品川の船宿、ひらい丸に集まったのは16人。『つり情報』でわたしの担当編集者だった内山高典君のファンクラブのようなものだった。彼が取材で出合った釣り人と親交を深めた仲間たちでありました。ご夫婦の数組で、茨城県からはせ参じた女性たちもいらした。 わたしは、スピニングタックル2本と川口の竿雪さんに作ってもらった手跳ねを2本持参した。

 ところが中ノ瀬に向うと風がビュンビュンで波がドンブラコ。晴れて凪の海を予想していたがとんでもない海。

 木更津沖に着いて何を使って釣りをしようかと迷ったが、千丁から水深は15~20メートルと聞いたので、手跳ねの1本竿で遊ぶことに決めた。

 仕掛けは丸山氏から頂戴した胴突き1本鉤で錘は15号。

 丸山名人から、「僕はなるべくシロギスを脅かさないように心がけることが大事だと思って、いつもゼロテンションで攻めてますよ。錘で底を叩くなんて絶対しないことです。船を流して釣るなら、手跳ねもいいんじゃないですか」というアドバイスを受けていたので、アオイソメを刺して釣り始めた。

 するとすぐに小さな中り。手繰り上げる道糸が風に飛ばされるが、床に塗れたタオルを敷いて落ち着かせた。

 で、上がってきたのはイヤな外道のヌメリハゼ。しかも赤いヌルがまとわりついていたので指で取り除いたら、激痛! そう、ヌルではなくアカクラゲでありました。

 それから連続5匹のヌメリハゼで、場所移動。波とウネリで釣り難いことこの上なかったが、沖揚がりまでにシロギスは9尾でッ抜けはならずに終了。竿頭は18尾だったとか。

 昼、お台場に移動して揚げたての天ぷらタイム。エビ、アナゴ、シロギス、シャコ、イカに野菜と次から次と運ばれる。

 食後、参加したみなさまから、ひとつテンヤ釣法についての質問が多数寄せられ、私見をご披露させていただいた。

 釣りでたまたま知り合った皆さんがこうして交流を深める会って、ひとえに内山君の人徳。彼は、釣り雑誌記者の鑑だったのだろう。この業界を離れたことが悔やまれるが、転職で充実した暮らしを送っていると聞いて安心した次第。

 いつか凪ぎの日に手跳ねの二本竿で胴突き仕掛けにチャレンジしてみたい。