皆様、こんにちは。
大阪市淀川区・新大阪の社会保険労務士、寺田です。
今日は少し曇っているせいか、午前中は室内にいると過ごしやすい気温でしたね。
暫くは天気の良い日が続くようなので、天気と同じく気分の良い日が過ごせたら良いな、と思います(^^)
昨日から遂に「新型コロナウィルスによる県を跨ぐ移動の自粛」が全国的に緩和されましたね。
少しずつ以前の日常に戻ろうとしている反面、東京をはじめ「感染拡大の第2波」への不安もあり、難しいところだと思います
さてそんな中、感染拡大が囁かれだした頃から懸念されていた、
新型コロナウィルスの影響による企業の倒産や失業率の増加が、現実的なものとなってきました。
(参考資料「データバンクHP」:https://www.tdb.co.jp/tosan/covid19/index.html)
上記の帝国データバンク調べによると、2月末から6月18日時点での全国のコロナ関連倒産件数は「266件」とのこと。
企業の規模や、地域性などもありますがやはり大都市圏での影響が大きく、既に雇用の流動(失業者の増加、等)が始まっています。
何とかコロナ禍を乗り切れた企業でも、業種によっては、
①人件費を抑えてコロナ禍後の立ち直りを計る企業
であったり逆に失業者が増えるのを見越して、
②慢性的な企業の人材不足を補おうとする企業
のどちらかに分かれるのかもしれません。
とはいえ、ここで難しいのは、
仮にもし自分が①の企業の経営者だとして、
A「普段から会社の業績に貢献している人や、数字には表れなくても日々の努力を欠かさない人材」
と
B「普段から会社でトラブルを起こしがちであったり、同僚や周りの人に職場や上司に対する不満を常日頃から漏らし、職場環境に良くない影響を与えていたり、職場で任された業務よりも、プライベートや自分の都合を優先してきたような人材」
がいたとして仮に、職務能力(スキル・経験など)のみは同レベルだとしたら、そんな状況下でどちらを会社に残そうとするでしょうか??
また②の企業の経営者の立場で、実際に現場で慢性的な人材不足があって背に腹はかえれられない状況であったとしても、採用した人材が「B」のような人材であれば、そのまま雇用継続したいと考えるでしょうか??
最悪、コロナ禍の影響で勤務先の企業が倒産したとしても「A」のような人材であれば、どんな会社からも引く手あまたかもしれませんし、すぐに次の就職先が決まるかもしれません、また条件が整う人であれば、これを機に「起業」や「フリーランス」の道を選ぶ方もいるかもしれません。
最近、ニュースなどで「アフターコロナの働き方」という話題をよく耳にしますが、
・在宅ワークを休業要請解除後も希望
・IT化や新しい技術を使った新しい働き方
・通勤時間や費用の無駄を節約・削減
、等々、一見すると世の中が便利で良くなるような錯覚を起こしそうになります。
ただ、私自身はテレビの街頭インタビューなどで
「通勤ラッシュも無くなるし、時間が有効に使えて便利だと思います」と笑顔で答えているような方々を見ると正直、ゾッとします・・・
(マスコミの印象操作も多少はあるとは思いますが。)
というのも、
「在宅で【労働者】が出来る仕事」って実際に今の世の中でどの程度あるのでしょうか?
事業主や経営者は別として、
「在宅ワーク」の中には、その人でなくても出来る仕事や、極端な話、人ではなく(ロボット・AIなど)でも対応可能な仕事も含まれないでしょうか?
