久々にCDを買った。アルバムの発表は1997年となっている。以前、ヤング・ギター誌のゲイリー追悼特集のコーナーに掲載されたレビューには、以下の解説があった。

 

90年代のクラブ・ミュージックの影響を受け、ループ系のドラム・サウンドを採り入れており、ファンに衝撃を与えたゲイリー史上随一の問題作。

 

歌モノとして捉えれば完成度は高く、ゲイリーの熱いギター自体は全く不変である。特に14分もの大作(10)では入魂のギター・ソロが聴ける。

 

「ループ系のドラム・サウンド」「熱いギターは不変」「ファンに衝撃を与えたゲイリー史上随一の問題作」「14分の大作での入魂のギター・ソロ」これらを読んで興味を持ち、聴いてみようと思ったのだ。その収録曲は、以下の通り。

 

(1)One good reason …… 3' 20"

(2)Cold wind blows …… 5' 26"

(3)I have found my love in you …… 4' 55"

(4)One fine day …… 4' 58"

(5)Like angels …… 7' 52"

(6)What are we here for? …… 5' 44"

(7)Always there for you …… 4' 33"

(8)Afraid of tomorrow …… 6' 42"

(9)Where did we go wrong? …… 6' 36"

(10)Business as usual …… 18' 02"

 

「特に14分もの大作(10)では入魂のギター・ソロが聴ける」とヤング・ギター誌にはあったが、10曲目は「シークレット・トラックを含むと18分」もあった。

 

「シークレット・トラック」とは、プレイが終わったあと放置しておくと、忘れたように曲が始まり「え?もう1曲あったんかい!」となるだけの話で(笑)実質的な11曲目が約4分。

 

さて、以下に個人的な感想を書こう。まず「ループ系のドラム・サウンド」とあったが、記事を読まなかったら、自分はそれに気付かなかったと思う(笑)

 

「熱いギターは不変」とあり、弾きまくりか?と思ったらそうではなく、確かにギターのトーンは相変わらずの「極上トーン」なのだが、ギターの出番は少なく、レビューにあったように「歌モノとして捉えれば完成度は高い」というか、ブルース・アルバムではないということだ。ギターアルバムではないってことだ。

 

しかし、自分はこのアルバム、とても気に入った。「ファンに衝撃を与えたゲイリー史上随一の問題作」とあったし、ループ系のドラムとかもあり「クラブ・ミュージックみたいな感じなのか?」と思ったが、そんな印象は全く受けなかった。

 

逆に、深夜に酒でも飲みつつギターのメンテナンスしながら、あるいは、深夜の首都高ドライブのBGMにしたら、とっても心地よいんじゃないか?と思った。ブルースだけじゃなくて、こういうアルバムもあって良いと思った。

 

つまり、ノリノリのシャッフルやブギのリズムで、ソロはゲイリー節炸裂!って感じだと、自分の場合は聴き入ってしまう、というか、聴き流せないのである。どうやって弾いてるか?考えてしまうのである。

 

また、このアルバムは曲調に統一感があって、聴く時は最初から最後まで通して聴きたいアルバムだと思った。その曲調を言葉にするのは難しいが、浮遊感、メランコリック、メロウ、みたいな単語が思い浮かぶ。

 

そして10曲目の「Business as usual」は「14分の大作での入魂のギター・ソロ」ということで、凄い弾きまくりの長いソロが入ってんだろ?と思ったが、なかなかソロが始まらず、今か?今か?と思っているうちに曲が終わってしまった…

 

自分は、むせび泣くような、扇情的かつ官能的なソロを勝手に期待してしまったのである。でも、好きな曲ではある。

 

ということで、いつものゲイリー節を期待していた人やブルース好きの人は拍子抜けしたかもしれないが、音楽の好みは人それぞれ。自分は、ゲイリーのアルバムの中でこういうのが有っても良いと思うし、何より、とても気に入った。最近は毎日延々と繰り返し聴いている。

 

中でも特に気に入った曲は、美しいギター・ソロと極上トーン、癒される曲調、5曲目の「Like angels」と、ゆったりしたギターソロがとっても心地よい9曲目の「Where did we go wrong?」である。