雪上のラストゲーム -イヤリング- | Resistance to Despair

Resistance to Despair

絶望への抵抗

<注意!!>

当作品は「東方Project」と

「ドラゴンボール」をモチーフとした

二次創作小説です。

原作とは設定が大きく異なります。

 

以上をご理解の上ご覧下さいませ。

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まるでロゼとブルーの閃光が交錯するかのように、

両者の闘いは熾烈を極めた。

 

「どう見る?この先の局面を…」と

霊夢がレミリアに尋ねる。

 

「私が当主だから贔屓するわけじゃないけれど、

この半月、咲夜の戦闘訓練時における

目つきとストイックさは尋常じゃなかった。

美鈴もかつて武道の師匠だったとはいえ、

よくあれほどハードなトレーニングに

付き合えたものだわ。

今持っている力がブラックの本気に

どこまで迫れるか、

まさにここからがクライマックスね」

 

「ケンさんもそうだけど、

あなたたちは闘いにもロマンを求めるのね。

…嫌いじゃないけど」

 

 

 

凄まじい力とスピードの応酬の最中、

咲夜が新しくマスターした必殺技を放つ。

 

『ブルーバレッツ‼』

 

 

無数の青白い光がマシンガンのごとく連射され、

ケンブラックに炸裂する。

 

 

事前の試合ルールにより、

ナイフ攻撃がNGとなった代わりに、

咲夜は一度に何発も連射できる弾幕を

今回のために開発したのであった。

 

「ハアッ…ハア…」

 

咲夜が息を切らしながら

ケンブラックの気を確認する。

 

「このオレにバリアーを張らせたお前の攻撃は

評価に値する。

今のはなかなか効いたぜ。

…だが、体力も相当消費してしまったようだな

 

その直後、咲夜の身体から蒼いオーラが消え、

通常の姿に戻った。

 

「…今の私にはここまでが限界だというの?

…いや、そんなはずはない」

 

自問自答をつぶやく咲夜に

ケンブラックが容赦なく攻撃を加える。

 

「どうした、まだ試合は終わっていないぜ?

お前が降参を宣言しない限り、

オレが攻撃の手を休めることはない」

 

「あなたとの最後の試合になるのに、

そう簡単に引き下がれるわけないじゃない!」

 

「フッ…そこまで意地を張るのであれば、

新たにルールを一つ加えてみようか。

『命を失っても敗北』とな…。

紫もいいか?」

 

ケンブラックの真意を読み取っているのか、

紫は「…お好きになさい」とだけ答えた。

 

「マジか⁉

自分の嫁さんをみすみす殺す気か⁉

どう考えてもやりすぎだ!」

魔理沙が言えば、

「ケンさん、まさか本気なの?」と

霊夢も問いかけたところで紫が割って入る。

 

「二人とも落ち着きなさい。

さっき約束したでしょう。

完全に決着がつくまでは誰も動かないようにって…。

従えなければ私のスキマ空間に閉じ込めるわよ?」

 

それぞれ不満を抱えながらも、

霊夢と魔理沙は堪えるしかなかった。

 

「あなたは平気なの?

自分が家族と呼ぶほど可愛がっている

メイドさんの身に何が起こっても…」と

霊夢がレミリアに聞く。

 

「ブラックは自分と同じ人間の身である咲夜に

これから先の有事における

闘いの厳しさを伝えたいのよ、たぶんね…。

今までがそうであったように、

敵は常に相手の命を奪いにきているのだから…」

 

レミリアは表情を変えずに淡々と答えた。

 

 

 

自身の戦意とは裏腹に、

咲夜のダメージは膨らむ一方であった。

 

「まだ続ける気か?

その勇敢さは認めてやらんでもないが、

これ以上はお前にとって致命傷になりかねないぞ。

降参を口にするなら今しかない」

 

咲夜は一瞬考え込んだ後、

自分のイヤリングと同じ形状のものを付けている

美鈴に声をかけた。

 

「行くわよ!」

 

「…分かりました

 

美鈴がイヤリングを左耳から右耳へ付け替える。

 

 

「本当はなるべく使いたくなかったけど、

私、どうしてもこの試合負けられないの。

ケンさん、悪く思わないでね」

 

「まさか、美鈴と合体するつもりか⁉

しかし、そのイヤリングにはポタラのように

特殊な機能はなかったはずだ」

 

「ええ、結婚記念日にケンさんが

プレゼントしてくれた時はね。

ただ、今回の試合に備えて

美鈴と一緒にトレーニングをしていた時に、

お嬢様がパチュリー様に相談して、

魔法で電磁波を吹き込んで下さったのよ。

もちろんあなたや天界の神様が持っているポタラより

少し効果は下がるけど、

私と美鈴のパワーがかけ合わされば…!」

 

次の瞬間、咲夜と美鈴の身体は

電磁石のごとく強く引き合い、

眩いほどの光に包まれた。

 

~<禁断の黒龍襲拳>に続く~