派遣されていた工場で上司にセクハラされたとして、東京の人材派遣会社の女性社員が、菓子メーカー(大阪市)などに慰謝料など約700万円を求 めた訴訟の判決が15日、奈良地裁であった。裁判長は上司に対する使用者責任を認め、同社に77万円の支払いを命じた。派遣会社への請求は棄却し た。専門家によると、派遣社員へのセクハラで、派遣先への賠償命令は異例。

(毎日jp 2010年6月15日 21時0分)
http://mainichi.jp/select/today/news/20100616k0000m040074000c.html
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先月も1度書きました、セクハラのニュースです。
尚、この判例では、派遣会社については、セクハラ対策をしていたということで、棄却されています。

この場合のポイントは、会社が監督上の注意を怠ったという「使用者責任」ということになります。
つまり加害者である社員を雇用(使用)している、会社もまた法的責任があるということなのです。

さて男女雇用機会均等法にて、職場におけるセクハラ防止について、会社の「配慮義務」が明らかにされました。
その配慮義務とは、大きく次のようなものです。

1.セクハラに対する社内の規定の明確化(セクハラは懲戒対象etc)
2.相談・苦情に対する対応(窓口の設置)
3.セクハラが生じた場合の、迅速かつ適切な対応(事実確認の調査・確認、再発の防止)

就業規則には、この辺りに対応した条文が必要となります。

会社は、今や積極的にセクハラ防止に取り組まなければならないのです。


さて、記事によると、女性は抑うつ神経症と診断され、現在も休職中で労災認定を受けているとのこと。
さらに提訴した当日、このセクハラをしたという上司は自殺しています。
セクハラした方も、された方も、おそらく回りを巻き込んで、大きく人生を狂わせてしまいました。

地裁の判決が出ましたが、何とも後味の悪い、不幸な事件といえます。