蛇にピアス | RYUJIのサブカル批評

蛇にピアス

DVDにて映画「蛇にピアス」を鑑賞。


吉高由里子の存在感は凄い。今後の活躍が楽しみです。


蜷川幸雄の映画はいつも見ているが、この作品も蜷川の代表作とはならなかった。

演出家として、いくら才能があったとしても、映画監督として成功するとは限らない。この映画は、その良い例だ。


若い女優のオールヌード、刺青、スプリットタン、過激なセックス描写、やくざ、殺人・・・・・・そのすべてが非現実的で説得力に欠ける。それは描いている世界が特別だからという意味ではない。この映画はセットから小道具、登場人物の行動に至るまで、そのすべてが大人が作り出した架空の若者像という臭いで溢れかえっている。


原作は未読なので、何とも言えないが、この話は映画化に不向きでしょ。


蜷川監督は、撮る題材をいつも間違えているように思う。

10代、20代のアンダーグラウンドに棲息する現代の若者の姿を、70過ぎの男がリアリティーを持って描けるとはとても思えない。

背伸びしたら駄目。蜷川は映画監督としての自分の評価を気にし過ぎているように思う。


とても過激で危険な世界を描いているのに、僕はこの映画になんのヤバさも感じなかった。

ヒリヒリしたような感覚、胸が締め付けられるような緊張感を観客に感じさせなければいけない映画なのに、この作品には「リアル」が欠けていて、映画を見ている間中、「こんなのも撮れるよ、どうだ刺激的だろ!」と思いつつ、ニヤニヤと笑いながらレンズを覗き込む蜷川監督の顔ばかりが思い浮かんでしまった。


女優を裸にして、過激なセックスシーンを入れれば「アート」の出来上がり。そんな時代も確かにありましたけどね。


蜷川監督には、得意分野の題材で、年相応(分相応)の映画を撮ってほしいです。

偉いプロデューサーか誰か、蜷川監督にはっきり物を言える硬派な人、出て来ないかなぁ。出て来ないだろうなぁ。


採点/25点


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