「一人旅、電車とバスで」 そんな事を考えて計画を立て始めた。

 

 「上手くいかない」

 

 生活圏からの脱却を考えて目的地を幾つか選び出し、公共交通機関での行程を考えるも上手く繋がらない。

 

 今の自分の生活圏は少しづつ不便になり始めてはいるものの、まだ公共交通機関が壊滅的な状態にはなっておらず、近隣の有名観光地であれば公共交通機関でそれほど不便を感じるに出かけることができる。しかし、日本国内で自分の生活圏の様な地域の方が少ない事を再認識することとなった。

 

 多くの地域で路線バスが縮小されてきてはいるが、私の旅に必要な路線は自治体がコミュニティバスを運行していることもあって全くないわけではない。しかし、コミュニティバスは、

・土日祝日が運休

・自治体の区域を跨いで運行することが殆どないので、目的の観光地の最寄り駅が他の自治体にあるとバスは最寄り駅からではなく観光地が位置する自治体の中心駅から出発し、大変な時間を要する場合がある。

・高速バスの停留所の徒歩10分圏内のコミュニティバスの停留所から、高速バスの到着時刻とほぼ同時刻にコミュニティバスが出発する。

 

 なぜこのようなことが起きるのか。理由はバスは観光用ではなく地域住民のために走っているからである。そのため通勤・通学需要のほとんどない土日祝日は運行されない路線が多く、また、自治体の中心駅から観光地まで時間がかかるのは、最短経路で走るのではなく自治体内を細かく回るためである。そして、高速バスとの接続が悪いのは、そんな乗り継ぎをする人は滅多にいないからである。

 

 大都市の観光は例外だろうが、多くの観光地へのアクセス手段の中心は自動車である。私が計画の俎上にあげた観光地の幾つかは決して閑散とした観光地ではない。しかし、公共交通機関で訪れる人は少ない。先にあげた自分の生活圏の観光地も自動車で訪れる人が多い。

 

 公共交通機関が移動の中心だった時代には、わざわざ駅を観光地から少し離れたところに設置し、駅から観光地までの間で飲食店や土産物屋が商いをできるようにしていた。しかし、自動車が移動の中心となった現在、駅もろとも商店街が消えてしまったところもある。

 

 衰退してしまった鉄道を残すために観光路線への転換という声が頻繁に上がっているが、ハードルはかなり高い。