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人事労務に効くクスリ

栃木県宇都宮市の社労士事務所、メンタルサポートろうむ 代表 李怜香のブログ。
日常のあれこれを中心に、仕事のこともちょっぴり書いてます。

仕事には感情を持ち込んではいけない、と思っている方は多いようです。

 

 確かに、「チームを組んだあの人が気に入らないから、この仕事はできません」なんてことをいう人がいれば、「仕事に感情を持ち込むな」とも言いたくなるでしょう。

 

 また、お客様に理不尽な要求をされ、お腹の中は煮えくりかえっているのに顔はニコニコ、「申し訳ございません」と何度も頭を下げる。日々そんなお仕事の中で、自分の感情を表に出さないことに慣れている方もいるでしょう。

 

いっそ感情などないほうがどんなにラクか、と思うこともありますよね。

 

でも、人間は残念ながらロボットにはなれません。自分の感情とうまくつきあっていくしかないのです。

 

そのためには、まず自分自身、ほんとうになにを感じているのか、どういう気持ちでいるのか、そこに気づく必要があります。

 

と言うと、自分の気持なんて自分でわかっているよ、という答が返ってきます。

 

ほんとうにそうでしょうか?

 

「ここでは、どんなマイナスな感情も、たとえ不道徳なものであってもすべて受け入れます。どうぞ、あなたの気持ちを話して下さい」と言っても、すぐに自分の気持が言える人は、実はあまり多くありません。

 

 感情を出さない訓練をずっと続けていると、感情は心の奥の方に入ってしまって目に見えるところに出てこなくなります。

 

 そんなことがずっと続くと、表現されない感情は持ち主に復讐を始めます。

 

なぜか、いつも気分がモヤモヤイライラする。

風邪でもないのに、いつも頭が痛い。

会社に行こうとするとお腹が下ってしまう。

 

そんなことになる前に、自分の感情を少しずつ出すコツを覚えましょう。

 

そのための一つの方法として、主語を「わたし」にして考えるというやり方があります。

 

例をいくつかあげてみましょう。

 

「どうしよう」→「(わたしは、)どうしたらよいか迷っている」

 

「あの人がにらむからコワイ」→「(わたしは、)あの人の顔を見たら、こちらをじっと見ているので、にらまれたと思って、コワくなった」

 

「ぐずぐずするな」→「(わたしは、)あなたの動きが遅く感じられるので、急いでほしい」

 

「わかってくれない」→「(わたしは、)自分の気持を理解してほしいと思っているが、あなたにうまく伝わっていない」

 

「一体、なにをやっているんだ」→「(わたしは、)あなたに期待していることがあるのに、あなたがそれに応えていないと感じて、腹が立っている」

 

どんな感じかおわかりになったでしょうか?

 

「わたしは」という部分にかっこをつけました。主語がないほうが日本語としては自然なので、だれでも、そのように考えるクセがついていますが、ここは練習のために、一度「わたしは」をつけて考えてみてください。

 

「わたしは」という主語をつけると、ほんとうははっきりしないことを決めつけていたり、自分の都合をあいてにおしつけていたりすることに気づくこともあるかもしれません。

 

わたしの人生の主人公は「わたし」です。自分の気持をあらわすときは、主語も「わたし」でいきましょう。


部下を育成するには、まずほめること、とよく言われます。

でも、これが案外難しい。

ひとりの部下をほめると、ほかの部下がおもしろくない。

ほめようと思っても、こちらの期待する水準の仕事をしてくれなくてどこをほめたらいいのかわからない。

子供じゃあるまいし、わざとらしくほめたりしたら、かえって気分を害するのではないか。

いろいろ考えてしまいますね。

ここで、ひとつ発想を転換してみましょう。

「ほめる」のではなく、「認める」。
部下が成果を出した時、頑張った時、まじめにコツコツやっている時。その事実を指摘してあげるだけでいいのです。

「○○さんは、いつも朝のあいさつが元気で明るいね」

「この資料、工夫してあってわかりやすいね」

「きょうは、客先訪問の件数、いつもより多かったね」

「○○さんは、電話の応対が、てきぱきしているね」

「○○の件では、後輩のフォローをちゃんとしていたね」

「すごい」「えらい」「すばらしい」「よくやった」など、ほめる言葉はなにも入っていません。ただ、事実を述べただけです。これなら、しらじらしくなりませんね。

でも、上司にこのように言われたら、部下はうれしく感じるはずです。

「あなたのことをよく見ていて、やっていることを認めているよ」というメッセージを伝えましょう。結果だけではなく、プロセスを認めることにもなります。

もちろん、それにはまず、部下を「よく見る」ことが必要です。

「ほめるようなところがない」と思うのは、「ほめるようなところを見つけてない」ということなのです。
 

新入社員に関わる手続きは、社会保険、雇用保険に入れるだけではなく、労働基準法で定められている手続きもあります。

それは「労働条件を本人に通知する」ことです。

「うちは口頭でやってるよ」という方は、要注意です。文書で通知する内容も、法律で決まっています。

文書で通知しないからといって、すぐに問題が起きるわけではありませんが、「面接の時に、条件について、口頭ではああいってたけど、ほんとにだいじょうぶかな?」などという、新人さんの不安を軽減し、「この会社はちゃんとやっているな」と、会社への信頼を持ってもらうためにも、できれば入社当日に、労働条件を書いた文書を渡すようにしましょう。

