バスクのクラシック音楽特集!! アイタ・ドノスティア | 妄想印象派 自作のイラストや漫画、アニメ、音楽など

妄想印象派 自作のイラストや漫画、アニメ、音楽など

その他、海外アニメ紹介、無名クラシック音楽紹介など

何年も前に購入していながらずっと放置していたCDのレビューを

やっと書ける余裕が生まれました。

 

今回は「バスク」のクラシック音楽を取り上げます。

まず、私のバスク音楽との出会いは、

NAXOSのヘスース・グリーディの管弦楽作品集です。

 

グリーディ:10のバスクの旋律/交響詩 - ナクソス・ミュージック・ライブラリー

 

実はそれ以前に、夭折の神童、

フアン・クリソストモ・ハコボ・アントニオ・デ・アリアーガ・イ・バルソーラ

(Juan Crisóstomo Jacobo Antonio de Arriaga y Balzola)

がバスク系だったというのは余り意識していませんでした。

 

また「狂詩曲フェチ」な私はふと

「バスク狂詩曲って無いかな?」

と思い、調べてみたところ、1889年に、

シャルル・ボルド(Charles Bordes)というフランスの作曲家が、

「ピアノと管弦楽のためのバスク狂詩曲」を書いている事を知り、

以下の記事で取り上げました。

スペイン各地域の狂詩曲(ガリシア狂詩曲・バレンシア狂詩曲・バスク狂詩曲)

2012年7月28日

更に、地元の作曲家アイタ・ドノスティアも、

「管弦楽のためのバスク狂詩曲」を書いている事を知りました。

 

ドノスティアの同曲はアルバムが出ていたので購入したものの、

ずっと放置状態でした。

 

敢えてマイナークラシック音楽のみを取り上げたユニークな著書、

「辺境・周縁のクラシック音楽Ⅰ」(青弓社)

によれば、「バスク音楽コレクション」(Basque Music Collection)

というCDシリーズが、1998年よりリリースされており、

2009年の時点で第9集が出ているそう。

(同書出版は2010年)

 

辺境・周縁のクラシック音楽〈1〉イベリア・ベネルクス篇 - Amazon

 

①ヘスース・グリーディ

Jesús Guridi

②ホセ・マリア・ウサンディサーガ

José María Usandizaga

③ヘスース・アランバリ・ガラテ

Jesús Arámbarri Gárate

④アンドレス・イサシ・リナレス

Andrés Isasi Linares

⑤フランシスコ・エスクデロ・ガルシア・デ・ゴイスエタ

Francisco Escudero García de Goizueta

⑥パブロ・ソロサバル

Pablo Sorozábal

⑦アイタ・ドノスティア

Aita Donostia

⑧トマス・ガルビス・サラベリア

Tomás Garbizu Salaberria

⑨アイタ・マディナ

Aita Madina

 

いやあ、こんなにいたとは…。

現在は第何集まで出ているのか?

少なくとも14集以上は出ているのを確認。

第14集は、ペドロ・サンフアン(Pedro Sanjuán)だそうで。

 

上記とは別に、以下の作曲家も見付けました。

ベルトラン・パゴラ・ゴヤ

Beltrán Pagola Goya

バレンティン・マリア・スビアウレ・ウリオナバレネチェア

Valentin Maria Zubiaurre Urionabarrenetxea

ホセ・アントニオ・サンテステバン

José Antonio Santesteban

(サンテステバン姓の作曲家は他に2名確認)

 

というわけで、今回は、アイタ・ドノスティアをご紹介。

 

アイタ・ドノスティア

Aita Donostia

 

 

本名、

ホセ・ゴンツァロ・スライカ・アレギ(Jose Gontzalo Zulaika Arregi)

ホセ・ゴンサロ・スライカ(Jose Gonzalo Zulaika)

 

1886年1月10日、ギプスコア県(Gipskoa)ドノスティア(Donostia)生まれ。

聖職者、音楽学者、作曲家、民俗学者。

500曲以上ものバスクの旋律を収集した。

 

