大震災が原因で起こった、福島第一原発の事故。
未だに収束することはなく、被災者の不安・不満や現場・作業員の疲労は、限界を超えた状況にある。
今この問題で、何を一番優先すべきかと言えば、放射線や放射性物質の新たな流出・拡散を防ぎ、一日でも早く冷温停止状態にすること。
これが達成されれば、当然次には、原発周辺地域の環境回復に繋げていかなければならない。
これは、自明の理と言える程、誰もが分かっていることだ。
しかし、先頭に立って、問題の解決に当たっているはずの、政治家(民主党政権・野党自民党の両方),東京電力,原子力安全保安院,原子力安全委員会,SPEEDIを管轄する文部科学省等の当事者(特に幹部)は、保身と責任の擦り合いに終始して、本気で国民の健康を守る気があるとは到底思えない。
ドービル・サミットでの菅首相。
原発推進を掲げるホスト国フランスの思惑もあり、原発事故の責任追及で吊し上げを食らうことだけは避けられた。
しかし、2020年までに、日本が、全エネルギーに対する自然エネルギーの割合を20%にするという、新たな約束をさせられてしまった。
しかも、このことを官房長官以下政府幹部にすら伝えずに、独断専行したというのだから、あいた口が塞がらない。
日本国内では、今回のサミットの主役と報道されることもあったが、こんな時だからこそ、一国の宰相としての威厳ある姿を見たかったのに、意味不明な作り笑いばかり見せられて、足元では自らの失脚を目論む動きまであり、既にリーダーシップが全く感じられないところまで追い込まれている。
国内では、菅降ろしに止まることなく、もし不信任案が可決されれば、解散・総選挙だとの意見も出ている。
僕は、復旧・復興が軌道に乗っていない現時点では、自民党が不信任案を出すことも、民主党が内部分裂してそれに同調することも、両方反対だ。
震災直後の入閣要請を断った自民党にしても、危機管理内閣の色合いを強く打ち出せなかった民主党にしても、結局はタイミングを逸してずるずるときてしまったのだ。
これは想像だが、もしあの時菅政権が、ある程度の期限を切って、復興が軌道に乗れば解散することを担保に自民党に協力を要請すれば、谷垣さんは乗ったのだろうか?
今となっては、言っても仕方のないことだが……。
今日見たニュース番組の中で、解説の木村太郎氏が、「総選挙になれば、1ヶ月の政治空白ができる上、800億円もの費用がかかる。そんな事をするくらいなら、その800億円を復興支援に充てるべきだ」と述べていたが、正にその通りで、100%支持したい。
事故直後から、情報の隠蔽或いは開示の遅延については、批判が繰り返されてきた。
ここにきて、新たに2つの問題が明るみに出ている。
1つは、事故直後に海水注入が中断されたていたと見られる件。
聞こえてくるのは、誰がいつ何を理由に判断し、どのタイミングで命令したのかという話ばかり。
結局、福島第一原発の吉田昌郎所長の判断で、注入が継続されていたことが分かった。
だが、面子だかプライドだか知らないが、当事者同士で言った言わないの揉め事が起こり、ここでも被災者不在が浮き彫りになっている。
しかも、事実関係を疑う声が残っている上、命令に逆らって独断で海水注入を継続した吉田所長を処分するという話まで出て、フランス滞在中の菅総理が、慌てて打ち消す一幕もあった。
現場にしか分からないことを、機転をきかせて実行に移し、結果的に正しい判断であったにもかかわらず、処分するなんてもっての外だ。
指揮命令系統を破ったことを問題視したのだろうが、上記の運命共同体ともいえる当事者達が、1つの組織として機能していないことは明白であり、現場の判断に口を挟む前に、自分達の指揮命令系統や情報伝達経路の整備が先決ではないのか?
2つ目は、文部科学省・原子力安全課・原子力防災ネットワークという長い名前の組織が管轄する、SPEEDI(放射性物質や放射線の拡散地域及び濃度・線量を予測する装置)について、震災直後から詳しいデータを持っていたにもかかわらず、一切公開しなかったことだ。
このデータを参考にして避難すれば、高濃度の放射線を浴びることを回避できた被災者も多数いたことは事実であり、どんな言い訳をしても、この隠蔽は許されない。
最近になって、ようやく公開される方向へ動き出したようだが、これまでなぜ公開しなかったのかとの問いに対する、各当事者の言い訳がひどい。
政府サイドは、SPEEDIのデータがあることを知らなかったと言い、他の組織も、要請がなかったとか、公開するかしないかの判断をする立場になかったと言う。
そして、共通する言い訳としては、予測はあくまでも予測であり、確実な情報でないと、混乱或いはパニックを招く恐れがあるので公開できないというものだ。
これだけを見ても、彼等当事者達が、運命共同体の体を成していないことが裏付けられる。
まず根底にあるのは、自らの保身の為に責任の擦り合いをすることなんですよ。
ここまで来ると、何もできない僕自身を、本当に呪いたくなる。
国の実権を握り、復興支援や事故対策を指揮しているのは、彼等なのだから。
とにかく、事の推移を見守るしかない。
原発問題といえば、俳優の山本太郎氏のことが、ネットを中心に取りざたされている。
山本氏が、原発反対運動に参加したことによって、出演するはずだったドラマを降板させられたり、所属事務所を辞めざるを得なくなったことが、大きく扱われている。
まず、分からないのは、原発を批判すると、なぜ、芸能界を干されなければならないのか?
理由として一般的には、広い意味でスポンサーに原発関連企業が多いことや、原発を長年推進してきた、歴代の自民党政権の関係者に睨まれては、芸能活動が成り立たないということらしい。
だが本当に、そんなことが理由なのかなぁ?
憲法19条で、思想・良心の自由は認められているし、特定の政党・政治団体や宗教団体を、支持又は所属しているタレントが、大手を振るって活躍しているではないか。
ジャーナリストや評論家ではない芸能人が、ワイドショーのコメンテーターとして、ジャンルに拘わらず自由な発言をしているじゃないか。
もちろん、それが当り前だし、視聴者も、その団体の色を強く出しさえしなければ、何ら違和感を感じることもない。
もしかすると、原発を批判することに、僕の知らない、何か特別の意味があるのだろうか。
それとも、山本氏の方に報道されてない事情があるのか。
本当のところは、知る由もないが、もし単純に原発を批判すると芸能界を干されるのであれば、その世界なりの慣習があるにしても、人権問題といってもいい、由々しき事態だと言えよう。
では、また。