来月から50年ぶりに鎌倉の大仏様の修理が行われるというニュースに、なんとも複雑な思い。
というのも50年前、お寺から「大仏様の胎内が雨漏りするので修理してほしい」という依頼があって、私が見積書を書いた。当時は学生で、アルバイトで防水工事の会社で仕事をしていた。元受には工期は10日間、予算は100万円とふっかけたが、一発で通った。しかもその頃、接着剤では画期的だったエポキシ樹脂を積水化学に素材提供を依頼したら、「喜んで!」との返事。
三人で鎌倉に出かけたが、がんばれば半日で終わってしまう作業量だっただけに、休み休み、丁寧に少しずつクラックを埋めていった。積水化化学から、国宝修理の過程を後日宣伝すべく、カメラマンも配置されていた。
工期も半ばを過ぎた頃、この話を聞きつけた京都大学の友人から、「おまえ、文部科学省の許可は取ってあるんだろうな?」と連絡をもらった。そんなもの取ってはいない。住職から、「拝観料をいただいて、参拝者が雨に濡れるのは申し訳ないから、どんなに費用が掛かってもよろしい」と言われたいた。
「おまえ、今やってる工事は文化財保護法違反だ」と厳しい指摘で、積水化学は真っ青。そこで残りの作業を早々に片付け、修理代がしっかりいただいた。
結局、防水工事は表ざたにならず、法令違反に問われることもなかったが、法曹を志していたので、パクられればアウトになってしまうのでビクビクしていた。やがて公訴時効も成立し、ほっとしたのを覚えている。
その仕事のおかげで、私は会社からギャラのほかに中古の乗用車もご褒美にいただいた。
まあ、勤労青年のご愛敬ということで……。