私が、
ヘンリー・キャヴェンディッシュ Henry Cavendish
(科学者版ヘンリー・ダーガー Henry Darger)
と共に強くお薦めするのが、
「ドイツの手塚治虫」ことヴィルヘルム・ブッシュ(Wilhelm Busch, 1832-1908)
です。
彼の存在を初めて知ったのは
「風刺の毒」展(埼玉県立近代美術館 1992)
によってですけど、天才マルチクリエイターの堀内誠一氏編集の
「絵本の世界 110人のイラストレーター 第1集」(福音館書店)(1984)
で既に紹介されていました。
私がとても驚いたのは、19世紀の活躍でありながら、
如何にも20世紀以降の漫画の画風を持っていたこと。
時代の先を行っていたのです!!
日本では既に、仙厓などが「ゆるキャラ」の走りみたいな画風の絵を描いていましたけど、
それはおいといて、一般的に西欧に於ける19世紀までの漫画というのは、
妙に生々しいのが多かったと思います。
その中にあって、20世紀に於いて一般的になる思いっきりデフォルメされた画風を
19世紀半ばに描いていたというのは、素直に凄いと思います。
彼の代表作は
「マクスとモーリツ」(Max und Moritz, 1865)
という絵本で、スラップスティック漫画の走りの一つとして重要な存在です。
日本でも「ほるぷ出版」などから和訳・出版されています。
で、彼の凄い所は、それだけではありません。
これをご覧下さい↓
この漫画の一コマは、「名人芸」(Der Virtuos)
という1865年に描かれたものの1場面ですが、
19世紀を半ば過ぎた頃の作だというのに、
所謂「目ん玉飛び出」と「手ジャラ」を描いているのです!!
恐らく「目ん玉飛び出」の元祖はこの絵です!!
赤塚不二夫の「足ジャラ」も、1世紀も先取りしていた!!
「手ジャラ」(千手観音的描写)は、よくフランツ・リストのピアノ演奏の風刺画で
見られますけど、恐らく「手ジャラ」の元祖もこの絵であると思います。
ドイツ語圏以外では知名度が余り高くないようで、日本に於ける知名度も低い。
でも、紛れもなくヴェルヘルム・ブッシュは天才であるには違いないので、
ヘンリー・キャヴェンディッシュと共に、広く啓蒙したいと思っております。
【追記2008.11.7】
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ヘンリー・キャヴェンディッシュ(Henry Cavendish)
科学者版ヘンリー・ダーガー