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春のこもれ日の中で・・・
君のやさしさにうもれていた僕は
弱虫だったんだよね
今日は珍しく、こんな透き通るような純文学的な女性ボーカルの話です。
森田童子と書いて(もりた どうじ)
我々の世代なら、懐かしい・・・いや、懐かし過ぎて心の琴線(きんせん)に響きわたるあの声は、音楽とかフォークソングとか、そんな表現では言い表せない超ユニークなシンガーソングライターです。
実は、この春に他界されていたことを、私もつい最近知ったばかりです。
「高校教師」というドラマや映画で、彼女のいくつかの曲が使われていたことも、ちょっと意外でした。
さぁ、そんな「森田童子」という、昭和そのものと言っても過言ではないその世界観・・・冒頭で紹介した「僕たちの失敗」が、私ような無頼派?ヒッピーまで虜にしてしまう秘密に迫ってみたいと思います。
先ずは、私と全くの同世代でした。
先ほどの「僕たちの失敗」の歌詞の中に、そんな共通点もいくつかあります。
♪ストーブ代わりの電熱器
赤く燃えていた・・・
こんな暖房設備?しかなかった池袋の安アパートの四畳半で、私にも似たような若い純文学的な日々がありました(苦笑)
♪地下のジャズ喫茶・・・
変われない僕たちがいた
これもやはり池袋や新宿の、今となってはセピア色の想い出そのものという原風景・・・まぁ、今風に言えばプレミアムなワンシーンというところでしょうか?
私のように吉田拓郎やジョン・レノンやボブ・ディランなどのメッセージ系の曲で育ち、自分でもそんな世界観で曲作りをする人間が・・・何故?森田童子のあの純文学的でやや退廃的な世界観にも惹かれるのか?
私なりに分析してみた結果、おそらくは無意識のバランス感覚!?
そんな答えしか出て来ません!
あまり弱音も吐かず、どちらかと言えば多くの人にエールを送るような創作を続けて来た私の心の内側に・・・森田童子のあの決して前向きでもなく、人を元気づけることとは程遠い「孤の世界」の何かが、何故か訴えかけて来ます。
豊かさがあるわけではなく、希望に充ちているわけでもない、そんな森田童子の世界観ですが・・・単なるマイナーで感傷的な世界かと言えば、私にはそれだけでは終わらない何かが、彼女のあの声や歌詞の中にあると感じています。
それは「愛」というほどの温度の高い優しさではなく、敢えて言うなら「慈悲」というような、もっとささやかで・・・それ故に、すべての人を慰めてしまう人間力?なのかも知れません。
今日はいつになくこんな心境のまま、もう一度「僕たちの失敗」を聴いて、あの儚くも美しい完璧な「孤の世界」に浸って寝ます。
それでは、今日はこの辺で!!