歌劇「いたずら者エロ」+クラシック音楽の事で引っ掛かっていた件 | 妄想印象派 自作のイラストや漫画、アニメ、音楽など

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ヤコヴ・ゴトヴァツ:歌劇「いたずら者エロ」

Jakov Gotovac - Ero s onoga svijeta

指揮:イヴァン・レプシッチ

Ivan Repušić

演奏:ミュンヘン放送管弦楽団

Münchner Rundfunkorchester

クロアチア放送合唱団

Zbor Hrvatske radiotelevizije

ジュラ(マルコの最初の結婚相手との娘):

ヴァレンティナ・フィヤチュコ・コビッチ(ソプラノ)

Đula - Valentina Fijačko Kobić

ドーマ(マルコの後妻):

イェレナ・コルディッチ(メゾ・ソプラノ)

Doma - Jelena Kordić

ミーチャ(エロと呼ばれる):

トミスラヴ・ムジェク(テノール)

Mića (Ero) - Tomislav Mužek

スィーマ(製粉業者):

リュボミール・プシュカリッチ(バリトン)

Sima - Ljubomir Puškarić

マルコ(豪農):

イヴィツァ・チケシュ(バス)

Marko - Ivica Čikeš

若い羊飼い:

スザナ・チェシュニャイ(ソプラノ)

Čobanče - Suzana Češnjaj

【cpo 555 080-2】2020

 

天高く輝くものは(第3幕第14場)

Što na nebu sja visoko (završno kolo)

世界音楽の日(2014年6月21日)

Svjetski dan glazbe

演奏:クロアチア放送交響楽団

Simfonijski orkestar HRT

会場:トミスラヴ広場(ザグレブ)

Trg kralja Tomislava, Zagreb

 

ヤコヴ・ゴトヴァツ(Jakov Gotovac)を聴く(YouTubeから)

2008年10月18日

 

という12年も前の記事に、コメント欄より、

bartokbelaさんという方から、

ヤコヴ・ゴトヴァツのコミックオペラ「いたずら者エロ」

全曲のアルバムが発売されたとのお知らせを戴いたため、

早速購入して聴いてみました。

 

最近は絵に力を入れたり、

断捨離実行中なせいもあってか、

CDを検索で探すという事も殆どありません。

モノ自体あまり買わなくなりました。

(買わなくなった分、児童福祉施設等に寄附とかしています)

 

というか、

ブログで紹介されるのを待っているCDが山の様にあって、

余裕が無いという。

 

ADHDの症状が殆どなくなってきたお蔭か、

断捨離が上手くいっています。

症状が酷かった若い頃は物の整理とか全くダメで、

モノがどんどん溢れていっていましたけど。

必要なものが、ガラクタの山の何処にあるのか分からないという。

 

それはともかく、ヤコヴ・ゴトヴァツについては、

コチラの記事で管弦楽作品集のレビューを書いています↓

バルカン半島クラシック音楽探訪(2)

2008年11月2日

 

早速「いたずら者エロ」についてですが、この作品は、

ヤコヴ・ゴトヴァツ(Jakov Gotovac, 1895-1982)が作曲を手掛け、

ミラン・ベゴヴィッチ(Milan Begović)が台本を手掛けました。

ベゴヴィッチの故郷、ヴルリカ(Vrlika)の民話に基づいているらしい。

 

1935年11月2日に、クロアチア国立劇場

(Hrvatsko narodno kazalište u Zagrebu)で初演。

 

以下は、

ネットショップ等に同じものが幾つも出回っているコピペです。

 

ヤコブ・ゴトヴァツは現代クロアチアを代表する作曲家の一人。

ウィーンでヨーゼフ・マルクスに師事、

ザグレブ歌劇場の指揮者として歌劇を演奏しながら、

作曲家として歌劇、管弦楽、ピアノ曲、歌曲など 多数の作品を残しました。

 

作風は後期ロマン派の様式を踏襲しており、

どれも民俗的要素に溢れた聴きやすいもので、

日本では、彼の作品を愛した巨匠マタチッチがNHK交響楽団とともに、

いくつかの舞曲を演奏したことでも知られています。

 

1935年に作曲された歌劇《いたずら者エロ》は、

ユーモアに満ちた物語とクロアチアの民族性が融合した

ゴトヴァツの最も成功した作品。

 

ザグレブ歌劇場で初演されたのち、作品は9か国の言語に翻訳され、

ヨーロッパ中の80を超える歌劇場で上演され続け、

2018年には700回目の記念すべき上演が行われるほどの

人気作となっています。

 

700回目の上演時にはドイツ語版での演奏でしたが、

このアルバムに収録されたミュンヘンでの上演は

オリジナルのクロアチア語版が用いられており、

指揮者のレプシッチを始め、

主役の歌手たちは全てクロアチアのネイティブ・スピーカーを起用、

合唱団はクロアチアからわざわざ呼び寄せるという念の入った演奏です。

 

