昨年、「(民間資格名)は国家資格、社会保険労務士は民間資格」といった誤った内容がXに投稿され、X利用者からの要請により運営者により削除されるといったことがあって、ここに記する労務系の民間資格があることを知りました。

 

 先日、ネット上でこの資格を書いておられる記事を見かけましたので、私なりに調べてみました。

 

「(民間資格名)は、企業内部の労働関係当事者が労働基準法や労務管理に関する専門的知識を習得し、人事・労務分野における、より高度な専門的職務能力を高めることを目的に、法令遵守(Compliance)を前提として、労働者の採用から退職までの一連の就業管理を行うことができる能力者に与えられる職能民間資格[能力評価審査]です。」(運営している協会のホームページより)。

 

 複数の団体が、各々の方法で資格認定を行っている様なのですが、私は上記の団体しか探し出す事が出来ませんでした。

 

 上記団体の認定方法は、公開認定講座・通信講座・Web資格認定講座を受講しその際に行われる試験に合格するか、書類審査によるかの4つの方法があるようで、合格後登録することにより2級(民間資格名)を名乗れる様です。登録後は、さらなる知識向上のための研修の受講が出来るそうです。

 

 費用ですが、上記認定のため受講料・審査料が8,000円から20,000円。合格後の登録料が20,000円。更に登録後の年会費が月1,000円(年払いだと10,000円)。入会の研修は実力養成研修が3コース用意され、それぞれ受講料25,000円ほどで受講できるとのことです。

 

 よくある民間資格のパターンですね。登録費用や年会費等が必要なのは、社会保険労務士だって行政書士だって同じです。そこはとやかく言う筋合いのものではないです。ただ、「公開認定講座」についてなのですが、

 

「3時間」なのです、試験時間も含めて。しかも試験については同協会ホームページに「働いていく上で必要な労働条件の最低基準である労働基準法を中心とした労務管理の講座を受講していただき、労務管理の基礎・基本から最新の法律知識までを当協会の専任講師から初心者の方にも良く分かるように直接、懇切丁寧な指導を行っていただきます。その後に行われる資格認定試験に関しましては、習得していただいた知識の内容に基づく試験となりますので真摯に取り組んでいただければ合格することは決して難しくありません。」

 初心者が3時間未満の講習を真剣に受けさえすれば取得できる資格を「労働者の採用から退職までの一連の就業管理を行うことができる能力者」と表現されています。講座の申し込みサイトを見る限りパートタイム・有期雇用労働法や男女雇用機会均等法などにまで言及している様な記載はありません。例え言及していたとしても試験を含めて3時間でどこまで言及できる出来るのでしょうか。

 

 公開認定講座の受講料は10,000円、Web講座だと8,000円。講座内容は解りませんがホームページ記載の通りの内容であれば、労基法の全体像を学びその成果を試験により確認するのですから講座だけを考えれば私はそれほど気にはなりません(同協会も登録は強制するものではないとホームページで公開しています)。

 

 ただ、これを上記の様な趣旨の資格として認定するのは疑問が残ります。社会保険労務士となり種々の研修や文献を読んでいる身としては労務管理はそんな簡単なものではないと思うのですが。

 

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