そんな時は、ガックリして落ち込んでしまいそうになりますね。でも、少し考え方を変えてみれば、そんな出来事に出会った時こそが、本当はとても素晴らしいチャンスなんだということがわかります。
イソップの寓話に、シカとライオンという話があります。
あるとき泉で水を飲んでいたシカは、水面に映る自分の姿を目にします。シカは、自分の大きくて立派な角を見て、とても誇らしく思います。それに比べて4本の脚ときたら、華奢でひょろ長いだけで、とても情けないと、嘆いてしまうのです。
そこに突然、一頭のライオンが現れました。シカは慌てて飛び上がり、草原を全速力で走り抜け、何とかうまく逃げのびることができ、ホッとしました。
シカは、追ってきたライオンに見つからないように、森のなかの茂みに潜んで身を隠そうとしますが、今度は大きな角が木の枝に引っかかって、身動きが取れなくなってしまいました。
そこにやってきたライオンは、難なくシカを捕まえて、食べてしまったのです。
最期にシカは、こう嘆きます。「ああ、何と言うことだ。みすぼらしくて役立たずだと思っていた脚が、私を助けてくれたのに、誇りにしていた角のせいで、命を落とすことになろうとは・・・」
誰でも、自分の欠点よりは長所を、嫌なところよりは優れているところを、人に見せたいと思います。
また、自分自身も、自分の欠けているところは見たくないと目をそらし、目立つところ、人から認められるようなところばかりが、大事だと思ってしまいがちです。
自分の欠点を誰かに知られてはいけない。弱い自分でいてはダメだ。と外側ばかりを着飾ろうとするのです。
もちろん、「自分は仕事ができる」「私には力がある」と自負することは、とても素晴らしいことです。

ところがそんな時には、まわりの人から自分の欠けているところを指摘されても、なかなかそれを素直に受けいれ難いものなのです。それどころか、それを隠すために、見えないようにするためにもっと固い鎧を身につけようとするのです。
そして、それが自分を縛りつけて不自由にしているというのに・・・
ところが、自分の未熟なところ、欠点から目を逸らさずに立ち向かってみると、今の自分の課題が見えてきます。
それを、努力してカバーしていこうとする時こそが、私たちが本当の「強さ」を身につける時なのです。
さらに、そんなふうに前に進むことこそが、人生における真の「豊かさ」になると言えるのかも知れません。
思いきって裸の自分をさらけ出してみれば、心も自由になるでしょうし、他人の助言や助けも、柔軟に受けいれることもできるでしょう。
自分が欠点だと思っていたことが、意外に本当の自分らしさであったり、いざというときに自分を助けてくれるということも、よくあるようです。
私たちが本当に輝き出すのは、自分の弱さを認めることができた時なのです。