雪上のラストゲーム<最終話> -これからもずっとそばに- | Resistance to Despair

Resistance to Despair

絶望への抵抗

<注意!!>

当作品は「東方Project」と

「ドラゴンボール」をモチーフとした

二次創作小説です。

原作とは設定が大きく異なります。

 

以上をご理解の上ご覧下さいませ。

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部屋の扉を軽く2回ノックする。

 

「咲夜、入って大丈夫かい?」

「どうぞ」

 

咲夜は部屋着姿でベッドに腰かけていた。

 

「成り行きとはいえ、

昨日は随分痛めつけてしまってすまなかった。

どうもロゼになると

相手を叩きのめす本能が働くのか、

人格がより好戦的になってしまってな」

 

「いいのよ。

むしろ最後は全力で向かってきてくれたから

負けても悔いはないわ。

忙しい中、試合を引き受けてくれてありがとう」

 

「そう言ってくれると助かるぜ。

それにしても、パチュリーやアリスのウデは

すごいな。

傷だらけだった君の身体を

一日でここまで目立たなくできるとは…」

 

「本当はもうほとんど普通に動けるけど、

お嬢様が大事をとって今日まで休ませてくれたのよ」

 

ケンブラックは咲夜のデスクチェアーを借り、

腰を下ろしてから本題を切り出した。

 

「…それで、どうだ。

まだオレや霊夢とともに

闘いの最前線に立っていたい気持ちは

変わらないか?」

 

「いいえ、昨日試合してみて少し考えが変わったわ。

私の本来の役目はあくまで

この紅魔館の従者(メイド)として

お嬢様や妹様の支えになること。

そして、外来世界の東京でお嬢様と同盟を結んだ

今の私の夫であるケンさんを

これからも愛し続けること。

だから、もし今後新たな強敵が現れたとしても

相手と直接対峙することに拘りはしないわ」

 

面と向かって「愛してる」と言われると

ケンブラックは顔が紅くなってしまう。

 

「それなら良かった。

オレ、今度はレミリアの修行相手になろうと

思ってさ…」

 

「ケンさんがお嬢様の?」

 

「ああ。

より正確に表現するのであれば、

彼女の戦闘力をさらに引き上げるきっかけを

促すということさ。

フランもそうだが、本来なら二人とも

オレたち人間よりもはるかに身体能力的には

優れているはずだ。

甘さや過信さえ無くなれば、例えば霊夢にだって

遅れを取るわけがない」

 

「ケンさん、ひょっとして

今度はお嬢様と霊夢で対戦させるつもり?」

 

「まあ、いずれな…。

それに、オレが直接仕向けなくても

レミリアが絶対的自信とプライドを取り戻せば、

そのうち本人が意欲を持つかもしれん」

 

「…なるほどね」

 

「その上で、君と過ごす時間をもう少し増やそう。

オレだって本当は修行して強くなることより、

愛する嫁の手料理をいただいている時のほうが

はるかに幸せだ」

 

自分の嫁以外にはこっ恥ずかしくて

とても口に出せるセリフではなかった。

 

咲夜がそっとケンブラックの手を取る。

 

「これからも、ずっとそばにいてくれる?」

「ああ、もちろんさ」

 

優しく咲夜を抱き寄せながらケンブラックは答えた。

 

「ケンさんの弱点、見つけたわ」

「弱点…?」

 

「嫁の愛情には逆らえないところ」

「…この場では認めるが、絶対に他言禁止な」

 

紅くなったケンブラックの顔が冷めるには

しばらく時間を要した。

 

<完>