SF 「鉄道オタクも大変なんだ」(岬 真之作)をキンドル出版から電子書籍とペーパーバックの冊子体で販売しています。本格的なSF 作品なので、SFファンタジーの好きなガンダム世代の人達には興味が無いらしく、売り上げはぱっとしません。

 この作品の一部を載せますので、興味が湧くようなら、一度アマゾンにアクセスしてみて下さい。かなり難しい科学的記述もありますが、細かい所は飛ばしても宜しいです。十分に楽しめます。

 

 鉄道オタクの田村君と愛しい彼女の怜子(さとこ)さんの二人は、廃線跡のトンネルを通り抜けた時に、パラレルワールドに入り込んでしまい、その後、何とか元の世界に戻ろうとして、大騒ぎになります。以下は、その時の二人の奮闘の場面です。

 

 チャーハンの昼めしを終えてから、田村君はまた量子力学と時空論のおさらいのための勉強に取り掛かった。ネットの関連の専門家によるブログ記事なども読んでみて理解が足りていない所を補いながら、勉強を進めて行くのであった。怜子さんは来週の授業の準備だと言って、国語教育関係の本を読んでいた。1時間に1度のティータイムの時には、インスタントコーヒーを飲みながらとりとめのない会話をしていたが、2時間もすると、やはり怜子さんは飽きて来てしまったようで、ティ―タイム以外の時に田村君の後ろにやって来て、

「わー、難しそうな数式が並んでいる。このdと言う字は微分の記号だったよね。やっぱり、数理系の人ってすごいんだ。数式を理解しようと頭を巡らせているうちに、きっと田村君の心は異次元世界に飛んで行ってしまっているんだろうな。どういう頭の構造をしているのか一度見てみたいな。ところで、復習の勉強の方は順調ですか。苦悶などしてはいませんか。」  

などとチョッカイを出してくるのであった。こう言う質問にいちいち答えていると、思考が乱れるので、田村君は「うん。うん。」と生返事で答えて上げるのであった。

 量子力学と時空理論の復習が進むにつれて、田村君の心の片隅に「元の世界Aといま自分たちがいるパラレルワールドBの裏の次元」を表す数式に辿り着くための方法が浮かんできた。シュレーディンガーの波動方程式をスタートにして、やはり超弦理論から導かれる写像と7つの次元に関する数式を組み込んで数式の展開を推し進めていくのが、空間と時間から成る4次元世界の概念に近似してしまうより適切ではないかと考えるのであった。ただ、数式の近似をどの程度行うのかはキーポイントであるので、その時々でしっかりと見定めて行かないといけないと思うのであった。最終的に、アインシュタインの時空理論の数式と一致点があって、なおかつ裏の次元の項を含む数式に行きつくことが出来れば、一応満足の行く計算結果を得たと言うことになるだろうと、田村君なりの予測に落ち着いたのである。

 その後も、怜子さんはティータイム以外の時間に何回か田村君の後ろにやって来て、

「すごく集中して勉強してるのね。田村君見直したよ。頑張れ、頑張れ、田村君。」

などと言っていたが、田村君の復習もあと4分の一を残すばかりとなった。時計を見るともう午後5時を過ぎていたので、二人でちょっと濃い目のコーヒーを飲んでから、怜子さんを本山駅まで送ることにした。梅雨明け十日なので外はまだ昼のように明るかったが、怜子さんが暇を持て余した様子だったので、今日はこの辺で家に帰ってもらうことにした。

 

 あとは、電子書籍で読んでみて下さい。結構、面白いですよ。