30年後を想像できますか? | 井上浩二の「現在(いま)を考える。」

30年後を想像できますか?

昨日、11月9日でベルリンの壁が崩壊して30年だそうです。早いなぁ。お恥ずかしい話ですが、私の大学生時代の夢の一つは、ベルリンの壁を壊すことでした。国連で働いて、何とか米ソ冷戦を終結させる取り組みに参加して・・・なんてことを考えて色々とやっているうちに、壊れちゃったんですけどね。あれから30年、今のような国際情勢を想像できていた人はいるのかなぁ?
 
時流を読み解く力
勿論全てではないですが、現在起こっているグローバルレベルの問題を多分色々と想像できていたんだろうなぁ、という友人がいました。彼は、ユダヤ系アメリカ人で、当時アメリカの国務省で働いていました。彼のワシントンの自宅に遊びに行った時、米ソ冷戦が終結していく中で今後どうしようか迷っていると相談したことがあります。彼は、「今後は、これまで以上に民族間、宗教間での争いが激しくなる。局地的な紛争も今まで以上に起こる。そういう国際問題の解決に取り組んだらどうか」とアドバイスしてくれました。その時は、少しピンと来ないところもあったのですが、今ならよく分かります。凄いですよね。彼は、歴史上の事実、ユダヤ人という自分の血、そして当時の政治情勢で色々と押さえていたことがあり、米ソ対立という構図が崩れて1極だけが残ったらどんな紛争が起こるか想像できていたんでしょうね。史実、現状をしっかり押さえ、アンテナを張って常に考え続けることの大事さを、彼からも学ばせてもらったように思います。ただ、素敵なアドバイスではあったのですが、民族や宗教の問題にはとんと疎い日本人の私としては、とてもそのアドバイスには乗れなかったんですけどね。

 

読み解けないことへの対応が大事
一方、読み解けないことも多々あると思います。30年前と比べると現在の社会に最も大きなインパクトを与えているのは、言うまでもなくインターネットの普及。技術者の中には、技術的にはネットを普及させることができると確信していた人もいるかもしれません。しかし、社会が今のように受け入れ、対応していくと確信していた人は皆無だったのでは?技術の進歩、コストダウン、そしてこれらを最大限に活用して今のようなビジネスが起こると確信していた人もいないでしょう。(これも、こういう社会を作りたいと夢に描いていた人はいますが、それも少数なんでしょうね。)そればかりか、現在の社会に向け現実に色々な変化が起こり始めても、数年先も見通せないことが多い。今になってGAFAによるデータ独占を問題視する議論が声高になっていますが、何もしなければこうなることは5年以上前に想像できたはず。もっと前から、ネットで得た個人情報を使ったプロモーションとか、実際にビジネスで使われていましたしね。以前から、現在のようなことが起こりうると問題提起していた人もいるはず。そこに耳を貸さなかったり、しっかりと考えなかった人が政治の中枢にいるから、社会としての対応が後追いになっているんじゃないかなぁ、なんて個人的には思います。大事なことは、想定していなかった変化が起こり始めたときに、そういう変化に目を向け、しっかり考えることなんでしょうね。

 

さて、これから30年後はどんな社会になっているのでしょうね?個人的には、トランプのような政治的リーダーはいなくなっていて欲しいなぁ。シェアエコノミーが良い意味で広がり、世界の富の基礎部分は世界でシェアして大きな格差をなくして、それ以上のところで皆が切磋琢磨して社会が進化する、そんな世の中になっていたらいいと思いませんか?そのような世の中にするには、環境問題、飢餓の問題などなど、ベース部分で解決しないといけないことが山積していますけどね。一方、個人的にも自分がどんな生活をしているか、考えないとですね。8年前に逗子に引っ越して今の生活があるのですが、30年前には休日に息子と江ノ島にサイクリングしているなんて、夢にも思っていなかった。生きていればですが、30年後どんな生活になるか、したいかなんてことも考えてみようと思います。