聴いた感想ですが、後期ロマン派の様式なだけあり、

19世紀的というか、非常に分かりやすい。

 

民族音楽に基づいた語法なので、更に親しみやすい。

 

しかも、全体的に躍動感があり、

退屈なメロディが無く、

個人的に作業用BGMとして使えそうです。

 

バルカン地方の19世紀~20世紀初頭の音楽シーンでは、

スロヴェニアの

リスト・サヴィン(Risto Savin)

アントン・ラヨヴィツ(Anton Lajovic)

クロアチアの

イヴァン・ザイツ(Ivan Zajc)

などがいますが、

国民楽派推進の気運が中々高まらなかった様です。

 

リスト・サヴィン(Risto Savin)を聴く(YouTubeから)

2008年10月20日

 

バルカン半島クラシック音楽探訪

2008年10月5日

 

セルビアの

スタニスラヴ・ビニチュキ(Станислав Бинички)

ペータル・コニョヴィチ(Петар Коњовић)

など、世紀の変り目辺りでやっと、

民族主義的な作風の作曲家が出てきた様です。

 

スタニスラヴ・ビニチュキ(Станислав Бинички)セルビアの作曲家

2012年12月23日

 

セルビア初期のクラシック音楽と交響曲(前編)

2015年1月22日

 

往々にして、周縁国系無名作曲家のオペラは、

退屈なメロディが殆どないのが多かったりします。

 

スコットランドの作曲家、

ヘイミッシュ・マッカン(Hamish McCunn)の

「ジーニー・ディーンズ」(Jeanie Deans)

デンマークの作曲家、

ペーター・ハイセ(Peter Heise)の

「王と代官」(Drot og Marsk)

ノルウェーの作曲家、

ヤルマル・ボルグストレム(Hjalmar Borgstrøm)の

「リーモルのトゥーラ」(Thora paa Rimol)

アルメニアの作曲家、

ティグラン・チュハチャン(Տիգրան Չուխաճեան)の

「アルシャク2世」(Արշակ Բ)

などなど…

(全て弊ブログで紹介済)

 

有名なオペラは、有名な少数の旋律と、

大部分の退屈な旋律とで構成されている、

という“偏見”が私にはあります。

それは何という曲か?と問われても、直ぐに出ませんが。

 

ロッシーニの歌劇「ウィリアム・テル」がそうだという話を

目にした事があります。

全編ちゃんと聴いていないので何とも言えないのですけど。

 

また、リヒャルト・シュトラウスの楽劇の一部を聴いてみたところ、

妙に退屈だった様な記憶が…。

 

あと、この作品で気になったこと。

題名の「いたずら者エロ」についてですが、

地元言語では「異世界から来たエロ」

という感じではないのでしょうか?

 

手許にある「セルビア・クロアチア語」の本には、

当該の単語が全て出ている訳ではないので、

はっきりとは分かりませんが。

 

おそらく、

英題の「Ero the Joker」から来ているのかも知れません。

英題の内容が原題とズレている場合があります。

海外のものの題名が日本語訳される時、

往々にして英題が日本語題になる場合が少なくありません。

でも私は個人的に、原題にこだわります。

 

その異世界についてですが、

「あの世」を指しているのかも知れません。

 

何で見たのかは憶えていませんが、

「あの世から来た悪漢」

という訳名を見た事があります。

というか、以前この曲を紹介した時、この題名で紹介していました。

最終場の題名は「天国に高く輝くものは何か?」です。

 

ちなみに、

「クラシック音楽作品名辞典」(編著:井上和男、三省堂)

(初版)では、

「冗談を言うエロス」

という題名で紹介されていました。

セルビア・クロアチア語で「冗談」は「Šala」と言うので、

これも恐らく英題からの訳と思われます。

 

「Ero」と、「~と共に」「~から」を意味する「s」が誤って合体して、

「Eros」となっていました。

 

最初、このオペラの内容が分からなかった頃は、

ドイツの「ティル・オイレンシュピーゲル」(Till Eulenspiegel)とか、

ハンガリーの「ハーリ・ヤーノシュ」(Háry János)

辺りに似た内容なのかな?と思っていました。

 

流石に、名前からしてセクハラ男が主人公、

とまでは思わなかったです。

 

内容を調べてみた所、豪農マルコの娘ジュラを、

ミーチャという男が上手く口車に乗せて

結婚までこぎつけるというものらしいです。

「別世界から来たエロという者です」というミーチャの言葉を、

迷信深いジュラが信じ込んでしまうという。

ふたりの後を追いかけるマルコですが、

結局は二人の仲を認めてしまうという。

 

