5月8日から両国国技館で五月技量審査場所が開催されています。

今日の10日目は、白鵬が、稀勢の里相手に3場所ぶりの白星となりました。

気力あふれる見応えのある取り組みだったようです。


さて、この技量審査場所、関取はもちろん、付け人、床山についても支度部屋への携帯電話持ち込みは禁止。

今まで通りの検査役の他に監察委員の親方が不審な取り組みがないか、土俵を監視。

さらに、監視カメラが数台取り付けられ、怪しい相撲があれば直ぐに検査役、観察委員、親方などで会議を開き、カメラの画像を再生して八百長の判断をするらしいです。



ではでは、一般の職場において、業務の遂行状況の確認、不正行為の防止を目的として、会社が監視カメラを設置することは許されるのでしょうか?

実際に工場などにカメラを設置している事業所はあります。

ただ従業員にとっては、自分の言動が会社にさらされることになり、プライバシーが一切排除されることになり、社会的に許容される範囲を超える場合は、人格権を侵害しているとされる可能性があります。

監視カメラを設置する合理的な理由がないにもかかわらず、従業員を監視する目的で監視カメラを設置したり、設置目的の範囲を超えて撮影を行うことは、人格権侵害で違法となる可能性が高いのです。

ここでわかりにくいのが、「合理的理由」です。

旧労働省の「労働者の個人情報保護に関する行動指針」に沿って、実施の理由、時間帯、収集する情報内容等の労働者への事前通知など、個人情報に配慮しているかどうかが、そのポイントになるようです。

但し、現金を直接扱う職場等、犯罪や重要な不正行為があるとするに足りる相当な理由がある場合や、「労働者の健康及び安全の確保又は業務上の財産の保全に必要な場合」等、個別の状況によりカメラの設置が認められるケースもあります。

いずれにせよ、一概に言えるものではなく、実際に職場にカメラの設置を検討するときは、従業員の人格権を侵害しないように、その必要性、撮影場所等、慎重な配慮が要求されると認識ください。



冒頭の厳戒態勢の技量審査場所に話は戻ります。

今場所は通常開催がかなわず無料公開となっていますが、そんな中、大関・把瑠都が
無料開催でお客さんにたくさん来てもらって悪いけど遊びの場所みたい。稽古総見みたいだよ
と発言したとして、問題視されていました。
http://www.sanspo.com/sports/news/110511/spf1105110504001-n1.htm

賜杯もなければ風物詩の懸賞もなくて、大相撲の持つ歴史や伝統を感じる醍醐味が薄らいでいる一方、周囲をカメラで監視される異様な状況です。

それに、無料で来場する観客は、本当の相撲好きだけとは限らず、いろんな観客がいることでしょう。

外国から大相撲の世界に入った把瑠都関にとっては、伝統的な大相撲の舞台こそ、日本に来た目的であり夢だったはず。

そう考えれば、把瑠都関の感覚はいたって正直なものであり、個人的にはいささか揚げ足取りの感があるように思います。


監視カメラも同じ。

巨悪な不正を防ぐことは目的となりえても、取るに足りない揚げ足を取る道具としてはどうでしょう。



震災後、福島原発の事故が海外に大きく報道されました。
そして旧ソ連のエストニア出身の把瑠都関には、母国から帰国要請が来ていました。

しかし把瑠都関は「日本の皆さんに世話になっているし、いい時だけじゃなくて悪い時も一緒にいないと」と話し、街頭の募金活動をしたといいます。

http://www.nikkansports.com/ajaxlib/root/sports/sumo/news/p-sp-tp3-20110325-752612.html

多くの外国人が日本から脱出した時期のことです。

私には、そんな把瑠都関の感性がおかしいとは、到底思えないんです。。



http://www.roumusupport.jp