朝鮮の曽祖父の別荘にて撮影されたものと思われる此の写真は、祖母方の実家で保存されていた。当家と祖母方の親類縁者が写っている。
当家は引き揚げの際に殆どの物を紛失もしくは放棄しているので非常に貴重な一枚と思う。
後列左から二人目が私の曽祖父、同じく後列左から四人目の無帽でロイド眼鏡でスーツを着用した人物が私の祖父で、いかにもインテリ然とした印象だ。
前列左から二人目が私の大伯母、同じく前列左から三人目が私の祖母と生後間もない父の長兄。前列中央の紋付を着た人物が祖母方の私の曽祖父。
此の写真は昭和二年の撮影なので我が父はまだ出生していない。
ざっと確認した顔ぶれは内地在住だった祖母の実家の方の親類縁者が、当家の者よりも数が多い事を考えれば、昭和二年当時では内地同様に人々が気軽に朝鮮と往来していた事を伺う事ができる。また既婚女性の服装は和服に日本髪が、ごく普通だったのだろうと認識できる写真は改めて新鮮に目に映る。