「“目に見えないエネルギー”に課金する社会:あなたの健康はビジネスの餌になっていないか?」
※この記事は辛口注意です。
“目に見えないもの”にお金を払う社会の病理と、そこに潜む心理・科学・法の視点からの注意喚起を目的とします。
■「エネルギーが整う」「波動が上がる」──その言葉、根拠はありますか?
最近SNSやYouTubeで頻繁に見かけるのが「エネルギー療法」「波動調整」「ゼロ磁場パワー」「水素による量子波」などの謳い文句。中でも目立つのは、以下のような商品・サービスです。
■具体的な商品・サービス事例(※2024年時点)
-
波動水:水にエネルギー情報を転写して飲むと体調が整うという触れ込み。数万円〜数十万円。
-
ゼロ磁場発生器:置くだけで部屋のエネルギーが変わり、運気・健康が改善するという商品。20万円以上。
-
チャクラヒーリング施術:身体のエネルギーセンターを開いて「トラウマを除去」「過去世からの癒やし」などをうたうサービス。1時間2万円〜。
-
遠隔エネルギー転写サービス:メールアドレスにエネルギーを送信するという謎サービス。1件5000円〜。
どれも科学的根拠が極めて薄弱で、医学的にも論拠がありません。中には「一切の副作用がない」とまで主張するものもありますが、それは「効果がない」と紙一重です。
■なぜ人は“非科学”に騙されるのか?(心理学的視点)
-
確証バイアス(confirmation bias)
「この方法は効く」と思って情報を探すと、自分に都合の良い成功体験ばかりが目に入るようになります。 -
認知的不協和(cognitive dissonance)
高額な金を払ってしまった後に「効かないかも」と思うと精神的に不安になるため、「効いた気がする」と自分を納得させようとする心理が働きます。 -
ヒューリスティック(heuristic)思考
複雑な問題を簡単な判断基準で解決しようとする傾向。例えば「有名人が紹介してたから」「本に載ってたから」というだけで信じてしまう。 -
恐怖と不安の転化
大病の診断直後や、将来への不安が強い時期に、「波動」や「エネルギー」といった安心できる“物語”にすがりたくなる傾向。
■これは宗教?ビジネス?──あいまいな境界線
“目に見えない力”を用いた商法は、スピリチュアルと宗教とビジネスの境界線を意図的に曖昧にして展開されます。
特に注意したいのが以下のような要素です:
-
「あなたは特別な力を持っている」と持ち上げる → 依存の構築
-
「このセッションでしか波動は整わない」と限定する → 囲い込みビジネス
-
「否定する人は波動が低いから」と他者批判を促す → 信者化と分断
-
「世界が闇に支配されている」と陰謀論と組み合わせる → 反ワク・反科学と連動
これらは新興宗教団体がよく使うマインドコントロールの初期段階と酷似しており、無自覚のうちに教義と献金が始まっていることも珍しくありません。
■法律的に問題はないのか?(景表法・薬機法)
景品表示法(景表法)では、事実と異なる表示や、著しく優良・有利と誤認される表示は禁止されています。
また、薬機法(旧薬事法)により、医薬品的な効能効果を謳って販売・広告することも違法です。
しかし、以下のようにギリギリのラインを突く表現が多用されています。
-
「あくまで個人の感想です」
-
「医療行為ではありません」
-
「不調が整ったという声もいただいております」
これらは消費者庁や厚労省の取り締まり対象になりにくく、放置されやすいのが現状です。
■医師や専門家の“名前貸し”にも注意
最近は、現役医師や元医療従事者がスピリチュアル団体や“波動ビジネス”に関わるケースも報告されています。なかには名前を貸しているだけの「顧問医師」も。
このような人々は「医学の肩書き」と「非科学的なビジネスモデル」を接続させ、より信頼性を装う役割を果たします。
肩書きに弱い日本社会では特に悪質性が高く、注意が必要です。
■「騙される方がバカ」ではない。むしろ真面目な人ほど危ない。
最後に強調したいのはこれです。
“騙される人”は、決して「バカ」だからではありません。
むしろ、
-
優しく
-
真面目で
-
将来や健康に不安を抱え
-
医療や科学の難解さに疲れた人
こういった人たちこそが、偽りの癒しに心を預けてしまうのです。
彼らは弱ったときに、誰かの優しさや言葉を信じたいだけ。
だからこそ、悪意あるビジネスに利用されることがあってはなりません。
■あなたの“信じたい”が、誰かのビジネスになっていないか?
「信じること」は素晴らしい感情です。
けれどそれが、“根拠なき商品”や“無責任なスピリチュアル”に向かってしまえば──あなたの健康もお金も搾取されてしまうかもしれません。
あなたの不安や希望を食い物にする、そんな社会に対して、いまこそ冷静な目を。

