仕事を難しくしていますか? | 井上浩二の「現在(いま)を考える。」

仕事を難しくしていますか?

先日、旧友と色んな話をしながらしこたま吞みました。未だに近い領域の仕事もしているので、互いの今の仕事への向き合い方や、今後の人生プランなんかも共感を持ちながら話せるので、とっても楽しい時間でした。で、当然のことながら昔話もするのですが、その中に現代(いま)だからこそまた深く考えないといけなことがあるなぁ、と再認識したことがありました。

 

付加価値を生もうとすると難しくなる
「井上さんは仕事を難しくする!」とある方から当時、怒られた?クレームを言われた?ことがあります。1990年代にMBA教育を個人・企業に提供しようと作られた会社でのことなのですが、この企業は90年代後半から時流にも乗ってどんどん成長していきました。そんな時、私もスクールで始めたばかりのベーシックスキル系の科目立ち上げ、そして2000年代前半からは企業研修部門をファカルティとしてお手伝いさせて頂きました。企業研修を担当させて頂いた時に私が大事にしていたことは、「使えてなんぼ」でした。(今も変わらないかな。)考え方はそんな難しい事ではなく、例えば5FとかVCとかのビジネスでよく使うフレームワークなんかをちゃんと実ビジネスで使えるようになって欲しいという事。そこで、私が担当したクラスでは、事例なんかで説明した後にワークショップ的にこういうフレームワークなんかを使って自社分析をやっちゃったんですよね。ハーバードビジネススクールなんかのケーススタディをやっても同じ。アナロジーでお客様のビジネスで起こっていることを考え、そこに対して参加者と議論する。私はお客様にとって「良かれ」と思ってやっていたのですが、当然他の講師とは違いが出てしまい、営業の方が提案する時にも難しさが出る。良い教科書、ケースがあるのだから、それをそのまま提供すれば良いのでは、それと比べると私は仕事を難しくしているのではという事でした。
そんなご意見を頂き、当時は周りの方とも議論して、ケースバイケースで仕事を先方のメンバーと一緒に作っていたのですが・・・我の強い私としては、その後アクションラーニングを取り入れたプログラムを考え、多くの企業で経営塾的なビジネスを創り、提供させて頂きました。ただ、企業としては、安定して提供できる画一的?なサービスを提供していった方がやり易いですよね。しかも、それでお客様が満足して下さるのであれば、それで十分かもしれない。色んな考え方があると思いますが、今どうなっているかと言うと、先日お会いした方が「経営道場」という形で、大企業にも、ベンチャー企業にも提供して下さっています。素晴らしいし、有難く、本当に嬉しい!こういう方々の人力があり、私が手伝い始めた頃は30数名だった企業が、今や800人を超える企業にまで成長しているのだと思います。
ま、前説が長かったですが、要は「難しい事にチャレンジしなければ、企業は成長しないのでは」ということです。製造現場で長年続けていたライン業務を変える、これも実行して定着化させるのは難しい事です。今までやっていなかったビジネスを始める、これも勿論難しい。今上手く行っていても先はどうなるか分からない、そのために進化し続ける、何か新しい要素を付け加える、そうするから成長できる。それは、どんな事をやろうとも「難しい」ことだと思います。逆に、難しいから面白いと思えることが多々ある。現在(いま)の時代、AIが進化してきて、今後は様々なビジネスに取り入れられて普及してくるタイミング。AIを使ったロボットなんかも普及して来ると、従来とは仕事のやり方を変えて行かないといけないことも出て来る。データ分析、レポートなんかは、まずはAIに結果を出させ、それを人間が見て評価し、AIが見落としている(要はデータだけでの傾向分析では読み取れない要素)ことを付け加えるなんて事が必要になるかも。こういう仕事、難しいですよね。でも、難しい事にチャレンジするから進化する、成長する。もう60歳になる私ですが、これからは今まで以上に「難しい」と思う事に前向きにチャレンジせねば、なんて思いを持てた旧友との一夜でした。