【偽解剖学を解剖する】「坐骨神経痛は足の親指ほぐしで治る!」に騙されるな!
皆さん、こんにちは。
いつもブログを読んでいただき、ありがとうございます。
最近、YouTubeやInstagramなどのSNSを開くと、こんなサムネイルの動画が溢れかえっていませんか?
「これを見るだけで激痛が消える!」
「9割の人が知らない、足の親指を回すだけで坐骨神経痛が治る裏技!」
結論から言います。
足の親指を少し動かしたりほぐしたりした程度で、坐骨神経痛が治るなどという医学的・解剖学的な根拠は【絶対にありません】。
今日は、ネット上に蔓延する無責任な医療系動画の闇、【偽解剖学】の実態を徹底的に解剖します。 ---
1. 解剖学の「極端な曲解と飛躍」
彼らが「足の親指」をターゲットにするのには、一応の理由があります。
腰の神経(腰椎5番など)の支配領域が足の親指に関わっていたり、足裏から筋膜が繋がっているという事実があるからです。
しかし、それを都合よく極端に飛躍させているのが彼らの手口です。
坐骨神経痛の根本的な原因は、「腰椎椎間板ヘルニア」や「脊柱管狭窄症」、あるいは筋肉による物理的な神経の圧迫です。
足先を動かして一時的に血流が良くなったからといって、【物理的に潰れたり圧迫されたりしている神経】が、親指を数分回しただけで元通りになるわけがありません。
これは極端に言えば、「指先を揉めば脳梗塞が治る」と言っているのと同じレベルの暴論なのです。 ---
2. 「タイパ」と「魔法」を求める情弱ビジネス
では、なぜそんな根拠のないデタラメな動画がバズり、彼らが「まるで医療のすべてを知っているかのように」振る舞うのでしょうか。
それは、SNSの世界において【誰も知らない裏技(逆張り)】と【たった〇秒で治る!(タイパ)】の組み合わせが、最も再生数を稼げてお金になるからです。
痛みに苦しんでいる患者さんは、藁にもすがる思いで「楽な解決策」を探しています。
「病院で手術と言われた痛みが、家で親指を回すだけで治る!」という言葉は、彼らにとって魔法の呪文です。
インフルエンサーたちは、患者を治すことではなく、患者の「楽をして治りたい」という心理を利用して、【再生数と広告収入を稼ぐこと】しか考えていません。
画面の向こうの魔法使いは、あなたが一時的な気休めで痛みをこじらせ、取り返しのつかない状態になっても、一切責任を取ってはくれないのです。 ---
3. 最前線で戦う、すべての本物の治療家たちへ
最後に、この記事を読んでくださっている医療従事者の皆様へ。
日々、エビデンスに基づいた治療を行い、患者さんの人生と真摯に向き合っている医師、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)の皆さん。
そして、誇りを持って学び続けている全国の柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師の皆さん。
再生数稼ぎのために、解剖学を都合よく捻じ曲げた「魔法の治し方」がSNSに蔓延し、それに騙されて適切な治療のタイミングを逃す患者さんが後を絶たないこの異常な現状を、現場の最前線でどう感じておられますか?
私は、こうした【医療の皮を被ったエンタメビジネス】がはびこる現状に、強い憤りを感じてやみません。
読者の皆様。 あなたの身体を治すのは、スマホの中の魔法使いではありません。
目の前であなたの身体に真剣に向き合い、時には厳しい現実(治療には時間がかかることなど)を誤魔化さずに伝えてくれる【本物の専門家】を、どうか頼ってください。