかあさんがいくらあなたにしあわせだよっていっても、
きっとよくわからないね。
でも、あなたがおかあさんになったとき、
おかあさんがいってたしあわせのいみがきっとわかるから。
このしあわせをいだくあなたに、おかあさんはあいたいから。
その時は、幼い涙を思い出して、今を笑い話にしようよ。
おばあちゃんになったお母さんと。



