長年マイナークラシック音楽マニアをしていると、
つくづく「メジャーなクラシック曲って、
お堅いのばかりだなあ・・・」と思う。
「クラシック音楽嫌い」というのはよくいるが、
その主な理由が「お堅い」というイメージ
によるものであると思う。
マイナークラシック音楽には、
やたらと「映画音楽」みたいな
非常に親しみ易い曲が多い。
知名度と内容が物凄く乖離しているのだ。
そこで今回は、
「漫画・アニメっぽいクラシック曲」
を取り上げる事にした。
よく、「子供の為のクラシックコンサート」というのがある。
でも、演奏内容は大抵決まっている。
「胡桃割り人形序曲」「カルメン序曲」「ハンガリー舞曲第5番」
「交響曲第5番『運命』第1楽章」「白鳥の湖『情景』」
「動物の謝肉祭『白鳥』」「アイネ・クライネ・ナハト・ムズィーク」
「ヴィヴァルディ『春』」などなど・・・
でも、こんなのでクラシック音楽ファンを増やせるのかい?
生前は前衛作曲家であったベートーヴェンが、権威主義者によって
お堅いイメージを植え付けられてしまったという感が否めない。
チャック・ベリー(Chuck Berry)の
「ベートーヴェンをぶっとばせ!!」(Roll Over Beethoven)
なんてのに象徴されている様に思える。
でも、「のだめカンタービレ」のお蔭で
クラシックファンが増えたとは言われている。
ミーハー的だけどね。
そこで、マイナークラシック音楽に於ける、
如何にも漫画漫画した曲を取り上げる事にした。
もし私が「子供のためのクラシックコンサート」
を企画したとしたら、これらの曲を使用するだろうと思う曲だ。
子供のクラシック音楽ファンを増やすのみならず、
マイナークラシックファンも増やせるので、
一石二鳥ではないか?
若い世代には分からないかも知れない。
最近のアニメソングは、
POPSをそのまま借りてきただけの感じだから。
私とほぼ同世代か、上の世代には分かるかも知れない。
では行きます!!
ダホメー狂詩曲(1893)
Dahomeesche rapsodie
アウフスト・ドゥ・ブック
August De Boeck(1865-1937)
August De Boeck | ディスコグラフィー | Discogs
ベルギーの作曲家であるブック。
主に「アウグスト・デ・ブック」と表記されるけど、
[u]は「ユー」で、[au]は「アウ」、
[g]は喉の奥から擦り出す様な発音なので、
「アウヒュスト」と個人的に表記している。
(追記:「アウフスト」に変更)
とにかくこの曲を聴いて欲しい
(といっても、CDは滅多に手に入らないけど)。
思いっきり羽目を外したドタバタギャグアニメっぽい!!
ブックの最初の管弦楽曲だというのだが、
信じられない位にオーケストラの超絶技巧が冴え渡っている。
ダホメー(ダオメ)というのは、ゾマホンの故郷「ベナン」のこと。
ダホメーの楽団の演奏にインスパイアされて作曲したという。
René Gailly 2010-2
MARCO POLO 8.223740
シャンパン・ギャロップ(1845)
Champagne Galop op.14
ハンス・クリスティアン・ロンビ
Hans Christian Lumbye(1810-1874)
デンマークのヨハン・シュトラウス2世的存在?
