ダイバーシティ経営→社会の変化に柔軟に対応するため、人種や性別、年齢、宗教、文化的背景の違う様々な人材を活用し、その価値観を取り込む経営手法。米国で白人女性や黒人などのマイノリティー(少数派)の活用を目指す中で生まれた。日本では、外国人や女性の登用などで徐々に広がりをはじめている。
資生堂の『育児時間制度』は育児のために1日最大2時間、勤務を短縮できるというもの。男女共同参画の施策を担当していた本多さん(41)も利用している。ただ、来店客が夕方に集中するため、店頭などで化粧品の販売に当たる全国約1万人の美容部員は制度を利用しにくい面があった。本多さんは福岡、大阪で計12年間、百貨店などの営業を担当する営業部員として働いていた。美容部員の職場環境を熟知していたため、社内で自ら『美容部員が育児時間を取れるようにすべきだ』と主張し続けた。
前田社長には本多さんの女性としての視点と問題意識を制度改革につなげる狙いが会った。本多さんは苦心の末、子育て中の美容部員の代役として、夕方の3~4時間だけ接客にあたる契約美容部員『カンガルースタッフ』を導入する案に取りまとめた。『一番忙しい時間帯を契約社員に任せるのはどうか』営業現場から批判も出たが、何度も地方出張を重ねて理解を求め、07年4月に全国導入にこぎつけた。資生堂の高重人事部長は『美容部員と一緒に働いた経験のある本多さんが制度作りにかかわった意義は大きかった』と語る。本多さんはこの4月、人事部で管理職である参事に昇格した。
資生堂の夕方だけ接客にあたるカンガルースタッフの活躍、育児中の美容部員が働き続けることのできる制度による人材の活用は小売業など他社にも影響を与えそうだ。ダイバーシティ経営をいち早く取り入れることで大きな成績を上げている企業は多い!!『多様化を受け入れる懐の深さが新しいアイデアを生む土壌になる。均一な環境下でやっていてもグローバル競争を勝ち抜くことはできない』と帝人の長島会長も言っている!!