怖いのは、人間がやる仕事をどんどん「便利さ・効率化」という一言で減らしていってしまう事と、「便利さ・効率化」という心地良い言葉に騙されて、プライベートや自分の時間が増えるような錯覚もあり、危機感を感じなくなっていたり、思考が止まっている人の存在だと思います・・・
(公共交通機関を例に挙げれば、)
「通勤ラッシュ」が減れば、公共交通機関の利用者も減りますし、そうなれば公共交通機関の売上が減り、採算性の問題から列車の本数も減ると思います。
勿論、売上が減れば、利用料(乗車賃など)を上げるか、人件費を減らさざるを得ないので、交通費が高くなるか、失業者が増えます。
普段の生活も全て、引き籠ったままで可能(生活必需品のネット購入など)になるのであれば、隣近所との付き合いも今以上に減ると思いますし、近所で何が起こっているかもわからず、極端な話、「孤独死」「身近な重大犯罪」も今以上に増えるかもしれません・・・。
人の感性や創造性を必要としない単純作業であれば、ロボットやAIに取って代わられるでしょうし、店舗販売の業種であれば、店舗自体が無くなれば、俗に言う「販売員」が要らなくなります。
既に、スーパーなどではレジ(会計)の自動化なども進んでいて、(語弊を恐れずに言えば)「最低限、レジ打ちが出来れば良い」という雇用の需要は実際に減っていますし、ネット販売の影響で、全国の書店をはじめ店舗販売の業態は煽りをくっています・・・。
「少子高齢化」と「労働者人口の減少」という2本柱を建前に、「IT化・AI技術の導入」などが推奨されますが、私の個人的な感想では、建前と導入のバランスやスピード感があっていないと思います。
仮に予想通り今後、「便利化(IT化、無人化)」の方が急速に進むとすれば、間違いなく失業者は今以上に増えると思いますし、
専門的なスキルや創造性のある職種を持たない立場の方々は益々、立場が弱くなっていく事が予想されます。
例えば、複雑な物を作るような仕事(飲食店・伝統工芸品・芸術家・その他)の職人的なものや、医療現場、介護現場といった人を主体とした業種であれば、そのスキルを持った人自身の需要は今後もあると思いますが、AI化、オートメーション化が進めば、これまでのように「接客・会計と皿洗い、その他業務」を主にしていたような俗に言う「店員さん」だと店には人員として要らなくなる可能性もあります・・・。
車や交通機関の自動運転の技術が発達すれば、運転手も必要無くなりますし、「最低限、車が運転出来ればOK!!(勿論、それだけではあありませんが)」という雇用の需要は無くなると思います。
メリットと言えば、過重労働による居眠り運転等による交通事故や煽り運転などは若干減るかも??という事くらいでしょうか?
仮に、その人目当てでお客さんが来るような店舗の凄く愛想の良い店員さんであったり、人柄から需要があるような人気者のタクシードライバーや運転手といった労働者であれば、その方個人の需要はあるかもしれませんが、残念ながら大多数の方はそうでは無いと思います・・・。
上の例で挙げた、「B」の人種についても、ここしばらくの労使環境で「売り手市場(労働者優位の環境)」が長く続いた影響もあり、「使用者」側の立場がどんどん弱くなっていたことから、間違った認識の権利意識や考え方を持った「労働者」が増えてしまった事や、そういった「労働者」が周りから甘やかされ続けた弊害もあると思います
(※あくまで個人の感想です。また過労死問題やブラック企業などの問題もありますが一旦、それ以外のケースで考えています。)
ただ、今回のコロナ禍の影響でそういった今までの状況に逆転現象が起こり、暫くその状況が続くことは容易に想像されます。
企業がコロナ禍で受けた経済損失を埋めるまで、もちろん正社員採用の枠は減るでしょうし、今後は契約社員やパートタイム雇用が当たり前の世の中になると思います。
人件費の削減は続くと思いますので、昇給や賞与の見直し(据え置き・減額など)、福利厚生面での待遇も多くの企業で見直される事が予想されます。
経験や技能のある方の需要は今後も益々高まるとは思いますが、そういったものが少ない方やそもそも無い方(既卒で業種未経験の方など)であれば、企業の採用担当者は間違いなく、将来性を見越してより年齢の若い方を優先採用するようになると思います。
国としては「労働者人口の減少」と同時に「IT化や便利さの影響で就労できなくなる人の増加」に対する対策を考えておかないと、実労働者(実際に仕事に就いて、税金等を納めている現役世代)の人口が減れば、実労働者が税金や社会補償費(年金生活者世代の年金原資や医療費など)を賄う事になるので、現役世代の負担は益々、増えると思います。場合によっては将来的に高齢者への迫害なども起こりうるかもしれません・・・。
・・・考えると話しは尽きませんが、こういったことを考え出すと、平気で「通勤ラッシュが減って、便利になる」と短絡的にインタビューに答えられる方々って・・・、本当に怖いなと個人的に思います
今後、労使間で雇用環境の「売り手市場」と「買い手市場」の逆転現象が予想される中、
・会社の繁忙期で、人員が不足していても平気で休む(有給休暇、等の権利)
・自分の予定があるので仕事が中途半端で同僚や上司・会社に迷惑が掛かるのを承知で帰る(権利)
・・・その他、
の考え方のままでいる労働者の方々や、
・どんな職種でも、どこでもいいから取り敢えず就職する
・時給やプライベートに融通が利くかを重視して仕事を選ぶ
といった求職者の方々は少し、意識を改める必要性が出てくるように思えます・・・。
(勿論、重要性の高い、育児や家庭の事情、病気といった本当に必要な場合の権利主張は大事だと思います)
・・・人によっては、今回はちょっと耳の痛い話かもしれませんね
寺田憲生