ペーテル・ブノワ(Peter Benoit)ベルギーの作曲家 | 妄想印象派 自作のイラストや漫画、アニメ、音楽など

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今、私のマイナークラシック音楽に於けるマイブームは、

ベルギーの作曲家です。

 

実は、1990年代にMARCO POLOがそれらの一連の作曲家

アウフスト・ドゥ・ブック August De Boeck

ヤン・ブロックス Jan  Blockx

ポール・ジルソン Paul Gilson

ロードヴェイク・モルテルマンス Lodewijk Mortelmans

などのCDを出していたのですが、私はその当時、

北欧系マイナークラシック音楽の方ばかりに気を取られていたので、

惜しくも気付かなかった。

 

今頃CDを手に入れたくても軒並み廃盤で、

amazon辺りで出ているのを買うしかない。

マーケットプレイスなど個人で出品しているCDは、

支払い方法が限定されるので、

クレジットカードを作る事に抵抗がある人にとっては中々困難。

ギフトカードが使える場合もあるが。

 

私自身マイナークラシック音楽マニアをやっているから分かるのだが、

まずCDを手離すという事は無いんだよね。

絶対数が極めて少ないので貴重だし。

だから、中古CD店は余り当てにならない。

(でも取り敢えずは見に行った方がいいと思う。

万が一という事もあるから)

 

この手の作曲家のCDは、

CD店での取り寄せを扱っていない場合が多い。

 

でも、内容的に非常に見るべきものを感じているので、

売れる売れない関係無しに、大々的に広めたくてしょうがない。

 

NAXOSが、インターネットで曲を配信しているので、

クレジットカードで契約料を払えば聴けます。

契約しなくても、曲のさわりだけ試聴出来ます。

NAXOS MUSIC LIBRARY

 

てか、NAXOSはマイナークラシックに力を入れているんだから、

ベルギー楽派のCDシリーズでも出して下さいよ!!

 

私は、一過性のものには全く興味ありません。

注目されるされないに全く関係無く、

永続的なものしか興味ありません。

 

そんなわけで、まずはペーテル・ブノワの紹介と行きます。

 

 

 

ペーテル・ブノワ Peter Benoit

(1834.8.17~1901.3.8)

 

ハレルベケ Harelbeke(Oarelbeke)生まれ

アントウェルペン Antwerpen 歿

 

苦学の末、17歳でブリュッセル王立音楽院入学。

1857年、カンタータ「アベルの殺人」Cantata, Le Meurtre d'Abel(1857)

により、ベルギーのローマ大賞(Belgian Prix de Rome)受賞。

ドイツ、チェコへ留学。

(フランスのローマ賞とは違い、イタリア以外にも留学できた)

1859年、パリへ移住。

1867年に誕生したフランドル音楽学校では、

ブリュッセルとリエージュの王立音楽院とは違って、フランス語ではなく、

オランダ語での教育が行なわれていた(当時としては画期的だった)のだが、

後にアントワープ王立音楽院と改称し、

1898年にブノワがその音楽院の院長となった。

フランス語系文化が優位であった19世紀ベルギーに於いて、

フラマン系文化の発展に尽力した。

ベルギー国民楽派の開祖と見做される。

 

代表作

○歴史的歌劇「ヘントの和約」(1876)

De Pacificatie van Gent

○「クリスマス オラトリオ」(1959)

Kerstmis

○「盛儀のミサ」(1860)

Hoogmis, Messe solennelle

○「テ デウム」(1862)

Te Deum

○「レクイエム」(1863)

Requiem

Peter Benoit - Wikipedia

Peter Benoit- Bio, Albums, Pictures – Naxos Classical Music.

http://www8.ocn.ne.jp/~ncc/ensou.html

http://www.niigata-nippo.co.jp/pref/index.asp?cateNo=2&newsNo=108534

 

 

 

○感想

「原野にて」(オーボエと弦楽)

In de Felden(1869)

まず最初に出会ったのがこの曲なのだが、余りこの曲は、

出さない方がいいのではないか?と思った。

何故なら、誤解を受ける可能性が高いから。

バロック音楽の様な時代遅れの感じがする。

勿論、原野の寂れた雰囲気も出ているが。

・・・よく分からないが、フランドル民俗音楽には

こういった感じの曲でもあるのかもしれない?

