「労災隠し」という言葉があります。
業務上の災害だったのにもかかわらず、健康保険で処理したり、使用者が見舞金という形で処理したりすることがあるようです。
労災隠しにはいろいろ意図があると思いますが、中小企業で誤解が多いのが、「労災を起こすと保険料が上がる」と思われているケース。
確かに、労災には「メリット制」なるものがあって、通常の損害保険のように労災事故があれば労災保険料が上がる仕組みがあります。
名前からもわかるように、労災事故が少なければ労災保険料率も低くなる仕組みです。
でも、このメリット制が適用される企業は、一定規模以上の事業だけです。(3年以上労働保険が経過も要件)
一定規模以上とは、以下の3点のうち何れかに該当することが要件となります。
①常時100人以上の労働者を使用する事業
②常時20人以上100人未満の労働者を使用する事業であって、その使用労働者数に、事業の種類ごとに定められている労災保険率から非業務災害率を減じた率を乗じて得た数が0.4以上であるもの
③一括有期事業における建設の事業及び立木の伐採の事業であって、確定保険料の額が100万円以上であるもの
常時100人以上の事業所に該当せず、一括有期事業で建設の事業及び立木の伐採の事業にも該当しなければ、ここで問題となるのは②の場合です。
労災保険料率は事業の種類ごとに違いますので、わかりにくい表現になっていますが、いくつかの業種について人数要件を数値で表してみましょう。
食料品製造業(6.5)・・68人
印刷又は製本業(4.5)・・99人
交通運輸事業(5)・・91人
卸売・小売業、飲食店又は宿泊業・・99人
(カッコ内は労災保険料率:/1000)
つまり、食料品製造業であれば、68人以下の事業所であれば、労災保険事故が多くても少なくてメリット制は関係ないので、保険料率は変わらないのです。
但し、元々労災保険料率が高い、林業、漁業、鉱業、建設なんかは人数要件がグッと少なくなります。
例えば労災保険料率が103/1000の「水力発電施設、ずい道等新設事業」だと、労働者7人以下の事業所がメリット制非対象となります。
(ずい道とはトンネルのこと)
いわゆるブルーワーカー(その他)の労災保険料率は3/1000で、やはり99人以下の事業所が非対象となります。
なので、一定人数以下の事業所であれば、労災事故の発生は保険料率には影響しません。
高度成長期やバブルの頃は、作ったら売れる時代でした。
日本の産業を下支えする製造業は、工場をフル稼働してモノを生産しました。
当然、労災事故が発生する可能性も比例して大きくなります。
そこで、企業は「5S活動」に取り組んで労災事故ゼロを目標にし、また国も「労災事故ゼロ」企業を表彰をして、労災事故への意識が高まったように感じます。
起きてしまった労災事故を隠すのは、その反動かもしれません。
他にも労災事故隠しの背景には、建設業の下請け・元請の関係に起因する部分やいろんな諸事情もあると思います。
ただ、業務上の災害については使用者の無過失責任です。
労働者に過失があろうと使用者に過失があろうと、過失の存在に関係なく、業務中に労働者が事故にあった場合は、その被災者への補償は使用者の責任となります。
しかし、労災が適用され、相当の給付が行われるべきものである場合は、使用者は補償の責を免れるとされています。(労基法84条1項)
労災保険料はわずかな掛け金ですが、その補償はとても大きいということがいえます。
だから労災は隠すべきではありません。
もし労災保険料について誤解があって労災を使わないのなら、それは間違っています!
もちろん安全が第一なのは言うまでもありません。
「5S活動」は、普遍の課題だと思います。
業務上の災害だったのにもかかわらず、健康保険で処理したり、使用者が見舞金という形で処理したりすることがあるようです。
労災隠しにはいろいろ意図があると思いますが、中小企業で誤解が多いのが、「労災を起こすと保険料が上がる」と思われているケース。
確かに、労災には「メリット制」なるものがあって、通常の損害保険のように労災事故があれば労災保険料が上がる仕組みがあります。
名前からもわかるように、労災事故が少なければ労災保険料率も低くなる仕組みです。
でも、このメリット制が適用される企業は、一定規模以上の事業だけです。(3年以上労働保険が経過も要件)
一定規模以上とは、以下の3点のうち何れかに該当することが要件となります。
①常時100人以上の労働者を使用する事業
②常時20人以上100人未満の労働者を使用する事業であって、その使用労働者数に、事業の種類ごとに定められている労災保険率から非業務災害率を減じた率を乗じて得た数が0.4以上であるもの
③一括有期事業における建設の事業及び立木の伐採の事業であって、確定保険料の額が100万円以上であるもの
常時100人以上の事業所に該当せず、一括有期事業で建設の事業及び立木の伐採の事業にも該当しなければ、ここで問題となるのは②の場合です。
労災保険料率は事業の種類ごとに違いますので、わかりにくい表現になっていますが、いくつかの業種について人数要件を数値で表してみましょう。
食料品製造業(6.5)・・68人
印刷又は製本業(4.5)・・99人
交通運輸事業(5)・・91人
卸売・小売業、飲食店又は宿泊業・・99人
(カッコ内は労災保険料率:/1000)
つまり、食料品製造業であれば、68人以下の事業所であれば、労災保険事故が多くても少なくてメリット制は関係ないので、保険料率は変わらないのです。
但し、元々労災保険料率が高い、林業、漁業、鉱業、建設なんかは人数要件がグッと少なくなります。
例えば労災保険料率が103/1000の「水力発電施設、ずい道等新設事業」だと、労働者7人以下の事業所がメリット制非対象となります。
(ずい道とはトンネルのこと)
いわゆるブルーワーカー(その他)の労災保険料率は3/1000で、やはり99人以下の事業所が非対象となります。
なので、一定人数以下の事業所であれば、労災事故の発生は保険料率には影響しません。
高度成長期やバブルの頃は、作ったら売れる時代でした。
日本の産業を下支えする製造業は、工場をフル稼働してモノを生産しました。
当然、労災事故が発生する可能性も比例して大きくなります。
そこで、企業は「5S活動」に取り組んで労災事故ゼロを目標にし、また国も「労災事故ゼロ」企業を表彰をして、労災事故への意識が高まったように感じます。
起きてしまった労災事故を隠すのは、その反動かもしれません。
他にも労災事故隠しの背景には、建設業の下請け・元請の関係に起因する部分やいろんな諸事情もあると思います。
ただ、業務上の災害については使用者の無過失責任です。
労働者に過失があろうと使用者に過失があろうと、過失の存在に関係なく、業務中に労働者が事故にあった場合は、その被災者への補償は使用者の責任となります。
しかし、労災が適用され、相当の給付が行われるべきものである場合は、使用者は補償の責を免れるとされています。(労基法84条1項)
労災保険料はわずかな掛け金ですが、その補償はとても大きいということがいえます。
だから労災は隠すべきではありません。
もし労災保険料について誤解があって労災を使わないのなら、それは間違っています!
もちろん安全が第一なのは言うまでもありません。
「5S活動」は、普遍の課題だと思います。