東京都から「総合周産期母子医療センター」の指定を受けている愛育病院(東京・港)が、指定の返上を都に打診していたことが25日、分かった。都によると、労働基準監督署から医師らの労働条件を巡り労働基準法違反で是正勧告を受けたことが理由という。
中林院長は「先週、労基署から是正勧告を受けた。法律で定める労働時間を順守すると、(医師の)当直体制を維持できないので、指定を返上しようと考えている」などと説明したという。 (日経新聞 朝刊)
東京都港区の愛育病院が「総合周産期母子医療センター」の指定返上を都に打診した問題で、同病院の中林正雄院長は26日、報道陣に「都から返上の必要はないと言われた。その判断に従う」などと話し、センターとして指定を受け続ける考えを示した。事実上、返上の打診を撤回したことになる。
中林院長の説明によると、労働基準法に基づく労使協定(三六協定)を結ばず、医師に長時間労働をさせていたとして、労働基準監督署から是正を勧告された。
病院は労使協定を結ぶことや、非常勤の医師を新たに4人確保する改善策を4月20日までに労基署に報告する予定だが、それでも常勤医師だけでは国が総合センターの指針として示している「24時間、複数の産科医が勤務」という条件が満たせないことから、都に返上を打診したという。(nikkei net 13:40)
愛育病院といえば、秋篠宮悠仁様がお生まれになりましたね。
「総合周産期母子医療センター」の指定って何?
危険性の高い妊婦と新生児に24時間態勢で対応するため、都道府県が指定する施設です。NICUやMFICUを備え産科医が常に2人以上いることが望ましいとされています。
なぜ是正勧告されたの?
医師の勤務実態が労働基準法違反に当たると判断されたためです。勧告書は、時間外労働に関する労使協定(三六協定)を結ばずに医師に時間外労働をさせ、必要な休息時間や休日、割増賃金を与えていないと指摘しました。
時間外労働に関する労使協定(三六協定)を結んでいないことに対する是正勧告は医療機関に限らず多くの事業所でよく指摘されています。時間外労働を従業員にさせる場合には、必ずこの協定を結ばなくてはなりませんね。ただ、時間外勤務の上限を守るには、総合センターに求められる産科医2人と新生児科医1人の当直を維持できないということで、指定の返上を考えていたようです。
今日、国立成育医療センター(世田谷)の小児科医と話をしたのですが、『労働基準法の労働時間内で仕事を回すには医師の数は足りなすぎる。愛育病院に限らずほとんどの病院が調査されれば是正勧告を受けるだろう。』と言っていました。愛育病院は総合センターの中で待遇も医師数も恵まれた方なのだそうです。労働基準法を守って働かせようとするならば、医師の数を真剣に増やさないといけないということなのです。過酷な労働環境の中で、子供達の生命を守るため、産科・小児科を自ら選択する医師達の使命感に改めて感謝します。
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