クラシック音楽の事で引っ掛かっていた件

話は変わるのですが、フランス近代の作曲家、

ヴァンサン・ダンディ(Vincent d'Indy)の代表的作品に、

フランスの山人の歌による交響曲 ト長調(1886年)

(Symphonie sur un chant montagnard français)

があるのですけど、

いつの間にか情報が書き換わっていたという。

 

数年前に、彼が20歳頃に書いたという、

交響曲第1番 イ短調「イタリア」(1870-72年)

の存在を知って衝撃を受けたのですけど、

世界初録音のアルバムが何と2008年登場らしいです。

交響曲第1番、ピアノ、フルート、チェロと弦楽のための協奏曲 - HMV

雄大で堂々とした力強さは、

リヒャルト・シュトラウス(Richard Georg Strauss)の

交響的幻想曲「イタリアから」(1886年)

(Aus Italien)

を彷彿とさせるというか。

 

メンデルスゾーンの交響曲第4番 イ長調「イタリア」

サン=サーンスの交響曲 ヘ長調「首都ローマ」

ジョルジュ・ビゼーの交響曲「ローマ」

を思い出す方もおられるのでは?

 

私はこの作品をそれまで全く知らなかったのですが、

日本に於いてはどれくらいの知名度だったのでしょうか?

 

「一部専門家はその存在を知っていた」のか?

日本ではほぼ全く知られていなかったのか?

 

いずれにしてもですが、それまでは、

「フランスの山人の歌による交響曲」は、

「交響曲第1番」とされていたと記憶しています。

しかし、改めて検索してみても

そういう情報がネットにまともに出てきません!!

「番号なし」になっているのですね。

 

一瞬記憶違いなのかと思いましたが、

「クラシック音楽作品名辞典」(編著:井上和男、三省堂)

を見ると、確かにそう出ていました。

私は初版を所有していますが、

最新の版では書き換わっているのでしょうか?

 

Twitterでも、同曲を「第1番」としている呟きがチラホラ。

 

ところが、「イタリア」が出てきた事で、

どちらを「第1番」とするのか混乱がもたらされてしまった、

というわけでも無い様で…。

 

何事も無かったかの様に、

シレっと「イタリア」が「第1番」、

「フランスの山人の…」は、

チャイコフスキーの「マンフレッド交響曲」みたいに、

何番とも表記されない様になっていました。

 

よく、若書きの交響曲を番号無しにするというのは

よくあると思いますが、後から出てきた若書き交響曲に、

「第1番」を与えて良いのかどうか?

 

シューベルトの交響曲の「未完成」や「ザ・グレイト」を、

第何番にするのか?という混乱はよく知られていますが。

 

---

 

またまた話は変わります。

19世紀末にイギリスで勃興した、

音楽復興運動についてですが、私は以前、

「イギリス音楽ルネッサンス」

という言葉をよく耳にしていたのですね。

 

それまでのイギリス音楽シーンは、

ドイツ音楽一辺倒で、政治的にはライバル視していたくせに、

何故か音楽に関してはドイツを崇拝している様な状況でした。

 

交響曲第3番 へ短調「アイルランド」(1887年)

でアイルランド風味の作品を逸早く書いたスタンフォードも、

ブラームスを崇拝していた有様。

 

(追記:

アーサー・サリヴァンの

交響曲 ホ長調「アイルランド」(1863-1866年)

は、かなり早い時期のものだけあって、

ハミルトン・ハーティの

「アイルランド交響曲」(1904年, 改訂:1915, 1924年)

ほどコテコテのアイルランド風には聴こえず、

ドイツ音楽の影響が強いです。

ちなみに、メンデルスゾーンの「スコットランド交響曲」

と比較されるのを避けるために、

「アイルランド風」の表題を付けるのを控えていた様で、

表題が付けられる様になったのはサリヴァンの死後らしい)

 

それはともかくですが、

この「イギリス音楽ルネッサンス」という言葉、

検索を掛けたものの全く出てこないという。

 

記憶違い?

私には幼少時から造語癖がありましたが、

さすがに「イギリス音楽ルネッサンス」という言葉を

造語したという意識は全くありません。

 

多分、NHKFMでこの言葉が出てきたのかも知れない、

と思ったのですが、手許にある、

「交響曲読本」(ONTOMO MOOK 音楽之友社)

のイギリスの項目に、

「イギリス音楽のルネサンス」

という表現があるのを見つけました。

 

更に調べてみると、英語でもちゃんと

「English Musical Renaissance」

という表現で、19世紀末~20世紀初頭の

イギリス音楽復興を現しているのを知りました。

English Musical Renaissance - Wikipedia

 

というわけで、謎が解けてよかったです!!

 

次回、冒険風のイラストを上げます。

ご期待ください!!

 

それでは!!