10人兄弟の3番目に生まれ、幼少時から音楽の才能を示す。

トリビオ・ムギカ(Toribio Mugica)よりバイオリンを学び、

続いて、エレウテリオ・イバルグレン(Eleuterio Ibarguren)、

ベルナルド・ガビオラレキン(Bernardo Gabiolarekin)に学ぶ。

 

10歳の時、バスタン(Baztan)で音楽を学ぶ。

学校のオーケストラのためにヴァイオリンを演奏し、

11歳で初めてのオーケストラ作品「ディアナ」(Diana)を書く。

 

1906年、高校卒業後、カプチン修道会の、

ホセ・アントニオ・デ・サン・セバスティアン神父となるが、

後にドノスティア神父に改名。

「アイタ」は「父」「神父」を意味する。

つまり、「アイタ・ドノスティア」は「ドノスティア神父」という意味。

 

1932年、王立バスク語アカデミー(Euskaltzaindia)会員となる。

 

1936年、スペイン内戦の影響でフランスに追放され、

1943年までバイヨンヌに住む。

 

1943年、バルセロナに、

スペイン音楽研究所(Musikologiako Espainiako Institutua)を設立。

1953年まで活動をする。

6000曲もの歌を収集し、バスクの民間伝承に関する講義を行い、

音楽に関する記事を書き、主要な国際音楽会議に参加。

 

1951年、バスク友愛協会(Euskalerriaren Adiskideen Elkartearen)より、

「バスク地方の音楽と音楽家」(Música y Músicos en el País Vasco)を出版。

 

1956年8月30日、ドノスティア(サン・セバスティアン)に没する。

Jose Gonzalo Zulaika - Wikipedia Euskara

※バスク語は手ごわいのでこれでちゃんと訳せてあるかは自信ありません。

 

バスク音楽コレクション第7集

指揮:クリスティアン・マンデアル(Cristan Mandeal)

演奏:バスク国立管弦楽団(Euskadiko Orkestra Sinfonikoa)

合唱:アンドラ・マリ合唱団(Coral Andra Mari)

【Claves 50-2305】2003年

 

バスク風前奏曲第2集(1918)

Preludios vascos (Segunda serie)

1. 森の中で(Oihanian)

2. 結婚式の宴(Eztei taldea)

3. 子守歌(Seaska aldean eresiz)

4. 吟遊詩人(Mutilen karrika eresiak)

 

聖セシリアの3つの奇蹟(1920)

Les trois miracles de sainte Cécile

1. 最初の絵の前奏曲(Prélude pour le 1er tableau)

2. 婚礼の行列(Cortège de noces)

3. 恍惚な散歩(Promenade extatique)

4. 異教徒の愛の歌(Chanson de l'amour païen)

5. 第3の奇蹟の前奏曲(Prélude du 3ème Miracle)

6. 天使の心 - 最初の絵の最後(Cœur des Anges, Finale de 1er tableau)

 

遠い祭り(1916)

Urruti Jaia

 

鍛冶屋のミランダオラ(1930)

Los ferrones de Mirandaola

 

バスクの水彩画(1932)

Acuarelas Vascas

1. スベロアの景色(Zubero herrialde)

2. 酔っ払いの踊り(Edate-dantza)

3. リンゴの踊り(Sagar-dantza)

4. 手の踊り(Esku-dantza)

5. 黒鳥の踊り(Zozo-dantza)

 

アッシジの聖フランチェスコの偉大なる人生(1926)

La vie profonde de Saint François d'Assise

 

バスコンガダ狂詩曲(1906)

Rapsodia Baskongada

1. 海で(Itsasoan)

2. バサ・チョリチュ(Basa txoritxu)(意味不明)

 

「バスコンガダ狂詩曲」

 

アイタ・ドノスティア作品集の、

作品の一つひとつのレビューは敢えて行いません。

詳細な解説は、記事の冒頭でご紹介した、

「辺境・周縁のクラシック音楽Ⅰ」

をご覧下さい。

 

ざっくりとした感想ですが、

基本的にはバスクの民謡に基づいたロマン派、

すなわち「バスク国民楽派」といった作風。

(国は無いので「バスク民族楽派」かも)

 

バスクの民俗音楽には詳しく無いのですけど、

フラメンコとかパソドブレなど、

所謂スペイン風というのとは違う印象を受けます。

 

ラトヴィアの民俗音楽の雰囲気が、

ロシアの民俗音楽の雰囲気と異なる所と似ている?

