菅直人首相は5日、首相官邸で開かれた社会保障改革に関する集中検討会議で、パートや派遣社員など非正規雇用労働者の厚生年金適用拡大に関し、「非正規労働の人たちに社会保険に入ってもらうことは、ほとんど合意ができている。全力を挙げてやってみたい」と述べました。
厚生年金の加入条件をゆるやかにし、非正規雇用の労働者にも対象を広げる考えを示しました。 非正規労働者の多くは国民年金に加入します。
十分な保険料が払えず将来、低年金や無年金となる恐れがあり、その対策が今回の社会保障改革の焦点の一つになっています。
ただ、保険料による負担増を嫌う企業側の反対が予想されます。
厚生年金の加入要件は正社員の労働時間の4分の3以上で、大半の非正規労働者は国民年金の対象になります。
だが、国民年金は月々の保険料(現行1万5100円)を40年間払い続けた満額でも受給額は月額6万6000円程度。総務省の労働力調査によると、10年(平均)の非正規労働者は1755万人と全雇用者(5111万人)の34・3%に達しています。
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厚生年金の加入対象者の拡大については、数年前からたびたび審議されてきておりますが、ここへきて、再燃してきたようです。
「非正規労働の人たちに社会保険に入ってもらうことは、ほとんど合意ができている。」との首相の発言があったようですが、いったい誰の合意ができているというのでしょう?
年金問題については、根本的な解決に向けて本気で取り組まないかぎり、結局は付け焼刃の改革で終わるのでは?と思います。
また、厚生年金の加入対象者の拡大、ということは、つまり、企業を通して年金加入をすすめることになりますので、保険料の増収をねらって、加入させやすいところから手をつける、という国の思惑が働いているようにみえます。
企業を通しての加入、ということは、当然、保険料を企業と本人とで折半負担することになります。
ますます企業の体力が奪われていく気がしてなりません。
また、非正規労働者については、フリーターだけでなく、パートタイマーで働く主婦の方なども多く存在していることと思います。
そうなると、健康保険や税金の扶養の問題、国民年金第3号被保険者の問題、企業の家族手当の問題など、多くのことにも影響が出てくると思います。