日本にもゆかりの深い、ケニア人マラソン選手のサムエル・ワンジル氏が亡くなった。
僕がこのニュースを聞いたとき、真っ先に思い出したのは、同じケニア人のエリック・ワイナイナ選手のことだ。
以下に、来日後の2人の略歴を紹介したい。
サムエル・ワンジル
15歳で仙台育英高へ留学。以後3年間、京都・都大路で行われる全国高校駅伝で、3年連続区間賞を獲得する等、長距離のエースとして活躍。
18歳で高校卒業後、実業団チーム・トヨタ自動車九州に入社し、トラック・駅伝・ハーフマラソン等で好成績を出す。
21歳の時、初マラソンとして挑んだ、福岡国際マラソンで大会記録を更新して優勝。しかし翌年、実業団に所属していては、駅伝を走らなくてはならず、マラソンに専念できないとして、トヨタ自動車九州を退社。
同年8月、北京オリンピック・男子マラソンで、オリンピック新記録で金メダルを獲得。21歳9ヶ月の若さだった。
その後も、シカゴマラソンに2度勝利する等、順調な競技生活を送っていたが、私生活では、妻を銃で脅迫したとして告訴されたり、交通事故で怪我を負い、レースを棄権する等、トラブルが相次いでいた。
そして、一昨日、ケニアの自宅バルコニーから転落死。まだ、24歳だった。一部では、死の直前にも、複数の女性と自宅・ベッドルームに居たところを妻に目撃されたとの報道もあるが、今のところ、事故死か自殺かを含めて、真偽のほどは定かではない。
エリック・ワイナイナ
19歳で来日し、実業団チーム・コニカミノルタ(当時はコニカ)に所属。
20歳で、初マラソンとして挑んだ北海道マラソンで優勝。以後、数々のマラソン・駅伝で活躍。
22歳の時、アトランタオリンピック男子マラソン銅メダル。
26歳で、シドニーオリンピックの同種目で銀メダルを獲得し、2大会連続のメダリストとなる。
その後も、日本のレースを中心に活躍し、2006年に32歳でコニカミノルタを退社してクラブチームに移籍した後は、陸上競技の普及活動や講演、テレビ出演も果たしている。
37歳となった現在は、ロンドンオリンピックの代表入りを目指してトレーニング中だという。
世代の違う2人の間に、交流があったのか否かは分からないが、日本で才能を開花させ、オリンピックのメダリストになったことや、慣れない外国での暮らしに順応し、日本語が堪能で誰からも愛される人柄であったことなど、驚くほどの共通点がある。
だが、メダル獲得後の運命は、大きく分かれてしまったようだ。
残念に思うことは、ワンジル選手の場合、日本なら大学生と同じ、21歳という年齢で、所属する実業団を離れて帰国・独立したこと。
そして、金メダルを獲得し地位と名誉を得た後に、傍に良いブレーンがいなかったのではないかと思われることが、何とも悔やまれる。
ロンドンオリンピックでは、連覇の期待も大きかっただけに、本人や関係者の無念さは計り知れない。
今はただ、心からご冥福をお祈りすることしかできない。
では、また。