コミカルな漫画的な雰囲気を持った曲を数多く作曲している。
例えば、「汽車ポッポ」そのものな感じの
「コペンハーゲン蒸気機関車ギャロップ」
Københavns Jernbane Damp Galop とか。
ここに取り上げたシャンパーニュ・ギャロップは、
如何にもドタバタアニメか、
昔のお笑い番組で使われてそうな雰囲気の曲で、
19世紀ロマン派の時代には珍しく木琴も使われていて、
それが余計に漫画っぽい。
(追記:バレエ音楽「アマーの近衛兵」よりフィナーレ・ギャロップ
(Finale-galop af balletten "Livjægerne på Amager")
は、運動会のリレーの時等で聴いた様な気がする既聴感あり)
Lumbye: Champagne Galop Orchestral & Concertos Chandos
CHANDOS 9209
アイルランド交響曲(1904, 1915, 1924)
第2楽章「定期市の日」
An Irish Symphony, movement 2 "The Fair Day"
サー・ハミルトン・ハーティ
Sir Herbert Hamilton Harty(1879-1941)
主に指揮者としてしか知られていない。
正統派アイルランド国民楽派の作曲家
としては余り知られていないのが残念。
徐々に有名になっていくであろうとは、予想しているが。
とにかく「映画音楽」っぽい情感溢れる作風が魅力的。
ここに紹介する第2楽章「定期市の日」は、
如何にも子供が無邪気に戯れている様な、
アニメのBGMっぽい曲。
2つの伝承曲が使われている。
「黒苺の花」 Blackberry Blossom は、
スタンフォードの「アイルランド狂詩曲第6番」
にも使用されている。
「去りにし娘」 The Girl I left Behind me. は、
ルロイ・アンダーソンの「アイルランド組曲」
にも使用されている。
NAXOS 8.554732
ノルウェー狂詩曲第1番(1919, 1921?)
Norsk Rapsodi Nr.1
ヨハン・ハルヴォルセン
Johan Halvorsen(1864-1935)
イマイチグリーグの影に隠れている感の否めない、
ノルウェーの国民楽派作曲家。
民族色豊かな曲を書く。
特に、ロールプレイングゲームのBGM
の様な曲が個人的にお気に入り
(マイナー系北欧国民楽派の曲には、
ロープレっぽい雰囲気の曲がやたらと多い)。
「ロシア貴族の入場行進曲」 Bojarenes Inntogsmarsj
などがそれだ。
ここに紹介するノルウェー狂詩曲第1番は
3部形式となっており、その第1部は、
「ミッキーマウスマーチ」と「口笛吹きと犬」と
「魔法使いの弟子」を足した様な、「陽気な行進曲」風。
第2部は、70年代頃の哀愁の歌謡曲っぽい感じ
(マイナー系北欧国民楽派には多い)。
第3部は、第1部と同様に陽気なメロディで、
締め括りが如何にもハッピーエンド!!
NKFCD 50013-2
5つのフラマン舞曲集
(5つのフランダース舞曲集)
Vijf Vlaamse Dansen
ヤン・ブロックス
Jan Blockx(1851-1912)
ベルギー国民楽派の作曲家の1人。
余りCDが出ていない。
交響曲も書いている様だが、未だCDが出ていないようだ。
もっと発掘、研究がなされるべきだと思う作曲家の1人。
ここに紹介する曲は、ベルギー国民楽派の、
スタンダードな雰囲気が大体掴めるかもしれない
大変重要な曲である。
例えて言うなら、ドヴォルジャークの「スラヴ舞曲集」
に相当する立ち位置の曲だ。
何と言うか、雰囲気を言葉で説明しようとすれば、
とにかくほのぼのとして、尚且つコミカルな感じ。
ほのぼのアニメのBGMに
実際使用されていてもおかしくはない曲である。
ていうか、実際に使われているんじゃないの?
René Gailly 2010-2
MARCO POLO 8.223418
未だまだありますけどね、
取り敢えず基本は示しておきました。
クラシック音楽ファンの子供を増やすには、
私のこの作戦が有効だと思いますけどね、でも、
業界で力を持っている人々は、
そんなことしようとしないのでしょうね。
いやあ、権威主義ってヤツは~!!
RPG(ロールプレイングゲーム)っぽい
マイナークラシック曲の紹介とか、
色々と予定しております。
ご期待ください!!
【追記:2021/4/21】
漫画・アニメっぽい → 漫画・アニメ風
コペンハーゲン鉄道ギャロップ → コペンハーゲン蒸気機関車ギャロップ
シャンパーニュギャロップ → シャンパン・ギャロップ
肖像写真追加
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