今回は、ご希望に応えて朝鮮焼き肉(カルビ)のつけダレの作り方を書くことにしました。今日、書くつけダレは、日本人の味の好みに合ったつけダレです。僕は学会で3回ほどソウルに行ったことがありますが、本場の焼き肉のつけダレは、思ったほどには味の濃いものではなく、甘味は梨のしぼり汁で付けているので、それほどインパクトのある甘みはないように感じました。加えて、予め肉をタレに漬けたものを供する店が多く、そうすると肉の色が茶色に変色していて、きれいな赤身の肉を焼いて、タレに浸して食べるのが好きな僕には、ちょっと馴染まないものでした。
25年ぐらい前に、博士論文のための研究を指導した韓国からの留学生が、帰国して今は教授をしているのですが、今から10年ほど前に僕が教授をしていた国立大学の研究室の講師と二人で、国際学会での発表のためにソウルに行ったときに、その韓国の元留学生のK君が我々二人を、ソウルで一番高級な焼き肉屋に連れて行ってくれたことがありましたが、その店でさえ、どうもつけ汁の味に日本人好みのインパクトが足りないような気がしました。尤も、その留学生のK君も「先生、実をいうとこの肉は塩を振りかけて食った方が美味しいですよ。」と言っていたので、僕のその時の感想もそう筋違いなものではなかったのしょう。
さて、今日の本題の美味しい朝鮮焼肉(カルビ)のつけダレですが、これはあくまでも日本人好みと言う条件が付きますので、そう理解して下さい。このつけダレの重要な調味料は、醤油、砂糖、ラー油の3つにつきます。それを水をベースにして混ぜ合わせれば、他に何もなくても、一応は結構美味しいつけダレが出来上がります。他の調味料や材料がなければ、それだけで、まあ美味しいつけダレを作れます。
さて、少し手間と材料を要しますが、以下はもっと美味しいつけダレの作り方をお教えします。
一応、5人分のつけダレを作るとしますが、つけダレの量は、最初に20 mlぐらいつけ汁を小鉢に入れるとして、途中で半分ほど補充すると最後まで美味しく肉を食べられるので、1人分は30 ml、計150 mlほどを作れば良いでしょう。
さて、これからがレシピです。まず100 mlほどの水に30 mlほどの日本酒を加えてから、一度沸騰させてアルコールを飛ばし、その後常温に冷やしておきます。これが面倒なら、120 mlほどの水に5~10 mlと控えめの量の日本酒を加えて、沸騰の作業は省きます。このぐらいの日本酒ならアルコール臭が気になることはありません。もし日本酒がなければ加えなくてとも構いません。
次に、鷹の爪の中くらいのを1本みじん切りにして、その水に加えます(唐辛子の種は取り除いた方が良いでしょう)。次に、ニンニクを1欠片なるべく細かくみじん切りにしたものを加えます。さらに好みによっては、生姜をみじん切りにしたものか、擦り下ろしたものを少量加えますが、多く加え過ぎると生姜の味が立ちすぎるので、なるべく控えめにして下さい。直径2 cmの生姜を1 mmぐらいの厚さに切ったものの半分ぐらいで十分です。
次に醤油を加え(つけダレとして丁度良い辛さになるように、味見をしながら加えて下さい。普通の焼き肉チェーン店のものよりは少し辛めにした方が美味しくなります。蕎麦つゆの辛さの2~2.5倍ぐらいのものでしょうか。)、次に砂糖を加えます。砂糖は少し甘めにした方が、多くの人は美味しいと感じるようです。蕎麦つゆの甘さの2倍ぐらいが適量でしょう。次に浅葱(なければネギの白身)を細かく輪切りにしたものを(ネギなら2 cm径で5 cmぐらいの長さのネギの白い部分を縦に4本に切ってから輪切りにします)加えます。ゴマはまさに好みなので、僕は加えません。味噌やコチジャンなどは加えません。アジがが不必要にしつこくなり過ぎます。
そして最後に、ラー油(辛油)を加えますが、最終的にややピリッとした辛味になるように加えて下さい(小匙に軽く半杯程度のものでしょう)。あまり辛すぎると、カルビ焼き肉の本当の美味しさは味わえなくなります。辛いのが大好きな人は、自分のつけ汁に好みでラー油を足せば良いでしょう。ただ、あまりに辛くすると、日本人好みの朝鮮焼肉ではなくなってしまいます。本場のソウルでも、辛くて舌がヒーヒーするような焼き肉を食べたことはありません。要は、物事は程度ものと言うことでしょう。
この記事では、どう言う調味料をどのくらい加えるかについては、あまり詳しく書きませんでした。料理の味と言うものは、大匙何杯、カップ2杯などと言う整数で決まる訳ではないからです。そう言うレシピに従って、料理を作ると、まあ本物に似たような味の料理が出来上がりますが、決して本物の味にはなりません。やはり、美味しいものを食べたければ(美味しい料理を作りたければ)、まずは、自分の舌に本物の味を学ばせなければなりません。本物の味を知らずに、本物の味を作れるはずはありません。少し、金がかかりますが、その料理で名をなす店に行って、最低2回はその料理を味わい、その味を自分の舌に覚えさせなければなりません。
僕の、姉は料理が得意ですが、彼女の言うには、一生美味しい料理を食べたければ、まずは、自分が美味しいとされる名店に出かけて、その料理を食べてみること、そして、結婚相手が決まったら、その嫁さんになる人を、料理が美味しいとされるレストランや和食の店になるべく多く連れて行って、その人の舌に美味しい料理の味を覚えてもらうことだと言うことでした。確かにその通りで、美味しい料理の味を知らなければ、美味しい料理の味を再現することは不可能です。
かって、帝国ホテルの元料理長で取締役を務め、1964年のオリンピックの時のオリンピック村での料理のためのコックのリーダーを務めた村上信夫氏は、まだ見習の頃は料理器具や食器の洗いをしていたそうですが、先輩がソース作りに使った鍋には必ず洗剤が入っていて、味見が出来ないようにされていたそうです。ソースの味を盗まれないためだったそうです。村上信夫氏が数年間、とてもまじめに自分の仕事に励んでいると、ある時から、洗剤が入っていないソースの鍋が洗い場に下されてくるようになったとのことでしたが、村上信夫氏の真面目な働きぶりに、先輩たちが心を許し、自分の作るソースの味を勉強する機会を与えてくれたのだそうです。
このように、料理の味造りはその味を自分の舌で覚えなければ不可能だと言うことは確かです。ちょっと話が変わりますが、或る有名なうどんのチェーン店があり、値段の割には美味しいかけうどんとかやくご飯の定食を出してくれいて、人気がある店なのですが、僕の留守宅の在る地域の店のかけうどんは同じチェーーンの他の地域に在る店のうどんよりはっきりと美味いのです。チェーン店なので基本のレシピや食材や調味料は同じはずなのですが、その店の店長の最後の塩の一振りに違いがあるのだと思います。店長さんの舌の優劣が店ごとの味の微妙な違いに反映されているのでしょう。
と言うことで、このブログでは実際に作るべき味を事細かに手取り足取り教えてあげることは出来ないのですが、何回かトライを重ねて、自分や家族の好みに合った美味しいタレ作りに励んでみて下さい。まあ、3回ほど実地の練習を行えば、大方皆が満足してくれるたれを作れるようになります。そして、本格的に美味しいタレを作りたければ、いろいろと高級焼き肉店がありますが、叙々苑ぐらいには一度行ってみて、そのたれタレの味を自分の舌に覚え込ませて下さい。