犬の子宮蓄膿症 | 山王アニマルクリニック

山王アニマルクリニック

日々の診療、いろんな本や音楽などについて思い巡らしながら、潤いと温もりのバランスを取ってゆこうと思います。

突然、衝撃的な画像で申し訳ないのですが、これは手術中の犬の子宮です。

 

 

まるで巨大な胎児でも入っているかのように腫れあがっています――太い所は直径10cmくらいあり、その中には大量の膿が!!

 

しかも――犬や猫の子宮は左右に分かれY字型――このワンちゃんの子宮は片側だけがこのように巨大化しているのです。

 

このように子宮内に膿がたまってしまう病気を子宮蓄膿症と言います。

 

膿とは、細菌との戦いの中で散っていった白血球なので、子宮内に細菌が入り増殖してしまうと発症します。

 

 

これは猫の子宮なのですが、これは水子宮という細菌感染のない液体が溜まってしまった状態です。

(なぜかこの画像だけグロ画像認定され?表示されなかったのですが、ぼかしたり色々と修正してみたら表示されるようになったのか?AIだかなんだかわかりませんが…面倒な仕様ですね)

 

これも普通の猫の子宮の10倍以上の大きさに腫れていますが、Y字型に分かれていることが確認できます。

 

猫も子宮蓄膿症になるのですが、犬よりも少なく、なぜか犬より重症化しないケースもあります。

 

 

これは他のワンちゃんのエコー所見なのですが、上のワンちゃんのケースでは、これ以上に腹部が全体的に真っ黒く抜けて映っていたので、とても驚きました。

 

 

 

これも腹部のエコー像ですが、黒く丸いものが上と右下に確認できます。

 

このようにエコーで黒っぽく見えると、液状の何かが貯留していることが推測できます。

 

 

先ほどのエコー像は、上の写真の子宮のもので、この子もかなり重症でした。

 

症状としては、膿が溜まってこのようにお腹の中がパンパンなっていくほど、元気も食欲もなくなり、吐いたり下痢したりします。

 

細菌の増殖によって毒素が放出され腎臓にも負担がかかるためか、水をたくさん飲み、尿量も増えます(多飲多尿)。

 

わかりやすいケースでは、陰部から悪臭を伴う膿や血濃が出ているのですが(開放性)、全く膿が出ない閉鎖性の子宮蓄膿症も多く、不妊手術を受けていないワンちゃんは常に要注意です。

 

逆を言えば、不妊手術を受け、子宮と卵巣を完全に摘出しているワンちゃんは100%かからない病気なのです。

 

また不妊手術が不完全で、卵巣の一部が少しでも残ってしまうと、発情出血が起こり、残った子宮断端に細菌感染が起こってしまうことがあります(断端子宮蓄膿症)。

 

それらを防ぐためには、不妊手術は信頼できる病院で受けましょう!

 

不妊手術は動物病院の金儲けだ!…などとネット上で言っている人もいますが、不妊手術をしなかった場合、年を経てから子宮蓄膿症だけでなく、乳がんになってしまう可能性=何倍もの費用がかかるだけでなくハイリスクな手術などを必要とする可能性が高くなるのです。

 

つまり大きな声では言えませんが、そのような方が増えた方が動物病院は儲かってしまう…と思われます(そういう方は少数派だと感じますが、長く臨床をやっているほど理屈を超えた例外も経験します)。

 

閉鎖した子宮の出入り口を緩める薬による内科的な治療法もありますが、高価で時間がかかり、再発のリスク(論文により0~85%→平均29%)もあります。

 

そのため、どうしても交配させたいのに若齢で発症してしまった…などレアケース以外には必要性を感じず、当院では今のところ使用経験がありません。

 

驚くべきことに、13歳のこの子は3kgほど…こんな小さな子のお腹の中にこの巨大子宮(約1kg)が入っていたのです!

 

当院は子宮蓄膿症の手術をかなり多く経験していますが、片方だけでこんなパンパンなケースは初めてで、子宮を取り出すのがとても大変でした!!

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