75歳以上の後期高齢者医療制度に対する支援金を、高収入の人がより多く負担するよう算定方法を改める改正国民健康保険法が、12日午前の参院本会議で与 党などの賛成多数で可決され、成立した。
2010年5月12日12時12分 読売新聞YOMIURI ONLINE)
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社会保障のベースとなっているのは所得再分配の考え方です。
そう考えると、上記抜粋の部分については「年収に応じて・・」というところなので、一定の理解はえられるかと思います。
ところが、今回あわせて、協会けんぽの国庫補助を引き上げて、組合健康保険の負担を上げることになり、健康保険組合連合会から反発をくらっています。

私は、前職で人事や給与計算、就業管理といったシステムのSEをしておりました。
そこで、就業規則を見ながらヒアリングを行い、システムをのせあげるようなところに携わっていて、そのときに就業規則に不備があれば、システムも、それから運用上も無理が生じることを痛感して、就業規則を整備する側の職に就いた次第です。

当時、いくつかの私のお客様でも健保組合の企業様がありましたが、その運営はどこも大変と聞いてました。
あるところは、立ち行かなくなって、協会けんぽ(当時は政府管掌)に変わったり、またあるところは、グループの親会社の組合健保の経済的な問題を解決するために、若い社員の多い比較的新しいグループ会社を政府管掌健保から組合健保に吸収する形で変えたり、いろんなご苦労の様を見てきました。
高齢者の健康保険料増大と保険料不足によるところが根本原因です。

なので、私は今回の健康保険組合連合会の反発って、さもありなん・・て思っちゃうんですよね。

もちろん、中には経営に大きな問題が無い健保組合もあるでしょう。
協会けんぽを大きく上回る高額療養費制度や、中には一定年数勤務すれば転職後も75歳まで加入できる健保組合なんかも耳にしたことがあります。
ただ、高度成長期やバブル期の会社の業績がウナギ登りな時代に手厚い保障制度を作ってしまって、今になって苦労されているというところも多いのではないでしょうか。
一度厚くした福祉制度のレベルを今度は下げるのは、組合員の手前簡単ではないからです。

但し、今回の法改正というのは、本当は経営が厳しくなっているんだけど保障の質を落とすことに躊躇していた健保組合にとっては、健保組合内の事業仕分けを進める「大義」となる側面も持っていると感じました。

少子高齢化のいかんともしがたい大きな流れの中、長期的視野に立った社員の保障を考える上で、今回の法改正が何とかいい方向に進めば、と思うのです。