『一身の衣食住を得てこれに満足すべきものとせば、人間の渡世はただ生まれて死するのみ、その死するときの有様は生まれしときの有様に異ならず。(略)西人言えることあり、「世の人みなみずから満足するを知りて小安に安ぜなば、今日の世界は開闢(世界が始まり)のときの世界にも異なることなかるべし」と。』(学問のすすめ)
人がみんな自分の生活の満足だけのために生きていれば、今のような文明は築けていないわけですね。
『親の身代を譲り受くればこれを遺物と名といえども、この遺物はわずかに地面、家財などのみにて、これを失えば失うて跡なかるべし。世の文明はすなわち然らず。世界中の古人を一体にみなし、この一体の古人より今の世界中の人なるわが輩へ譲り渡したる遺物なれば、その洪大なること地面、家財の類にあらず。されども今、誰に向かいて現にこの恩を謝すべき相手を見ず。これを譬えば人生に必要なる日光、空気を得るに銭を須いざるがごとし。その物は貴しといえども、所持の主人あらず。ただこれを古人の陰徳恩賜というべきのみ。』(学問のすすめ)
今の世の中は別に歴史上の偉人だけで作られているわけではありません。それどころか偉人と呼ばれる人はその時代の象徴のようなもので、無名の人たちが文明を築き、維持していることに気付きます。この恩恵は日光や空気のようなもので利用料は必要ありません。
これを知って働く意義を考えます。自分を満足させるためとか蓄財とか、それ以外の価値を意識しながら働くことで仕事は一段と楽しくなりそうです。もちろん活動の原動力が金儲けであることを否定しているわけではありません。また同時に・・・
『マネジメントの第一の役割は、組織本来の使命を果たすべくマネジメントすることである。(略)・・・だが、ここに大きな誘惑がある。哲学者たらんとする誘惑である。ここで強調すべきは、よいことを行うための基礎は、よく行うことであるということである。よき意図は無能の言い訳にはならない。』(ドラッカー、マネジメント)
社会貢献と金儲けは両立できるものだと思います。善意と業績は両立させないといけないのだとおもいます。