短歌集 2023 春夏

春寒むの 二度寝の朝は 起き抜けに パジャマ姿で 珈琲タイム

満開の 雪やなぎ嬉し わが庭に 短き春の 光満ちおり

風強く 花びら流る 用水路 桜満開 長くは続かず

面白き ことなど無くて 過ぎた日々 単身赴任 老いてはすまじ

今日もまた 晴れたる美空 輝ける ムスカリの花 碧が眩き

政策は 初めのうちだけ そのうちに 連呼連呼の 市議会選挙

梅雨晴れ間 猛暑のニュース 我が県も 明日は再び 曇りのち雨

引越しの 荷物の整理も ほぼ終わり チーズ肴に ビール一杯

思い入れの 本が詰まった 段ボール 封も開けずに 押入れに置く

五十年 研究生活 打ち上げて ちょっと自慢の 論文再読

掲載の 決まらぬ論文 ひとつあり 人生最後の リバイスを待つ

定年の 日が近づきぬ 月末に 半どん帰りの 女房を待つ

小説の 書き換え急ぐ 我なれど 受賞は夢の また夢なりき

缶ビール 一口飲みて 飯を食う 今日のおかずは ベーコンエッグ

春の風邪 孫の発熱 メールあり 溶連菌で 無きこと願う

早朝の 車窓を過ぎる 桜花 薄紅に 咲き誇りおり

八分咲き 桜並木の 遊歩道 道草するか ゴミ出し帰りに

昼過ぎの 日差しの中で 風せわし 今や散るらん 桜花かな

春寒の 我が部屋にいて メール読む 前の職場の パソコン如何に

風呂上がり 如月の夜は エアコンの 微かな音も ワインの肴

久方の 友のメールは 病の知らせ 歳とることの 哀しさ滲む

西向きの 出窓の障子 夕陽受け 春爛漫と 光り居るなり  

自治会の ゴミ箱掃除 黙々と 作業を終える ローテーション

珍しく 百個のつぼみ ハナミズキ 我が家の庭に 春が微笑む

落選の 長編小説 書き直す 徒労に終わると 諦めつつも

これからは 年金だけが 収入源 ウェブライターの 記事を読みおり

桜花 人事移動の 春が来て アナウンサーの 挨拶を聴く

この頃は 朗読で聴く 周五郎 活字には無い 人情匂う

月曜から 夜更かしを観て 思うなり 面白き人 多し我が国

我が庭で 蛙鳴きおり ケロケロと 闇夜の中の 恋の歌なり

夕食に ペンネ作りて 妻と食う ビール一口 辛味が笑う

夕べより 強く吹きくる 南風 皐月の空は 晴れ渡りおり

起き抜けに パソコン開き メール見る ほとんど全て 迷惑メール 

丹毒に 罹って発熱 頬が腫れ 免疫低下を 憂う友垣 

女房と 口喧嘩して 寝室に 眠りは浅く 五時には目覚む

アベリアの 垣根の手入れ 三時間 道路の為だが とても疲れた

この所 四月の気候に 逆戻り 朝は布団の 温もり嬉し

安ワイン 寝酒に飲みて 入眠剤 テレビ観ながら 眠りに落ちぬ

水無月の 雨のぱらりと 降り落ちぬ 梅雨入り間近 夏の日近し

最新の 論文読みて 感じ入る 我が領域は 遅々と進まず

五月晴れ 炬燵片付け 部屋の中 スッキリとして 夏の日近し

昨夜から 本降りの雨 降り続く 菖蒲の梅雨は まだ先の先

梅雨寒の 冷ゆる書斎で 夜明け前 第二部の上 読み進みおり

今朝もまた あんこトースト 頬張りて 冷えたミルクで 喉通すなり

今もなお 風強くして 窓ガラス 揺れて音立て 暑き室内

梅雨きたる 我が家の庭に 五月雨の 強き雨音 雷鳴聞ゆ

大雨の 警報鳴りて 降り頻る 異常気象の 遅き梅雨かな

中東は 雨も降らずに 砲弾の 嵐の中で 子らは死にゆく

夏来たる ビールが美味し 西陽差す 窓辺に寄りて 景色眺めり

扇風機 リズムの風の 涼しさや 汗ばむ肌に 心地良きかな