最近、裁定請求した内容について「ねんきんダイヤル」に問い合わせしようと電話したら、録音する旨のメッセージが流れました。

銀行や保険会社なんかのサポートセンターに電話しても、最近は録音のお断りメッセージが先に流れるケースが多いですよね。

そうです。

録音そのものも何かの折には有効な証拠になりますからね。



てなわけで、昨日のブログは”カメラでの職場監視”の話でしたが、情報漏洩シリーズ今回は、”録音”ネタです。(^_^)


最近は専用のICレコーダーでなくとも、日常的に音楽を聞くような小型のMP3プレーヤーが結構高音質の録音機に早変わりします。

ペンケースに潜ませることも、背広の胸ポケットにいれることも普通にできますから、職場の情報流出のツールにもなり得てしまうのです。

では、職場内の会話を録音する従業員を注意することはできるのでしょうか?


「T&Dリース事件」(大阪地判H21.2.26)は、従業員が職場内で録音、カメラ付き携帯での撮影、さらにはビデオカメラでの撮影まで発展し、会社から止めるよう再三にわたり注意されたにもかかわらず、それに応じず、ついには解雇されたというものです。

判決では、他の従業員が録音、撮影等によって業務上のコミュニケーションや自由な会話ができないとして業務遂行に支障を来たし、ストレスを募らせたこと等から、正常な会社運営に影響があったとして、解雇を有効と認定したのです。

ちなみに、記録に残す客観的必要性がないこと、録音・撮影の態様が客観的に自衛行為の目的と関連があったとは認められなしことから、証拠を残す為の自衛行為とした従業員の主張は排斥されました。

この判例の場合は、職場の規律違反、秩序違反を優先した判決でしたが、実際の処分については、録音の目的、態様、客観的必要性等、慎重に判断する必要があります。

ニコニコ生放送なんかもある時代です。(--;)

就業規則の服務規程に、「職場内において業務に関係の無い録音、撮影を禁止する」旨の条文も検討しなければならない時代になったといえます。


ただ、この”録音”は、現実的には弁護士さんには悩ましい証拠のようです。

膨大な書類に目を通すことには慣れていて苦痛に感じない弁護士さんも、120分の録音であれば、きちんと120分聞かなければなりません。

抜粋すると前後関係がわからなくなるし、早送りすると何を言ってるかわからなくなるからです。

さらに裁判に出すときは、録音した会話全部を書き起こした「反訳書」を提出するとのこと。

だから、もちろん録音そのものは、何かの折には有効な証拠になり得るのですが、実は結構手間で必ずしも歓迎されないらしいです。

それに、その裁判に録音を証拠として提出する場合は、相手にあらかじめ録音する旨断って録音した場合は問題ないそうですが、隠し録音、隠し撮りについては証拠として認めない裁判官も中にはいらっしゃるそうですよ。



ま、でもそんなこと以前に職場の会話を録音しようとする従業員がいる事態こそ、問題です。

もし発見したら、業務に支障をきたす可能性やセキュリティ上好ましくない理由がある観点から、業務上の命令として、録音を止めるように堂々と注意してください。

最終的に命令を聞かず、何らかの懲戒処分を下すにしても、間に改善指導をしておかなければ権利濫用となる可能性が高いです。

逆に上司が知っていながら注意をしないと、民法でいうところの、黙示の承認と言われかねません。

毅然と対応することが、社内の秩序を築く(守る)第一歩ですから。 (^o^)v




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