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公的年金の繰下げを、現行の70歳から75歳まで選べるようにするかどうか、検討を始めた、というニュースに対して、支給開始が75歳とカン違いして騒いでいる人たち。
それ自体はカン違いなのですが、「オレたちは年金なんてどうせ受け取れないんだ」というのは、一部は正しいです。
公的年金は保険です。積立貯蓄ではありません。
ですから、受給開始年齢まで生存しているかどうかわからない以上、まだもらえるかどうかわからない、ということです。
現在年金を受給している高齢者の影には、年金をまったくもらわずに早くに亡くなられた方たちが一定数いるわけです。遺族年金を受給できる遺族もいなければ、完全に掛け捨てです。
平均寿命くらいまで生きれば、年金はかけた保険料よりもかなり多くが戻ってきますが、いつまで生きるかはだれにもわかりませんよね。
年金を繰上げるか、繰り下げるか、そのまま受給年齢でもらうか、それはある意味ギャンブルのようなものです。
年金の繰上げ、繰下げの話になると、思い出すエピソードがあります。
ある社労士有資格者の方に、お父様から「年金の繰上げどうしようか?」という相談がありました。
実は、そのとき家族にはもうガンの告知がされていて、余命いくばくもないことがわかっていましたが、ご本人はまだ知らないという状況でした。
先行き長くないことを考えれば、繰り上げして少しでも年金をもらったほうが、損得勘定から言えばトクです。でも、そのとき息子さんはどうしても「繰上げたほうがいいよ」ということができず、お父様はそのまま年金をもらわずに亡くなられたということです。
どっちがよかったか、というのはわからない話です。
とにかく、年金でトクをしようと思ったら、長生きすること、これにつきます。
もっとも、命がなければ、損も得もないんですけどね。