コスト削減より安全運行 | もっと知りたい労働法!

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東京都町田市を拠点に両立支援、労使トラブル、障害年金などに対応、『悩み』を『戦略』に変える労務管理を提案する特定社会保険労務士櫻井三樹子のブログです。日々の疑問や矛盾と戦います!!たまに日本酒でまったりします。

 私鉄大手の阪急電鉄(本社・大阪市、社員約1800人)は、子会社に在籍する駅員や乗務員ら約840人を来年10月1日付で本社の直接雇用に切り替える方針を決めました。

 駅業務などの分社化でコスト削減を進めてきたが、「安全強化を図り、社員の士気を高めるには、本社による一括雇用が必要と判断した」としているということです。(YOMIURI ONLINE)

 素晴らしいですね派遣打ち切りによるリストラなど雇用問題が深刻になっていますが、阪急電鉄では非正規雇用者をふくめ840人も直接雇用するそうです!!

 阪急電鉄によると、直接雇用に切り替える対象は、駅の業務などを請け負う子会社の「阪急レールウェイサービス(HRS)」所属の約1700人の社員のうち、正社員、契約社員410人、時給制のフルタイム社員230人、学生アルバイトなどの臨時社員200人の計約840人。HRSの正社員は電鉄本社の正社員、契約社員はやはり契約で、というようにHRSでの処遇そのままで転籍させる考えです。

 駅の業務委託は03年ごろから首都圏の大手や横浜市営地下鉄にも広がったそうです。駅の業務とは売店や駐輪場の運営などが一般的のようですがHRSでは車掌の業務も委託しているそうです。電鉄本体の正社員は全員運転士で車掌の業務もやるということですから1つの駅に電鉄の車掌とHRSの車掌が混在しているということですね。しかし、同じ車掌でも、賃金や福利厚生で大きな格差が生じることになっていました。 
 
 また、電鉄から直接HRSの車掌には指示を出せないというのが業務委託です。指示や命令をすると『偽装請負』ということになりますから緊急時に迅速な対応がとれない…ということでコストアップを覚悟で直接雇用に切り替えるそうです!!

 自動車業界の派遣労働者もHRSの労働者も同じ仕事をしているのに格差が生じてしまうという働き方になっています。派遣先や親会社のコスト削減のために別会社を介して労働力を安く買うという方式が日本の雇用情勢は大きく変わりました。この変化によりうつ病やパワハラ、ワーキングプアなどの問題が増えてきたんですね。

 今回コストアップ覚悟で本来の雇用の形に戻すことはHRSから直接雇用になる方々のモチベーションを大変高めることでしょう!!こういった判断が今後いろいろな業界に広がると格差が少しずつ小さくなり、うつ病による自殺やパワハラなども減っていくのではないでしょうか?
 

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