 

作品によっては、時代を反映してか、

印象派風だったり、不協和音強めの作品もあったりします。

 

とはいうものの、私の聴いた限りでは、全体的に完成度が高く、

概ね明快で親しみやすく、聴いていて退屈しない作風。

「何故無名なの?」と疑問に思う系。

 

なのでまず、バスクのクラシック音楽で第一に紹介するとすれば、

アイタ・ドノスティアを薦めたい感じですね。

 

あと、「バスコンガダ狂詩曲」は、作曲年からして若干20歳頃の作品ですが、

既にオーケストレーション能力が冴え渡っていて、早熟さを感じます。

そんな所が、ジョルジェ・エネスクの「ルーマニア狂詩曲」を彷彿とさせます。

 

それから、話は変わるのですが、バスク語にも興味があります。

…とは言っても、「カイショ」(こんにちは)と「エグノン」(おはよう)、

「テュンテュナ」(おばかさん)くらいしかまだ身についていません。

「テュンテュナ」は響きが可愛らしく印象的だったので、妙に憶えられました。

 

というわけで、この辺りで失礼いたします。

 

《記事最終更新》

2020年2月4日

 

【追記:2020/2/7】

あと重要な事書き忘れていました。

 

ずっと以前、「世界ふしぎ発見!」(TBS)というテレビ番組で、

バスクが取り上げられた時、日本語とバスク語の間には、

響きが似ているうえに意味も同じ言葉があるとか、

そんな話を出していたのを記憶しています。

 

何という言葉だったか憶えていないのですが、

ネット検索で調べてみると、

「コレバカリダ」という言葉が意味も響きも同じとか。

でも「コレバカリダ」だったかな?

 

綴りはどうなのか調べてみると、

「Kori bakarrik da」(コリバカリッダ)

だそうで。

完全な「コレバカリダ」では無かったですが…。

 

更に調べてみると、岐阜県岐阜市に

「Cafe コレバカリダ」

というお店があるのを確認。

Cafe Kori bakarrik da(コレバカリダ)(カフェコレバカリダ)-レッツぎふグルメ

バスク料理の店かと思いきや、

ベルギービールを楽しむお店だそうで。

 

ちなみに、バスク語は言葉の響きも日本語によく似ていて、

メリハリが利いている上に、文法の基本構造もSOVで同じとか。

文末に「da.」が来る所は、日本語の「~だ」を彷彿とさせます。

というか、意味も同じです。

 

【追記:2020/2/9】

「コレバカリダ」には、

「Kori bakkarik da」(コリバッカリッダ)の綴りもあるのを確認。

しかし、いずれか一方が間違っているのか?

どちらの綴りでもOKなのか、方言による差異なのか?

 

厳密には、

Kori = それ

bakkarik, bakarrik = ~だけ、~のみ

da = ~だ、~である

つまり、「それだけだ」です。

 

また「kori」はロンカル方言だそうで、

標準バスク語では「hori」(オリ)となるそう。

[PDF]第71回 大 会 講 演 ・発 表 要 旨 バスク語.コ ーカサス語と一般言語学 - J-Stage

 

「Cafe コレバカリダ」では、

バスクチーズケーキを提供しているそうで、

一応はバスクの食べ物を取り扱っているのを確認。

しかし、他にもバスク料理を扱っているのかどうかは、

直接問い合わせないと分かりません。

 

画像検索で出たバスク料理と、

カフェコレバカリダで提供している料理の画像が、

そんなに違わない気がするのですが。