書面で明示しなければならない労働条件は、次の5項目です。

* 労働契約の期間(期間の定めの有無、定めがある場合はその期間)
* 就業の場所・従事する業務の内容
* 労働時間に関する事項(始業・終業時刻、時間外労働の有無、休憩、休日、休暇等)
* 賃金の決定・計算・支払の方法、賃金の締切・支払の時期に関する事項
* 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

さらに、パートタイマーの方には、次の3項目も書面で明示する必要があります。

* 昇給の有無
* 退職手当の有無
* 賞与の有無

実は、使用者が明示しなければならない(書面ではなくてもよい)労働条件はもっとたくさんあるのですが、こちらは、口頭で、というより、通常、就業規則に記載しておき、それを示すということになります。

労働契約の期間や、就業の場所、従事する業務の内容というのは、個別に違ってきますので、就業規則だけで示すのはムリがありますね。

入社の時に渡す、労働条件通知書は、厚労省が作成したモデル様式がありますので、それを利用すると簡単です。

部下に仕事(課題・task)を指示する、というのは、管理職の仕事の根幹です。

とはいっても、プレイング・マネージャーの方は、自分の仕事でも忙しく、部下と接する時間が少なくなりがちです。

短い時間で要領よく、さらに手戻りがないような指示の仕方が大切ですね。

必ず伝えなければならないのはこのふたつです。

1.仕事の目的
2.納期

え? 納期はあたりまえだけど、「仕事のやり方」ではなく、「仕事の目的」? と、お思いの方もいるでしょう。

手順書やマニュアルなどで、やり方が決まっている仕事は、もちろんそのように指示して下さい。

それ以外の仕事で、あなたがその部下より熟練していて、ぜったいに間違いない方法だという場合は、やり方も指示するのがいいでしょう。

または、その部下が、細かく指示されて、迷いのない状態で仕事をするのを好むタイプである場合は、指示した方がよいですね。

しかし、すべての仕事の手順が決まっていて、管理職のほうが部下より熟達しているわけではありません。

たとえば、会議資料の作成を指示するような場合は、部下のほうが上司より Word や Excel、Powerpoint などを使い慣れていて詳しい、ということもよくありますね。

そのような場合は、仕事の目的を説明し、具体的な作業内容については、部下が自分で裁量できる範囲を残しておいた方がよいのです。

もちろん、毎回イチから考えさせるのは時間のむだですから、いままでに同じ仕事や似た仕事があれば、前例を示し、「もっといいやり方はないか、工夫してみて下さい。これでよいと思えば、そのままやってください」と指示すれば十分でしょう。

ではなぜ、部下が自分で考えて自分のやり方で行えるように指示した方がよいのでしょうか。

それは、部下の仕事のストレスを軽減するためです。

細かく指示した方が、なにも考えずにできるから、ストレスが少ないんじゃないの?

という疑問があるでしょうが、実は、仕事のストレスというのは、「やらされ感」があると、強くなってしまうのです。

言い換えれば、自主的に取り組んでいる、自分で裁量できる余地がある、という仕事のほうが、ストレスが少ないと言えます。

もちろん、「やらされ感」がどの程度ストレスになるかというのは個人個人によって違ってきますから、最初のほうで述べたように部下のタイプを把握するということも大切になってきます。

タイプなんてわからん、という人は、本人が目の前にいるのだから尋ねてみればいいのです。

「細かく指示されて、迷いのない状態で作業をしたいのか」

「自分である程度創意工夫する余地があるほうがよいのか」

尋ねてみることで、部下の考え方がわかるとともに、部下に「自分のことを尊重してくれている」という気持ちをもってもらうこともできます。

一挙両得ですね。


先日、育児介護休業法について講義する機会がありましたが、その時出た質問で、なるほどなぁと思ったものがありました。

「夫婦が別々の事業所に勤めていた場合、夫婦両方で、子の介護休暇を利用できるんですか? 世帯単位で考えると、ひとりの子供に5日じゃなくて10日になってしまいますが?」

みなさんは、どう思いますか?

まず、「子の看護休暇」は、育児介護休業法に規定されていて、小学校入学前のお子さんを育てている労働者が、お子さんがケガや病気で看護が必要なときに、年間5日(入学前のお子さんがふたり以上のときは10日)の休みをとることができる、という制度です。

この条件にあてはまっていても、「子の看護休暇」をとることができない人も法律の中に書かれています。

(1)日々雇い入れられる人
(2)その会社で働き始めてから6ヶ月たたない人
(3)週の所定労働日数が2日以下の人

また、(2)(3)の人は、自動的に対象にならないのではなく、あらかじめ労使協定を作成して、「こういう人は対象になりませんよ」と文書にしていない場合は、「子の看護休暇」をとることができます。

つまり、ここに書いてない人(場合)は、「子の看護休暇を取りたい」と必要な事項を書いて会社に申し出ると、会社は拒否することはできないんです。

もう回答はおわかりですね。

お父さんとお母さんはそれぞれひとりの労働者として、同じ子供についてもそれぞれ5日(10日)の「看護休暇」をとることができます。それは、同じ日でもかまわないし、別々の日でもかまいません。

ご質問では「別々の事業所」ということでしたが、たとえ、同じ会社であっても両親それぞれが、「看護休暇」をとることができます。

また、たとえば、お母さんが専業主婦で、子供のめんどうを見ている家庭であっても、お父さんは「看護休暇」をとることができます。

ただし、「子の看護休暇」は有給とは限りませんので、会社ごとの就業規則を確認してから取得するようにしましょう。