それが初めの日とは言い難いけど、
今はその日をそう呼ぶ。

友人の幼なじみとして出会ったバロージャ。私の名刺を見るなり、「その名前の人は嫌いだ」とバロージャ。「私のことを何も知らないのに名前だけで判断するなんて失礼だ!」。
これが最初のふたり。

後日、バロージャの亡くなった彼女と私の名前が同じだったこと、彼女を亡くした傷が未だ癒えていないことを友人から聞く。

2回目に会ったとき、私は心から詫びた。

バロージャは厚い厚い壁を作り、人を遠ざけていたのに私がいきなりそれを砕いたので驚いた。バロージャの痛みを知り、心から詫びた私に再び驚いたとか。
バロージャは一瞬で恋に落ちた。

だけど、これはバロージャから聞いた話。
私にこの日の記憶はない。
バロージャは私の知らない私の過去を知っていた。

思い出したくても思い出せない、あの日に戻りたい。

バロージャ、

子供の頃からずっと待ってた。
誰かが必ず救いに来てくれるって信じてた。
口に出さない思いも、みんなの幸せを願う気持ちも、全て知ってる存在がいつか私を幸せにしてくれると思ってた。

あなたとあの島に行ったとき、
私は全てに絶望してた。

日々を笑顔で過ごし、
悩みを抱えた人達に希望を持たせることが私に出来たらと、生きる意味をそれらに向けていた。

だけど本当は誰よりも幸せになりたくて、
語らない私の心を理解している存在が救ってくれるのを待ち続けていた。

バロージャ。
あなたはどこへ行ったの?
私の愛と心を持ってどこへ消えたの?

あなたはいつも私をひとりにする。
私はいつもあなたが救いに来てくれるのを待つ。

心から抱きしめて
バロージャ。

彼はいつも私を泣かせる。
小さなテーブルの向こうで腕を組み、
伏せ目がちにただ黙って頷くだけの彼のシルエットが綺麗で、
いつまでも見ていたかった。

また会えたのに、
すれ違ってばかりだった。

唯一、心から信用してた彼の理解しがたい行為を見て、生きることに絶望した。

バロージャ、今すぐに側へ来て欲しい。
私をひとりにしないで。