今日は、前回の記事の続きです。

今回は、「正しい解説」ではなく、「いかにして正解肢にたどり着くか」、
という観点から解説を試みています。

では、改めまして、平成23年度 労災保険法です。

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次の文中の [   ] の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章
とせよ。

 労働基準法における障害補償並びに労災保険法における障害補償給付及び
障害給付(以下「障害補償」という。)は、障害による [ A ] の喪失に対する
損失てん補を目的とし、労働者が業務上(又は通勤により)負傷し、又は疾病
にかかり、治ったとき身体に障害が存する場合に、その障害の程度に応じて
行うこととされており、障害補償の対象となる障害の程度は、障害等級として、
労働基準法施行規則別表第2「身体障害等級表」及び労災保険法施行規則別表第
1「障害等級表」に定められている。この障害等級に応じ、障害補償がなされる。
 従来 外貌の醜状障害に関しては、女性について第7級(外貌に著しい醜状を
残すもの)又は第12級(外貌に醜状を残すもの)、男性について第12級(外貌に
著しい醜状を残すもの)又は第14級(外貌に醜状を残すもの)に区分されていた
が、男女差の解消を図るため、「労働基準法施行規則及び労働者災害補償保険法
施行規則の一部を改正する省令」(平成23年厚生労働省令第13号)により、
[ B ] こととなった。また、医療技術の進展を踏まえ、「外貌に著しい醜状を
残すもの」、「外貌に醜状を残すもの」に加え、新たに第9級として「外貌に
[ C ] 醜状を残すもの」が設けられた。
 なお、「外貌」とは、頭部、顔面部、頸部のごとく、上肢及び下肢以外の日常
露出する部分をいう。外貌における「著しい醜状を残すもの」とは、顔面部に
あっては、に [ D ] 以上の瘢痕又は [ E ] 以上の組織陥没に該当する場合で、
人目につく程度以上のものをいう。


<選択肢>

①小豆粒大面         ②軽度の
③鶏卵大面          ④500円硬貨大
⑤雇用機会          ⑥10円銅貨大
⑦女性の等級を基本として男性の等級を引き上げる
⑧身体能力          ⑨生活能力
⑩相当程度の
⑪男女とも等級を引き上げた上で同一等級とする
⑫男女の平均の等級とする
⑬男性の等級を基本として女性の等級を引き下げる
⑭直径1センチメートル    ⑮直径10センチメートル
⑯テニスボール大面      ⑰手のひら大
⑱特徴的な          ⑲微少の
⑳労働能力

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前回までで、空欄A~Cについて、選択肢のグループ化が終わりました。

今回は、空欄A~Cについて、正しい選択肢を選んでいきます。
※今回は、空欄DとEの解説は割愛します。

その際、必要となるのは、

2)論理的思考力
3)一般常識


の2つです。

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では空欄Aから見ていきましょう!

空欄Aに入る候補は、次の4つです

⑤雇用機会
⑧身体能力
⑨生活能力
⑳労働能力

このうち、「⑤雇用機会」は他の3つの選択肢が「能力」であるのに対して、
明らかに「異質」であり、「法の目的からも不適当」であると判断できます。

また、「⑧身体能力」は、障害等級の決定が身体障害だけではなく、
精神障害」についても行われることから考えても不適当です。

すると「⑨生活能力」と「⑳労働能力」の2つの選択肢が残りますが、
支給額の基礎となる給付基礎日額が「1日当たりの稼得能力」を表すものであること、
障害等級第3級の定義が「常態として労働不能である状態」であること等を考えれば、
「⑳労働能力」が妥当性が高いと言えます。

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次に空欄Bを見ていきましょう!

空欄Bに入る候補は、次の4つです

⑦女性の等級を基本として男性の等級を引き上げる
⑪男女とも等級を引き上げた上で同一等級とする
⑫男女の平均の等級とする
⑬男性の等級を基本として女性の等級を引き下げる

目的を改めて確認すると、同じ程度の醜状障害であっても、
男性に比べて女性の方が障害等級が高いという、「男女差」を
解消することが目的となっています。

つまり、少なくとも「女性の等級を引き上げる必要はない」ことが分かります。
そうすると、「⑪男女とも等級を引き上げた上で同一等級とする」は、
その必要性・合理性がなく、対象外であることが分かります。

また、選択肢のうち、「女性の等級を引き下げる」ことに繋がるものは、
既得権を奪う」「不利益変更」にもなりかねず、常識的に難しいことが分かります。

すると、
「⑫男女の平均の等級とする」
「⑬男性の等級を基本として女性の等級を引き下げる」
の2つは対象外であることが分かります。

つまり、目的との一致や実現性を考えると、最も合理的である選択肢は、
「⑦女性の等級を基本として男性の等級を引き上げる」であると言えます。

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「結果論だ!」とおっしゃる方や、
「緊張感に包まれた本試験では、冷静に判断できない」という方も
いらっしゃるかもしれません。

確かにそうかもしれませんが、今後も「テキストに書いていない出題」は
あると考えられます。

しかし、このような「奇問・難問」であっても、必ず正解肢を導くための
手掛かり」はあります。

今回の空欄A・Bは常識や目的を根拠とした「妥当性」が、
その「手掛かり」であると考えますが、皆さんは如何でしょうか?


長くなったので、空欄Cは次回に回します。

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~本日の論トレ(論点トレーニング)~

以下の設問について、「誤っている箇所」を指摘してみましょう!

<平成19年度 雇用保険法 第10問B>

所定の期限までに確定保険料申告書を提出しなかった事業主が、政府が決定
した労働保険料の額の通知を受けたときは、当該事業主は、その納付すべき
保険料額又は不足額(その額に1,000円未満の端数があるときは、その端数
は切り捨てる。)に100分の25を乗じて得た額の追徴金を加えて納付しなけ
ればならない。

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誤り箇所の指摘だけではなく、正しい「解説」を加えてくださいね!

では、誤っている箇所を赤字・下線で示します。

所定の期限までに確定保険料申告書を提出しなかった事業主が、政府が決定
した労働保険料の額の通知を受けたときは、当該事業主は、その納付すべき
保険料額又は不足額(その額に1,000円未満の端数があるときは、その端数
は切り捨てる。)に100分の25を乗じて得た額の追徴金を加えて納付しなけ
ればならない。

正しくは「100分の10」です。

追徴金は、1)確定保険料の認定決定を受けたとき、2)印紙保険料の認定決定
を受けたときに課せられ、それぞれの追徴金の額は以下のとおりです。

1)確定保険料に対する追徴金 = 納付すべき額(※) × 「10%」
 ※1,000円未満を切り捨てて計算します
 ※以下のいずれかに該当する場合には、追徴金は課されません。
  a)納付すべき額が「1.000円未満」の場合
  b)「天災その他やむを得ない理由」があるとき

2)印紙保険料に対する追徴金 = 納付すべき額(※) × 「25%」
 ※1,000円未満を切り捨てて計算します
 ※以下のいずれかに該当する場合には、追徴金は課されません。
  a)納付すべき額が「1.000円未満」の場合
  b)「正当な理由」があるとき

本肢は、1)に該当するため、「100分の10(10%)」となります。


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