MLBの先発投手は、あまり完投する事が少ない。中4日で、年間通してローテーションを
守り抜く事が要求される為、厳しい球数制限を強いているからである。その中で、
9の完投(4完封)を記録しているのが、フィリーズのロイ・ハラディ投手である。

松井秀樹選手のMLB初打席の対戦投手であり、そのときはレフト前タイムリーを
打たれているが、それ以降は、松井が苦手としている投手の一人になっている。

150キロ超のストレートなどを投げるわけではないが、90マイル前後のシンキング・
ファーストボール(シンカー)を中心にした打たせてとるタイプである。ほかには
カットボールも投げる。制球力に優れており、球数を抑えて投げることが可能で
ある為、年間9回完投することが出来るのだ。今年5月には、史上20度目の完全試合を
達成し、10月のプレーオフ初戦では、ノーヒットノーランを演じてもいる。
打たせてとるタイプでありながら、三振も多いほうで2008年以降3年連続で年間200
奪三振を記録している。

彼の投球は、MLBの舞台で苦しむ日本人先発投手の参考になるはずだ。故障を経験した事で、
コンディショニングに非常に気を使っており、年間通して緻密なトレーニングを欠かさない。
そのことが、強い体幹を生み、体の上下動が極力少ないまとまった投球フォームを生む。
小さいフォームである為、制球力が増し、球種によるフォームのばらつきも減る。その事が
打者の迷いを誘い、早打ちを誘発する。そして、球数が減る。投球テンポにもスムーズな
流れが出来る。味方の攻撃のリズムが生まれる。援護点が生まれやすくなる。
まさに、理想的な好循環を生み出しているのだ。

これらは、投げてみないとその日の調子がわからない松坂にはないものである。
彼自身もハラディの投球スタイルを理想的と捉えているようなので、ぜひとも彼の
安定感のある投球スタイルを模倣して欲しい。

投手にとって、大事なものはなにか。ハラディの投球はそれを教えてくれている。
まず第一に、一年間投げきる強い体と地道なトレーニングを欠かさない精神面タフさ。
そして、制球力とテンポ。これがあれば、150キロ以上のストレートがなくても
勝ち星を挙げることが出来ると言うことだ。