(勝手な想像なので信じないで下さい)

 

 

 

歴史的歌劇「ヘントの和約」

De Pacificatie van Gent(1876)

次に知ったこの劇音楽の管弦楽組曲は、

荒削り感を一部に感じたので、

オーケストレーションに不慣れなのかと思ったけど、

ちゃんとしている部分もあり、恐らく、

内容の雰囲気を出す為の意図的なものか、

大胆な色彩を求めての冒険なのか、

それとも只単に演奏が上手くいかなかったからなのかも知れない。

民族的要素は勿論の事、

ヴァーグナーを思わせる劇的な表現もあり、聴き応えは充分!!

 

内容は、

スペインの支配とそれへの反抗の時代が舞台となっている。

主人公は、アナAnna とヨリスJoris。

日本では余り知られていないが、16世紀のフランドル地方は、

スペインの侵略行為を受けており、

それは「オランダ独立戦争」「80年戦争」と呼ばれている。

「ヘントの和約」は1576年である為、

作曲年は丁度300年記念という事だ。

台本は、エミール・ファン・フーテム Emiel van Goethem。

 

この曲、民族的要素をとても感じるのでとても好きだ。

その上、「序曲」の冒頭部分が怪獣映画音楽みたいだ。

「フィンランディア」の冒頭と、内容的にも似ている。

「スペインの圧政に対するオランダの貴族と民衆の戦い」

(Strijd van Nederlandse adel en volk tegen de Spaanse dwingelandij)

という表題が、序曲に添えられているからだ。

締め括りの、如何にも「栄光への希望」という感じの、

ファンファーレの様なフレーズが

元気を分けてくれそうでとてもいい。

そのフレーズは、「序曲」以外にも形を変えて現れる。

中心的フレーズのようだ。

 

「フィナーレ」Het Feest der Pacificatie

のほのぼのとした舞曲風フレーズは、

ヤン・ブロックス Jan Blockx の

「5つのフラマン舞曲集」Vijf Vlaamse Dansen(1884)

にも通ずる雰囲気を持っている

(ドヴォルジャークの「スラヴ舞曲」にも匹敵する

大変重要な曲なんだけどねえ・・・何故か無名なのだ)。

ブロックスに関しては、別の機会に・・・。

 

 

 

フルート協奏曲(交響的物語)

Concert voor fluit en orkest

symfonisch gedicht, opus43a(1865)

19世紀ロマン派に木管楽器と管弦楽の協奏曲は余り聞かない。

しかも、表題的なのも余りない。

(ベルリオーズの『イタリアのハロルド』があるけど)

そういった意味でもこの曲は注目すべきだと思う。

民話を題材にしているらしい(詳しくは知らないが)。

フルート独奏は、「鬼火」を表しているという。

各楽章には、

第一楽章(前奏曲、鬼火)

第二楽章(憂鬱)

第三楽章(終曲、鬼火の踊り)

と表題が付いている。

フルートの巧みな音色、音による、

如何にも物語の描写といった迫力は、

ロマン派好きにはたまらない!!

これはお薦め!!

 

 

 

ピアノ協奏曲(交響的物語)

Concert voor piano en orkest

symfonisch gedicht, opus43b(1865)

「フルート協奏曲」の姉妹作。

第一楽章(バラード、ハレルベケ城の廃墟)

の劇的で物悲しい情感溢れるピアノの音色は、

とても心に響くものがある。

特に、第二楽章(吟遊詩人の歌)

の音色のうっとりする様な美しさは格別!!

第三楽章(夜の夢幻狩り)

はうって変わって躍動感あるノリのいい曲!!

