さて、早いものでついに12月。

会社の給与担当者の方は、年末調整の処理に大忙しのことと思います。

それから、12月となれば冬期賞与が支給される会社もあるかと思いますので、賞与計算もありますよね。

さて、その賞与計算ですが、賞与においても、月例給与と同じように、減給の制裁として減額させることもできます。


労働者が本来受け取るべき賃金から制裁として一定の額を一方的に差し引く処分が「減給の制裁」ですよね。

この「減給の制裁」については、労働基準法 第91条において、制裁規定の制限が規定されています。

そこでは、1回の事案につき1日の平均賃金の半額を超えて、また、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えて減給してはいけないと定められています。

では、賞与に適用される場合の「減給の制裁」ってどうなるのでしょう。

まず、この減給の制裁は、1回の事案につき1日の平均賃金の半額以下という制限は、通常の月例給与と同じです。

それから、賃金総額の10分の1という制限ですが、当然ここでいう賃金総額は、賞与総額のこと。

月例の給与より賞与の方が額が大きいのであれば、それだけ大きい減額が可能ということになります。

ただ、給与で制裁とした事案について、再び賞与で制裁を課すことはできませんので注意して下さいネ。

ここで勘違いしやすいのが、遅刻や欠勤についての減給が制裁といえるのか、ということ。

遅刻や欠勤については、そもそも賃金を支払う必要はありません。

原則は、あくまでノーワークノーペイなのです。


それに、賞与であれば、その前段として賞与査定があるはず。

賞与額は、一律、基本給の○.○ケ月を支給する、なんて規程があらかじめある会社は別ですが、本来、限りある賞与の原資を相対評価(査定)によって配分します。

査定の内容は会社ごとにマチマチでしょうが、査定が悪くて賞与が少なかったという場合は、減給の制裁とはいえません。

賞与における減給の制裁とは、正当な査定結果から導かれる賞与金額から、さらに制裁として減給した場合が想定します。

なので、遅刻早退があったときに働いていない時間を賃金を差し引くのは、制裁ではないためこの減給の制裁制限の規定にあたらないのです。


ところで、この減給の制裁の制限ですが、金額の制限はありますが、回数の制限はありません。

したがって、1回あたり1日の平均賃金の半額を減額とした場合、賃金総額の1/10までは減額できることになります。

これは、仮に賞与額が月例給与の額より多いのであれば、仮に減給制裁を課すなら、月例給与より賞与で課した方が、多く減額できることを意味します。

月例給与は従業員の生活給という性格を持つため、減給制裁は本来好ましくありませんし、月例給与を減額したところで、会社が負担する社会保険料も変わりません。(^^ゞ

賞与の減額なら、負担する社会保険料も下がりますよね。


賞与における減給制裁も、当然アリなのです。

ただ、制裁を課したい従業員が賞与の時期までに退職していなくなることもあるかも。

このあたり、賞与の対象期間との兼ね合いがありますから、運用には注意して下さいネ。






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