ミコラ・リセンコ(Микола Віталійович Лисенко)ウクライナの作曲家 | 妄想印象派 自作のイラストや漫画、アニメ、音楽など

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ミコラ(ムィコラ)・ヴィタリヨヴィチュ・リセンコ(ルィセンコ)1842-1912

(Микола Віталійович Лисенко)


ウクライナ民族楽派の作曲家、ピアニスト、指揮者、教師、民謡収集家。

フリニキ(Гриньки)生まれ

農民詩人タラース・シェウチェーンコ(シェフチェンコ)

(Тарас Григорович Шевченко)の影響を受け、

ウクライナ民謡に強く興味を抱く。

ハルキウ(ハリコフ)大学(Харківський університет)

では最初自然科学を学んでいて、

本格的に音楽を学んでいたわけでは無かったが、

後にライプツィヒ音楽院で本格的に音楽を学ぶようになる。

サンクトペテルブルクでリムスキー=コルサコフに管弦楽技法も学ぶ。

クィーイィウ(キエフ)(Київ)没


【代表作】

・歌劇『ナタルカ・ポルタウカ』

Опера «Наталка Полтавка» (1889)

・歌劇『タラス・ブーリバ』

Опера «Тарас Бульба» (1880-1890)

・幻想曲『ウクライナコサックのシュムカ』(管弦楽)

Фантазія «Український козак-шумка» (1872)


Лисенко Микола Віталійович - Wikipedia, Українська


Микола Лисенко


歌劇『タラス・ブーリバ』(1880-1890)より序曲

Увертюра «Тарас Бульба»

演奏:キエフ国立歌劇場管弦楽団

指揮:コンスタンチン・シメオノフ(Константин Симеонов)

演奏年:1972

http://www.youtube.com/watch?v=KdPQR25nnKs


YouTubeで、これまた良い作曲家を発見してしまいました。

”ロシア”ではなく、”ウクライナ”の作曲家です。

まあ、ウクライナとロシアの区別が付く日本人というのも

余りいないと思いますが。

かくいう私もそうです。

ウクライナとベラルーシってどう違う?と聞かれても、

イメージ的に似たものを感じるので、私も答えられない。


YouTubeで、彼の代表作と思われる

歌劇『タラス・ブーリバ』の序曲その他を聴いてみましたが、

ロシア国民楽派的な響きの巧みな劇的描写が、

名曲と呼んで差し支え無いと思います。

特に、ヒーローサウンドっぽい勇壮な雰囲気がとても気に入りました。

扱った題材からして、ウクライナ出身の小説家

ゴーゴリ(ホーホリ)(Микола Васильович Гоголь)

によるコサックを描いた小説でもあり、

ウクライナ語によるオペラでもあるようなので、

紛れも無くウクライナ民族主義を代表するオペラであろうと思います。

只、ウクライナ民謡に詳しいわけではないので、

ウクライナ民謡とロシア民謡の区別がイマイチ付かないんですけど、

Wikipediaによると、彼は音楽の世界に於ける

ウクライナ民族主義推進者であり、

ウクライナ民謡に基づいて作曲しているとの事なので、

ウクライナ民俗音楽がベースで間違いないと思われます。


『ロシア国民楽派』と言っても、

ロシア民謡だけを扱っているわけではなく、

例えばボロディンの曲なんかを聴いていると、

アジア系とかグルジア系等もカバーしている感じで、

境界が曖昧だったりします。

チャイコフスキーの交響曲第2番『小ロシア』は

ウクライナ民謡を用いていますが、

リセンコのWikipedia英語版では、

チャイコフスキーはリセンコの『タラス・ブーリバ』に

感銘を受けたとあります。


因みに、リセンコのCDが存在するのかどうか確認したところ、

ちゃんとありました。


Микола Лисенко RRCD 272

Микола Лисенко. Кращі твори. // www.UMKA.com.ua

Rostok Records【RRCD 272】2002年

АртВертеп - Найбільший on-line центр сучасної культури України


Микола Лисенко CD

Опера "Тарас Бульба" - Фонотека @ EX.UA

М. Лисенко. "Тарас Бульба", опера в 4-х діях. (2CD). // www.UMKA.com.ua


『タラス・ブーリバ』もCD化されています。

しかし、AmazonやHMV、

タワレコ等の販売サイトでは扱っていないようで、

手に入れるのは容易ではないようです。

ネーメ・ヤルヴィ辺りがリセンコの管弦楽曲集CDでも出せば、

カリンニコフみたいにブレイクする可能性はあると思うんですけど。

『タラス・ブリーバ』は、

如何にもメロディヤ(Мелодия)辺りから出ていても、

おかしくはない曲ではあるけど、

ロシアとウクライナとの間に確執があるからなのか、

それとも単に目に入って無いだけなのか?


『タラス・ブーリバ』と言えば、モラヴィア出身の

レオシュ・ヤナーチェク(Leoš Janáček)

による

交響的狂詩曲『タラス・ブーリバ』

Taras Bulba, rapsodie pro orchestr(1915-1918)

や、リセンコと同じウクライナ出身の

レインゴリト・グリエール

(レーインホリト・モリツォーヴィチュ・フリイェール)

(Рейнгольд Моріцович Глієр)

による

バレー音楽『タラス・ブーリバ』

Балет «Тарас Бульба» (1951-1952)

がよく知られています。

『タラス・ブーリバ』に初めて曲を付けたのがリセンコなので、

その意味でもリセンコに注目が集まる事を望んでいます。


【訂正とお詫び】

ミコラ・リセンコよりも先輩の作曲家

セメン・ステパーノヴィチュ・フラーク・アルテモウシクィイ

Семен Степанович Гулак-Артемовський(1813-1873)

の存在を確認。

民族主義的な作品を書いているので、

ミコラ・リセンコが「ウクライナ国民楽派の祖」というのは

間違いのようです。

ここにお詫びして訂正します。


【追記】2016/8/23

現在、歌劇『タラス・ブーリバ』の抜粋CDが日本で販売中。


MELCD1001800.jpg

ミコラ・リセンコ

歌劇『タラス・ブーリバ』(抜粋)

Опера «Тарас Бульба»

演奏:ウクライナ国立歌劇場(キエフ・オペラ)合唱団&管弦楽団

指揮:コンスタンチン・シメオノフ(Константин Симеонов)

演奏年:1972

【MELCD1001800】

※YouTubeの音源はこのCDからのものと思われます。


CD画像3枚追加。


ヴィタリィオヴィチ → ヴィタリヨヴィチュ

タラス・シェウチェンコ → タラース・シェウチェーンコ

ウクライナのコサックによるシュムカ → ウクライナコサックのシュムカ

レーインホリド・モリツォーヴィチ・フリイェール

レーインホリト・モリツォーヴィチュ・フリイェール

セメン・ステパノヴィチ・フラーク・アルテモウスィクィイ

セメン・ステパーノヴィチュ・フラーク・アルテモウシクィイ






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