全体的に、ピアノの音色の美しさは高レベル。

いずれにしても、

何故こんな曲が埋もれていたのか理解に苦しむ。

優れた、でも超マイナーなイチオシの

ロマン派ピアノコンチェルトです。

 

 

 

序曲「はんのきの王様」

Le roi des aulnes(1859)

E.Castin(カスティン?キャスタン?)

作の1幕ものの喜歌劇の序曲。

ベルリオーズやヴェーバーの管弦楽曲を彷彿とさせる

劇的な雰囲気の序曲。

華麗な管弦楽曲がお好きな方にはとてもお薦め!!

 

 

 

 

ベルギー管弦楽作品集(ルネ・ガイイー)

指揮:ユイブレシュト François Huybrechts

演奏:王立フランダース・フィルハーモニー管弦楽団

Koninkljik Filharmonisch Orkest van Vlaanderen

René Gailly 2010-2

「原野にて」収録

 

 

ベルギー管弦楽作品集 第1集(マルコポーロ)

指揮:スィルフェール・ファン・デン・ブルック

Silveer van den Broeck

演奏:VRTフィルハーモニー管弦楽団

VRT Filharmonisch Orkest

MARCO POLO 8.255100

「ヘントの和約」収録

 

 

ベルギー管弦楽作品集 第2集(マルコポーロ)

指揮、演奏、上に同じ。

MARCO POLO 8.255101

「原野にて」収録

 

 

ペーテル・ブノワ

フルート協奏曲/ピアノ協奏曲/序曲「はんのきの王様」

指揮:フレデリック・デフレーゼ Frederic Devreese

演奏:王立フランダース・フィルハーモニー管弦楽団

Koninklijk Filharmonisch Orkest van Vlaanderen

MARCO POLO 8.223827

フルート協奏曲

ピアノ協奏曲

序曲「はんのきの王様」収録

 

【追記:2021/5/10】

ペーテル・ブノワ(ベルギー国民楽派)Peter Benoit

ペーテル・ブノワ(Peter Benoit)ベルギーの作曲家

 

ベルギー国民楽派 → フラマン楽派

 

デフリーゼ → デフレーゼ

※語末のeは曖昧母音になるので

「デフレーズ」とも表記されうるのでは?

 

Frederic Devreese → Frédéric Devreese

 

肖像画像、CD画像差し替え。

 

本文一部修正、追記。

 

ブノワは、ドイツでも、フランスでもない、

フラマンの音楽を創造する試みに挑戦し、

その可能性を見出す賛同者らからなるグループを結成したものの、

フラマン楽派の試みは失敗に終わったそうで。

 

フラマン楽派の作曲家で、

ベルギーの民俗音楽に根ざした作品を積極的に書いたのは、

ヤン・ブロックスくらいで、他のフラマン人作曲家は、

あまり積極的に国民楽派風の作品を書いていない様です。

 

地元の土地や歴史に根ざした作品を書いたブノワですら、

私の聴いた限りでは、あまり民謡を用いている様には見えない。

劇音楽「ヘントの和約」はどことなく民俗音楽の雰囲気は感じるけど。

 

フラマン楽派には、

エドヴァルト・クールフェルス(Edward Keurvels)

エミール・グザヴィエ・ヴァンバック(Émile Xavier Wambach)

といった作曲家もいたそうですが知りませんでした。

 

それと、この記事を書いた2008年、

「盛儀のミサ」日本初演の関係者の方から、

ブログにコメントをいただきました。

 

アーカイヴ頁があるのでリンクさせていただきます。

ポスター画像も。

 

長岡市民合唱団 第23回定期演奏会 ペーテル・ブノワ:HOOGMIS(盛儀のミサ)

 

用事があったため、日本初演に立ち会う事が出来ず残念でしたが、

CDを購入して鑑賞したレビュー記事を後に書いています。

 

ペーテル・ブノワ(Peter Benoit)(2)ベルギーの作曲家

2009年8月20日