親孝行していますか? | 井上浩二の「現在(いま)を考える。」

親孝行していますか?

ペンで真直ぐに線が引けない、自分の名前も書けない、箸を持って食事もできない・・・高齢者に結構な確率で発症する理由の分からない手の震え。病名を本態性振戦(ほんたいせいしんせん)と言うのですが、皆さんは御存じでしたか?親父様が数年前から症状が酷くなり、大好きな碁も打てないほどに。何とかしてあげたいと家族で治療法を探したところ、何と頭を切開せずに治療する方法があることが分かりました。集束超音波治療と言うのですが、日本では恐らく18カ所ぐらいの医療機関でしか提供していないようです。その権威のお一人、仲野雅幸先生が担当して下さって、新百合ヶ丘総合病院で親父様が先週入院して治療して頂き、無事退院しました!金曜日の夜の家族でのお祝い、ヌルッっとしていて私なんかでも掴み辛いアオリイカの刺身もちゃんとお箸で食べることが出来て嬉しそうな親父様。この数年、失っていた日常を取り戻せそうです。介助が結構大変だったお袋様も、親父様が美味しそうに箸でご飯を食べる親父様の姿を見て本当に嬉しそう。家族でとってもハッピーな時間を過ごしました!それにしても、本当に医学の進歩、今の技術にはには驚きです。
 

悔やまない行動が大事!
この治療の間、親父様の病院送り迎えや準備なんかを手伝いながら色々と考えることがありました。「孝行したい時分に親はなし」なんて言葉がありますが、この数年の色々な闘病を支えたり、出来る限りの手伝いが出来たことは、息子としては少しは孝行できたのかなとも思います。しかし、親父様がここ数年患った病気の事を考えると、もっと以前にすべき事があったように思います。親父様は、大のゴルフ好きで、本当にしょっちゅうゴルフをやっていたお陰で、今の体力があって病気を乗り越えられたのだと思います。そのゴルフですが、仕事を引退した15年ぐらい前からやる回数が減り、10年ぐらい前には全く行かなくなってしまいました。月に1回か2回でも続けていたら、全然違っていたんじゃないかな。適度な運動していれば、もしかしたらここ数年に患った病気のいくつかは避けられたのでは?親父様の健康の事を考えたら、親父様の引退後に私がゴルフぐらい付き合って続けているべきだったのでは・・・今思うと、本当に悔やまれます。「俺は、昔からやりたかった囲碁をこれからやるんだ!」と言っていた親父様の言葉を額面通りに受け取り、好きだったゴルフをやらなくなって/やれなくなっていく親父様の本当の気持ちを分かっていなかったのでは?50代になっても仕事ばかりやっている私に、遠慮していたのでは?そんな事を考え、本当の意味で親孝行ができていなかった自分を悔いるばかりです。でも、救いなのは、来月92歳になる親父様も、今年90歳になるお袋様もまだまだ元気な事。これからは、両親が本当に望んでいる、やりたい事を考え、悔やむことがないように行動しようと思います。私が今あるのは、本当に両親のお陰。親父様にも、お袋様にもこれからもっともっと人生を楽しんでもらわないとですよね。

 

両親の事で本当に色々と考えることがあったのですが、親以外にお世話になった諸先輩方にもご恩を返さないとですよね。ただ、私なんかよりずっと先を行っている諸先輩方に出来ることなると・・・育てて頂いたお陰で曲がりなりにもプロとして少しは社会に貢献出来ていることを、お会いして謝意を持って伝えることは必須ですね。それから、出来ている範囲で教えて頂いたことを次の世代に伝える。社会は『じゅんんぐり(順繰り)』、これをやる事が一番の恩返しなのだと個人的には思っています。