近藤容疑者は、障害年金や社会保障についての「勉強会」を開くと称して人を集め、偽装を勧誘する場にしていたという。この事件では、不正な診断を繰り返したとされる耳鼻科医前田幸あき(よしあき、あきは日の下に立)容疑者(74)が多額の診療報酬を、年金申請を代行した社会保険労務士の香田清容疑者(67)が多額の手数料を得ていた疑いがあり、容疑者らがそれぞれの立場で不正な利益を得る構図が浮かんできた。 (asahi.com)
公的年金には高齢になると受給できる老齢年金、死亡した場合に遺族が受給できる遺族年金、一定程度の障害状態の方が受給できる障害年金の3つがあります。今回はこの障害年金の不正受給に関する仲介役グループが詐欺などの疑いで逮捕されました。
老齢年金、遺族年金は一定の年齢に達したり、死亡したりというはっきりとした明らかな受給の要件があるため年金をもらい損なうということはほとんどありませんね。しかし、障害年金はどういう障害状態になったら受給の対象となるのか、とても専門的で、年金申請も複雑です。そのため、障害年金を受給できる状態なのに、受給されていない方がたくさんいらっしゃるというのが現実です。
今回、近藤容疑者(本人も障害年金の受給者)が耳に何らかの症状のある人を勧誘をして、医師の前田容疑者が嘘の診断書を書き、社会保険労務士の幸田容疑者が年金申請の手続きをするという組織的な犯行ですね。患者の数は890人。不正に支払われた公金は10億円を超えるそうです。
また、香田容疑者は99年、障害年金の取得方法を細かく紹介した「障害の認定基準」を出版しています。専門家だからこそ、できる技なのかもしれませんが、こんな事件が多発することで、本当に障害年金が必要な方々の申請はますます複雑になったりするのではないでしょう。許されない行為です。